千歌「スクールアイドル?」
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桜の季節。
それぞれの客室にあったコタツや電気ストーブの片付け。
長持ちさせるために、汚れや埃をしっかりと拭き取ってから、押し入れへ運ぶ。 最後には自分の部屋のコタツをしまう。
…。
千歌「お母さーん、まだ寒いしコタツ出しておいていい?」
母「駄目だって言ってるでしょー。毎年聞くんじゃありません」
千歌「いいじゃん減るもんじゃないし」
母「手伝いの時間が減ります。春までコタツに潜り込まれたら溜まったもんじゃないわ」
千歌「なら一層置きたいんだけどー」
母「お小遣いも減ります」
千歌「ええー」 お母さんのけちんぼ。
ああ、愛しのコタツみかんともお別れだね。
コタツムリのことも忘れないよ。 押し入れと言っても一部屋を収納スペースにしてあるから、一通りの季節ものから年に一度限りのイベントのものまでなんでも置いてある。
そういう意味で、来るたび新鮮さを感じる部屋。
何度来ても見慣れない、不思議な感じ。
ちょっと煩雑としてて埃っぽいけど、お気に入りの場所なんだ。 千歌「よっこらしょっと」
マイバディー(コタツ)を置く。また来年だね。
と、置いた衝撃か、視界の端で何かがふわりと落ちた気がした。
近寄って手にとってみる。白い鳥の羽。
募金? 視線を上けて、ここから落ちてきたであろう、ぎっしり詰まった本棚を眺めてみる。
千歌「う〜ん」
どうしてこんなものが本棚から?
事件の予感。
千歌、気になります。
腕組みして本棚とにらめっこを開始した。 夕食後、居間で集中して雑誌を眺めていると、姉の美渡がからかってきた。
美渡「お、珍しく集中してんじゃん。何読んでるの?」
千歌「うるさいなあ」
大分熱中してるので適当に返事をする。
あと珍しくなんてないし。 美渡「なんか黄ばんでんなあ。なになに。マイクロズ?スクールアイドル?」
千歌「ミューズ。石鹸じゃないから」
美渡「何、急にアイドルヲタにでもなった?」
千歌「違うし」 美渡「アイドルはやめとけー。なんてったってこんなド田舎じゃせいぜい指くわえて画面越しだぞー」
千歌「だから違うし!μ'sって高校生のアイドルだよ?自分たちで活動はじめて学校救って日本一位になっちゃうんだよ?普通のアイドルとは一線を駕す存在?可能性の塊?」
美渡「うわこれ相当お熱だ」 千歌「もう!馬鹿にするならこれ読んで、μ'sはね」
母「あら、懐かしい単語が聞こえてくると思ったら」
突然お母さんが割り込んできた。
母「よっこらしょっと」
雑誌の目の前を陣取るなり、どこか遠いあたたかい目で眺め出した。
あ、これもしかしてお母さんの? 母「スクールアイドル…懐かしいわあ…」
ブツブツニヤニヤするお母さんに訪ねてみる。
千歌「この雑誌ってお母さんの?」
母「え?ああ、押し入れにでもあったの?よく探してきたわね」
やだ怖い何このブツニヤお母さんデレてる。
普段なら、勝手にこんなもの持ち出して!コタツはしまったの⁉とか怒鳴り出すのに。
あれ?何か忘れてるような…。気になったことがあった気が。 美渡「ああ、母さんのだからそんな年季が」
母「あ?もう一度言って頂ける?」グリグリ
美渡「いでででで!」
