受け継がれるもの【SS】
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「ただいまー!」ガラッ
「あっ! またお店の方から!」
「あらあら」ニコニコ
「こんにちわー!」
「はい、こんにちわ」ペコリ
「お店やってる時は裏の玄関を使いなさいって何回言わせるの!」
「おばあちゃんごめんなさーい!」
「元気だねぇ」
穂乃果母「元気過ぎるのも大変で」
「お友達と遊びに行ってくる!」タッタッタッ
穂乃果母「車に気を付けるのよ」
「はーい!」
穂乃果母「騒がしくてすみません」ペコペコ
「いえいえ」
穂乃果母「まったく、誰に似たのか」ハァ
「子どもは元気が1番ですよぉ」 穂乃果母「いつもので良かったですか?」ガサゴソ
「ええ、お願いするわ」
「そういえば、穂乃果ちゃんはお元気?」
穂乃果母「はい、おかげ様で」
穂乃果母「お待たせしました」ゴソゴソ
「いつもありがとうねぇ」テクテク
穂乃果母「いえいえ、こちらこそ」
ガラッ
「穂乃果ちゃんが修行を終えて、お店に戻ってくるのが楽しみだねぇ」
穂乃果母「ええ・・・・・・本当に」
ー公園ー
「おーい!」タッタッタッ
「エリカちゃん、遅いよー」
エリカ「えぇー!? 家に着いてすぐ来たのに?」シュン
「遅かったよねー?」チラッ
「リナちゃん、学校から直接来たからじゃ・・・・・・」チラッ
エリカ「あそこに置いてあるランドセルって、もしかしてリナちゃんの?」ジトー
リナ「は、早く遊ぶにゃー!」タッタッタッ
エリカ「今日はなにしよっか?」ニコニコ
「うーん・・・・・・剣道にしますか?」
エリカ「・・・・・・それは道場以外でやっちゃダメだって、先生言ってたでしょ」ジトー
リナ「なにしてるのー? 早く遊ぼーよー!」ブンブン
エリカ「はーい!」
エリカ「カモメちゃん、行こ!」ギュッ
カモメ「えーと、剣術ごっこ?」トコトコ
〜〜〜
エリカ「ちょっときゅーけー」ボスン
カモメ「もう休憩ですか?」ムスッ
エリカ「カモメちゃんは体力ありすぎだよ!」ハァ
リナ「リナも大丈夫だよー」ニコニコ
エリカ「リナちゃんもおかしい! エリカが普通なんだよ!」
リナ「そうかなぁ?」
カモメ「次は缶蹴りをやりましょう」ニコニコ
エリカ「・・・・・・缶は?」チラッ
カモメ「・・・・・・」チラッ
リナ「えっ、リナも持ってないよ?」
エリカ「それじゃあ出来ないよ」ハァ
カモメ「うーん」
リナ「カモメちゃんが考えてもー」アセアセ
エリカ「いいよいいよ。その間にきゅーけーしてるから」フゥ
リナ「リナはお水飲んでこよーっと・・・・・・あれぇ?」
エリカ「どうしたの?」
リナ「あの子ってエリカちゃんのお友達、だっけ?」ビシッ
エリカ「あっ! エミちゃんだ!」タッタッタッ
リナ「まっ、待ってー」タッタッタッ
カモメ「先生に頼んで・・・・・・」ブツブツ
エリカ「エミちゃーん!」ブンブン
エミ「あっ、エリカちゃーん」タッタッタッ
ズサァーッ
エリカ「大丈夫?」
エミ「う、うん。いつも転んでるから」パッパッ
エリカ「ははは・・・・・・」
「わーっ、エリカちゃん大きくなったねー」
エリカ「エミちゃんのママだ!」
「久しぶり」ニコニコ
リナ「ねーねー、エミちゃんも缶蹴りしよー?」
エミ「うーん・・・・・・やりたいっ」
エリカ「だから、缶が無いのにどうやってやるの?」
リナ「エミちゃん、缶もってる?」
エミ「えっ、な、無いけど」
リナ「そうだよねー」ウーン
「缶が必要なん?」
エリカ「カモメちゃんが缶蹴りやろうって」チラッ
「うーんと、カモメちゃんは?」キョロキョロ
エリカ「あっちで考え事してる」ビシッ
「缶が必要なら、ウチがジュース買ってきてあげるよ」ニコニコ
リナ「おぉー!」
エリカ「そ、そこまでしなくても」
「ジュースぐらい気にしなくていいんよ」
リナ「いいの? いいの?」キラキラ
「うん。カモメちゃんも呼んで来てあげてな」
エリカ「あっでも、カモメちゃんは」アセアセ
「どうしたん?」キョトン
リナ「あー」
エミ「ママ? カモメちゃんのママは厳しいから、ジュースは飲めないみたい」
「あー、そうなんやね。ちょっと待っててな」テクテク
エリカ「どうするんだろ?」キョトン
エミ「さあ?」キョトン
リナ「カモメちゃーん! いつまでやってるのー?」ブンブン
〜〜〜
「はい、お待たせ」スッ
リナ「お水だ!」ガシッ
カモメ「リナちゃん?! し、知らない人からもらったらダメです!」ビクビク
「あなたがカモメちゃんやね」
エミ「あたしのママだから、大丈夫」
カモメ「あっ、そうだったんだ」アセアセ
カモメ「ごめんなさい」ペコリ
「いえいえ」ナデナデ
「お水ならカモメちゃんも飲めるでしょ? みんなで仲良く飲んでな」
エリカ「ペットボトルで缶蹴りやるの?」
「アカンかった?」アセアセ
リナ「ううん! 楽しそー」ゴクゴク
エリカ「あっ!エリカにもちょーだい!」
エミ「あ、あたしも欲しい」
カモメ「お水ならあっちからも出ますよ?」
リナ「このお水すっごくおいしー! はい、どうぞ」スッ
エリカ「やった!」ゴクゴク
〜〜〜
エリカ「じゃん! けん!」
「「ぽんっ!」」
カモメ「はぁー、負けました」
エリカ「10分までにみんな捕まえたらカモメちゃんの勝ち。1人でも残ってたらエリカ達の勝ちだよ」
「「はーい」」
カモメ「え、えー、10分という事は」アセアセ
リナ「長い針が3の所になるまでだよー」
カモメ「分かりました!」パアァ
エリカ「よーい、スタート!」
タッタッタッ
カモメ「いーち───」
ー残り5分ー
カモメ「・・・・・・」キョロキョロ
エリカ(捕まったのはエミちゃんだけ。どうしようかな)
エリカ(1人で行っても、絶対にカモメちゃんには勝てないよね)ウーン
リナ「おーい」ヒソヒソ
エリカ「うわっ?!」
カモメ「??」チラッ
リナ「しっ! 静かに!」
エリカ「ご、ごめん」ヒソヒソ
リナ「リナがカモメちゃんを引きつけるからー、エリカちゃんがその間に蹴ってねぇ」
エリカ「うん。分かった」
トコトコトコ
リナ「リナは隠れながらあっちに行くからー」
エリカ「気を付けて」
リナ「うん」
カモメ「見つけました!」
「「あっ!」」
エリカ「まっ、待って!」タッタッタッ
リナ「だああああああっしゅっ」タッタッタッ
ビューン
エリカ(本気のリナちゃんならカモメちゃんにも)
ベコッ
カモメ「エリカちゃんとリナちゃん、見つけました!」ビシッ
エミ「あー・・・・・・」
リナ「もう少しだったのにー」シュン
エリカ「カモメちゃんの方が近くだったから仕方ないよ」
カモメ「ふふん、勝ちました」キリッ
〜〜〜
カモメ「また鬼ですか」シュン
エリカ「うーん、でもジャンケンだから」アセアセ
リナ「じゃー、リナも鬼やってあげるー」ニコニコ
エリカ「2人も居たら勝てないよ!」
エミ「そ、そうだよ」
「それやったら、ケイドロにしてみたら?」
リナ「なにそれぇ?」
「あれ? 知らん?」
エリカ「カモメちゃん知ってる?」
カモメ「分かりません」
「ケイドロって言うんは警察と泥棒に分かれて、鬼ごっこみたいにするんよ」
エリカ「鬼ごっことは違うの?」
「逃げる人がタッチされたら、ここで助けを待つんよ。でも、このペットボトルを蹴ったら捕まった人も逃げられる」
カモメ「鬼ごっこのような缶けりのような、タッチしないとダメだけど蹴ったら助かって」グルングルン
エリカ「よく分からないからやってみよう!」
「カモメちゃん達は、ペットボトルを守りながら2人をタッチして捕まえる」
リナ「分かったー」
カモメ「2人をタッチすればいいんですね」
「エリカちゃん達は、どっちかが捕まったらペットボトルを蹴って助ける。それ以外は逃げ回ってればOKやよ」
エリカ「はーい!」
エミ「分かった、ような・・・・・・」
〜〜〜
エリカ「エミちゃん助けてー!」
リナ「エミちゃんなんてー、カモメちゃんだけでもヨユーだよー」
エリカ「んぐぐっ」
ガサガサッ
カモメ「あそこに居ます。2人でハサミウチにしましょう」ヒソヒソ
リナ「分かったー」ヒソヒソ
エリカ「やっぱりこの2人には勝てなかった」ハァ
ガサガサッ
カモメ「そこに居るのは分かっています。大人しく出てきてください」
リナ「もう逃げられないよー」
「にゃー」
カモメ「猫です」
リナ「猫だー」
カモメ「・・・・・・エミちゃんはどこですか?」
リナ「さぁ?」
カモメ「あっ!」
エミ「・・・・・・」コソコソ
エリカ「見つかった! 早く! 早く!」
カモメ「リナちゃん! 缶が危ないです!」タッタッタッ
リナ「えっ?」キョトン
エリカ(あんなに離れてたら、さすがのカモメちゃんでも追いつけないよ)ニヤニヤ
エミ「はぁ、はぁ」
エリカ「あと少しだよ! 頑張って!」
カモメ「負けません!」
エミ(あと少しでエリカちゃんを助けられる)
ズルッ
エリカ「あっ!」
エミ「きゃああっ?!」
ズサァーッ
エリカ「だ、大丈夫?」
カモメ「タッチです」ポンッ
エリカ「いや、それどころじゃないから」
「また盛大に転んだね」
エミ「ちょっとだけ、痛い」ウルッ
リナ「どうしたのぉ?」
「血は出てないから大丈夫やよ」
パッパッ
エリカ「エミちゃんって転んでも泣かないからすごいよね!」ニッコリ
エミ「う、うん」テレテレ
「そろそろいい時間やから、念の為に帰って消毒しよっか」
エリカ「えーっ?! もう帰っちゃうの?」
リナ「まだ明るいよぉ? 」
「ごめんな。ウチらのお家は、この近所やないから」
エリカ「そういえば学校も違うよね・・・・・・。また遊ぼ!」
エミ「うんっ」ニッコリ
カモメ「次も負けません!」
リナ「またねー」フリフリ
「ありがとうね。また遊んであげてな」
エミ「ま、またね」フリフリ
エリカ「どうしよっか?」
カモメ「もう1回やりたいです!」
リナ「リナはいいよー」
カモメ「また鬼は2人ですか?」
エリカ「だからそれは無理だよ」
ー数日後・道場ー
エリカ「えいっ!」グイッ
バンッ
リナ「次はリナの番!」
エリカ「いつでもいいよ!」
リナ「よーし・・・・・・とりゃーっ!」グイッ
バンッ
エリカ「今の初めて受けたけど、なんて技?」
リナ「さぁ?」キョトン
エリカ「・・・・・・ふざけてたら先生に怒られるよ」ジトー
リナ「ごめんなさい」シュン
リナ「つ、次は背負い投げやるからー」
エリカ「次は私の番だよ!」
カモメ「はああああっ!」
バンッ
門下生「いてて」
カモメ「だ、大丈夫ですか?」
門下生「う、うん。受け身が上手くとれなくて」
「練習の時まで、投げられまいと踏ん張ってはいけません。素直に投げられると、受け身も取りやすくなります」
門下生「はい!」
「投げる時も力任せにならないように気を付けなさい。怪我をさせない、しないという事もスポーツでは大切です」
カモメ「はい!」
「それでは残り10分間、頑張ってください」テクテク
〜〜〜
「本日は以上です。ありがとうございました」ペコリ
「「ありがとうございました」」ペコリ
「はい、お疲れ様でした。気を付けて帰ってください」
ガヤガヤガヤ
エリカ「今日のご飯はなっにかなーっ♪」ルンルン
リナ「ごっはん♪ごっはん♪お腹空いたねー」ワクワク
エリカ「うんうん! 帰ってすぐ食べたいね!」フキフキ
リナ「エリカちゃんのお家はいいなー」フキフキ
エリカ「どうして?」キョトン
リナ「だってお菓子屋さんでしょ? ご飯の前にもお菓子たくさん食べられそー」ゴシゴシ
エリカ「お店の食べたらおばあちゃんに怒られるし、いっぱい食べたら絵里ちゃんに怒られるし。リナちゃんのお家と一緒だよ」
リナ「でもー、エリカちゃんのお家に行くとー、いつもお菓子いっぱい出てくるよ?」ゴソゴソ
エリカ「アレはお店で売れなかったやつだから」
リナ「へぇー、おいしいのにねー」
エリカ「おじいちゃんのお菓子は全部おいしいよ!」
リナ「また遊びに行ってもいーい?」ニコニコ
エリカ「・・・・・・暴れちゃダメだよ?」ジトー
リナ「ゲーム持ってくから対戦しよ! 対戦」ワクワク
エリカ「うーん、帰ったらママに訊いてみるね」
「2人とも、無駄話をしていないで早く帰りなさい。日が長くなったとはいえ、そろそろ暗くなってきますよ」
エリカ「は、はい!」
リナ「エリカちゃん、まだぁ?」
エリカ「えっ!? リナちゃんいつの間に」ビクッ
「もう他の皆さんも帰りましたよ」
エリカ「ごめんなさ〜い」アタフタ
「ふふっ」
ー帰り道ー
「・・・・・・」
エリカ「ねえねえ、どうして先生もいるの?」ヒソヒソ
リナ「さぁ?」キョトン
カモメ「エリカちゃんのお家に行くんです」ヒソヒソ
エリカ「え゛っ?! ど、どうして?」
「ただのお買い物ですよ」
エリカ「な、なーんだ」ホッ
「道場での高坂さんの様子を話してもよいのですが」チラッ
エリカ「えぇ〜っ」ビクッ
「それはまた次の機会にしておきましょう」ニッコリ
エリカ「ふぅ、良かった」
リナ「カモメちゃんもお買い物?」
カモメ「はい。ついでにお散歩です」
リナ「リナのお家はこっちだからー、またねー」タッタッタッ
「走ると危ないですよ!」
リナ「はーい」トコトコ
「2人も街中で走ってはいけませんよ? 車に轢かれてしまいます」
エリカ「はーい」
カモメ「はい」
ー穂むらー
エリカ「あっ、エリカはこっちから入らないと」
「そうですね。カモメ、挨拶を」
カモメ「エリカちゃん、またね」フリフリ
エリカ「また学校でね!」
ガラッ
「あら、いらっしゃい」
「ご無沙汰しております」
「こんばんわ」
エリカ(先生とおばあちゃんって、お友達なのかな)ハテナ
エリカ「まあいっか」
ガチャ
エリカ「ただいまー!」
「あら、おかえりなさい」
エリカ「絵里ちゃんだ!」ギュッ
絵里「道場から帰って来たの?」ナデナデ
エリカ「さっき終わって、先生とカモメちゃんと一緒に帰って来た!」ニコニコ
絵里「それじゃあ、ちょっと先生とお話してくるわね」
エリカ「ママも帰って来てる?」
絵里「2階で休んでるわ」
エリカ「はーい!」タッタッタッ
絵里「あっ! 手洗いとうがいは?」
エリカ「あとでー」
ガラッ
「ん?」
エリカ「ママッ!」
穂乃果「帰って来たんだ、おかえりなさい」ニコニコ
エリカ「ただいまー!」ギュッ
穂乃果「うん?」クンクン
エリカ「どうしたの?」キョトン
穂乃果「汗臭いから、先にお風呂入ってきてね」
エリカ「えー、お腹空いた」グゥ
穂乃果「今からママが作るから、お風呂からあがったらご飯だよ!」
エリカ「はーい」ゴソゴソ
ーーー
穂乃果「これぐらいかなー」ウーン
穂乃果母「ちゃんと計りなさい」
穂乃果「えー、お母さんは適当に入れてるのに?」
穂乃果母「穂乃果より何年先輩だと思ってるの? いつもそれで失敗するんだから、ちゃんと計りなさい」
穂乃果「はーい」
穂乃果母「次は?」
穂乃果「煮る」
穂乃果母「・・・・・・」
穂乃果「弱火で」
穂乃果母「落とし蓋は?」
穂乃果「えっ、豚肉入れるの?!」
穂乃果母「アルミホイルでもいいから、こうやって蓋をする事を落とし蓋って言うのよ」ハァ
穂乃果「ほぇー」
穂乃果母「ちゃんとメモしておきなさい」
穂乃果「はーい」メモメモ
エリカ「ママもお勉強?」
穂乃果父「・・・・・・」ナデナデ
絵里「そうね。エリカの為に頑張っているのよ」ニコニコ
エリカ「えへへ」テレテレ
絵里「ほら、いつまでもお義父様の膝に乗っていたら重いわ。こっちに来なさい」
エリカ「えー、大丈夫だよね?」
穂乃果父「・・・・・・」コクン
エリカ「ほら!」ニコニコ
絵里「ごめんなさい」アセアセ
穂乃果父「・・・・・・」
エリカ「えっ、べ、勉強?」
絵里「ちゃんとやらないと、また学校の先生に怒られるわよ?」
エリカ「きょ、今日は簡単なのだから!」
絵里「あとで一緒にやりましょうか」ニコニコ
エリカ「うん!」パアァ
穂乃果「お待たせ!」コトッ
エリカ「やった!」グゥ
絵里「はい、ちゃんと座りなさい」
エリカ「今日はここで食べたーい」
穂乃果母「あらあら。もう3年生なのに、おじいちゃんの膝の上がいいの?」ニマニマ
エリカ「う、うん」モジモジ
穂乃果「ワガママばかり言ってると、絵里ちゃんが怒るよー、怖いよー」ニマニマ
エリカ「!!」チラッ
絵里「エリカ」
エリカ「・・・・・・」トコトコ
穂乃果「えらいえらい」ナデナデ
エリカ「いただきます!」モグモグ
ーーー
穂乃果「よーし、これで終わりだよね?」
穂乃果父「・・・・・・」コクン
穂乃果「お父さんも歳なんだから、あんまり無茶しちゃダメだよ」
父「・・・・・・」グッ
穂乃果「穂乃果は先に戻ってるよー」
ガラッ
穂乃果「あれ?」
エリカ「うぅ〜」
絵里「あっ、もう終わっちゃった?」
穂乃果「うん! 今日は絵里ちゃんの出番はないよ」
絵里「明日は私に任せなさい」
穂乃果「宿題、まだ終わらないの?」チラッ
絵里「簡単だって言っていたのに、見ての通りよ」
エリカ「絵里ちゃん、ここ分からない」シュン
絵里「さっきと同じ解き方で出来るから、もう少し頑張りなさい」
エリカ「ママぁ〜」ウルウル
穂乃果「ま、ママはシャワー浴びてこよーっと」
エリカ「むぅ〜」ムスッ
絵里「ほら、集中して」ナデナデ
エリカ「ねえー、どうしてお勉強しなくちゃいけないの?」
絵里「エリカの将来の為よ」
エリカ「でもママは、お勉強してなかったって言ってたよ?」
絵里「・・・・・・そうね。だから、あとですっごく苦労していたわ」フフッ
エリカ「どれくらい?」
絵里「去年の夏休みのこと、覚えてるでしょ?」
エリカ「・・・・・・忘れた」アセアセ
絵里「泣きながら宿題やっていたでしょ。あの時の100倍ぐらい苦労したって」
エリカ「ほ、本当に?」ガクガク
絵里「あとでママに訊いてみなさい」ニコニコ
エリカ「が、頑張る」カキカキ
絵里「その意気よ」
〜〜〜
エリカ「終わったー」グッタリ
絵里「はい、お疲れさま」
エリカ「・・・・・・」カクン
絵里「あっ! ちゃんと布団で寝なさい」ユサユサ
エリカ「・・・・・・」スースー
絵里「もぉ、まったく」ハァ
ガラッ
穂乃果「終わった、かな?」チラッ
絵里「いま終わって、力尽きたところよ」ガタッ
穂乃果「限界だったんだねー」
絵里「寝顔は本当に穂乃果そっくり」
穂乃果「えへへ」テレテレ
絵里「勉強嫌いなところもね」チラッ
穂乃果「あはは・・・・・・」
穂乃果「あっ、エリカは私が部屋に運んでおくよ」
絵里「ありがとう」
穂乃果「お風呂は絵里ちゃんの番だから、あとはお願いできる?」
絵里「ええ」
穂乃果「よいしょ・・・・・・重ッ」ズシッ
絵里「そういえば、夕方頃に海未がお店に来てたわよ」
穂乃果「えー?! どうして呼んでくれなかったの!」
絵里「お買い物に来ただけみたいで、すぐに帰ってしまったわ。また今度ゆっくりお邪魔するって」
穂乃果「そっか」
絵里「カモメちゃんと一緒に来てくれてて、また一緒に遊んであげてくださいって」