角がかなりまるまってるし、印刷も薄い。それに黄ばみ。
雑誌の裏を捲って日付を探していると、お母さんが言った。
母「スクールアイドル、μ's。一部始終を一冊にまとめた集大成。相っ当にレアよ?買ったのは、高校3年生の頃だったかしら」
そうすると、ええと40年くらい前? 母「日本で知らない人はいない程名を馳せてた、世界にすら進出してた。ほんっとうに輝いてたわ。思い出すだけで興奮しちゃう」
千歌「そんなにすごかったの?」
母「それはもう。ブームとかそんな生易しいものじゃなくて、社会現象と言っても過言ないくらい」
その割には一度も聞いたことないな。世間に詳しいかと言われるとあんまりTVも見ないけどさ。 でもこの雑誌の写真見てると、わかる気がする。
ステージで踊ってるμ's9人の笑顔。
どう表現すればいいのか分からないけど、キラキラしてる。
一切の憂いの無いその笑顔。何か、一つのものを見ている…彼女達だけの正解に満足しきったような。
とにかく、惹かれる何かを感じる。 目指したい。
千歌「スクールアイドル、か…」
なんだか美渡姉がからかっていたけど、返事するも忘れて考え込んだ。 翌日。
今日は入学式
晴天に恵まれたこの良き日にここに入学式を何とやら。
桜は見事に満開で、これからの期待と不安をに胸をときめかせるあれ。
とは言っても、私達三人は今日から二年生。
まあ、幕開けには持ってこいの日和だよね。 二人の親友、曜ちゃんと梨子ちゃんに尋ねる。
千歌「ねえ、曜ちゃんと梨子ちゃんは部活に入る予定あるの?」
曜「ん?私はないよ。今更だし、プールで泳いでる方が有意義だし」
梨子「私も特にはないけど。千歌ちゃんは入りたい部活あるの?」
千歌「スクールアイドルって、聞いたことある?」
曜「スクールアイドル?」
梨子「聞いたことないな」
???「…」 昨日徹夜てインターネットを使って調べまくったμ's&スクールアイドルについての情報を弁舌しながら、教室に到着。
自分の机に集めて、昨日お母さんから拝借した例の雑誌(事細かに扱う上での注意を受けたものの、ニヤニヤしながら貸してくれた怖い)を広げると、その内容に感動してか『おお』と感嘆の上げてくれた。
二人とも興味がないという訳ではなかったものの雑誌を見ることでより私の気持ちを理解してくれたみたい。 曜「で、千歌はスクールアイドルをやってみたいと?」
千歌「まあ、そうだね、なんかまっすぐ言われると恥ずかしいけど…」
むずむずする。背中とか掻きたくなっちゃう。
曜「いいんじゃない。青春って感じで」
千歌「おお、さすが曜ちゃん、サッパリしてる!」
曜「ミカンと塩水(海)しかない鄙びた青春過ごすよりずっと楽しそうじゃん?」
千歌「よっ、曜ちゃん爽やか海オンナ!」 ちょっと曜ちゃんの言い方は他人事に聞こえるかもしれないけどこれは曜ちゃんの癖で、大抵のことは賛成してくれるし、どんなワガママも有無言わずについてきてくれる。
何度かワガママ言ってる気がして心配になって聞いたけど、曜ちゃん自身「身に危険がないならやりたいことやるべき、私は泳げればそれでいい」らしいので、甘えさせてもらってる。
ちなみに曜ちゃんプール大好き。海が大好きな幼馴染もいるよ。けどプール女は格好悪いしね。 で曜ちゃんはいいとして、梨子ちゃんは?
ちょっと困り顔で、梨子ちゃんらしく申し訳なさこの上ないような表情。
梨子「素敵だと思う。いい思い出になると思うし、大切な経験になると思うけど、私は…。人前とか、苦手で…」
曜「ほんと?ちょっと以外」 千歌「えぇー、やろうよスクールアイドル。慣れちゃえばへっちゃらだって。きっと楽しいよ」
曜「そうだね、慣れって大切だよ。苦手意識先行するのは勿体無い」
梨子「うう、私人前本当に苦手で…怖くて」 千歌「野菜だと思えばいいんだよ」
曜「梨とか」
千歌「教室で発表するのの人が多い版だよ」
曜「梨畑」
千歌「うちのみかん畑思い出してくれれば」
梨子「無理…」
はやくも涙声の梨子ちゃん。
千歌「わ、ごめん、そんなつもりなくて、ごめんね?無理に誘ったりしないから、ね?」 まさか泣き出しちゃうとは。
(ピュアだけど(梨子に限って腹黒はあり得ない))梨子ちゃんの方は色オンナだね。
涙だけに(※海オンナの塩水と掛けている)。
なんちゃって。
…。
…。
全然二人とも笑ってくれなかったけど泣き止んでくれた。
あはははは。 始業式だったので、今日は授業もなくホームルームで午前中だけで解散。
校舎を後にする。
曜「でさー、部活って言うからには新設するの?」
いきなり曜ちゃんが切り出す。
竹を割ったような性格っていうのかな?あとマイペース。いや、ペースメーカーかな。 千歌「うんそのつもり」
梨子「新しい部活って夢があるね。何もない部室を一からつくっていくのって楽しそう」
曜「ロマンチストだねえ」
梨子ちゃんは女子力が高い。女子力53万くらい。 千歌「梨子ちゃんは綺麗好きだしお上品だからお花とか飾ったり」
梨子「ああ、生花なら最近部屋に飾ってるよ」
千歌「おお!」
曜「来客にはお抹茶をお出しするどす?」
千歌「正座は日本人の心どす」
梨子「皆様お着物で身を着飾りましょう。淑女の嗜みどす」
千歌「おほほ」
曜「おほほ」 ん?今何か言った?
三人各々の顔を見合わせる。違うみたい。
千歌「なんだろうね?」
梨子「す、ストーカー?」
曜「怪しいやつ出てきたら逃げればいいよ」
流でスルー。 曜「練習ってどうするの?歌や振り付けって他から借りるの?」
千歌「曲はそうするしかないかも。歌詞と振り付けはよくよくは自分たちで考えて行きたいなって」
曜「ならまず曲を選ばないとね」
梨子「私、音楽結構知ってるから力になれるよ」
千歌「知らなかった、音楽好きなんだ」
梨子「少しだけどね」
にっこにこの梨子ちゃん。引け目を感じてたのかな。 千歌「んー、曲借りることになるし、当たり前だけど日本に名を知らしめるのを目標にするのは無謀すぎるかなー」
曜「そりゃ、μ'sが一から始めたスクールアイドルといえど、素質なしに曲とか衣装はつくれないからね、ポテンシャルの差?」
???「…」
千歌「μ'sってμ'sの中だけで全部賄ってるのも凄いけど、それ以上に凄いものがあるんだよ。心の持ちようだよ」 梨子「あ、それわかる気がする!あの雑誌から伝わってくる想い」
千歌「そうそれ!感受性豊かな梨子ちゃんならひしひしと感じていると信じてたよ」
曜「私だけ?見えざる壁を感じるような」
千歌「まあまあ」
梨子「いやいや」
曜「まあとにかく、心の持ちようをいくら変えても、自給自足できる人材は不足な訳だ」 ???「ちょぉっと待ったぁ桜内!」
梨子「へ?」
千歌「何?」
曜「誰?」 ???「ククク…」
梨子「厨二?」
???「なんだかんだと聞かれたら、解を降すは魔の所業」
聞いたというか面食らっただけ。
???「世界の組織を粉砕し」
???「時代と真名を刻む者」
怪しいサングラスを勢い良く外した。私達の顎はハズレっぱなしだ! ???「欺瞞に埋もれた真の価値、Kき翼で我が手に入れて魅せよう」
ヨハネ「堕天使ヨハネ!ここに見参ッ!」
梨子「…」
千歌「…」
曜「誰?」 どうせなら初期の設定でやって欲しかったわ
2年4人のやつ 初期2年組は千歌、梨子、ダイヤ、善子だったんだよな ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています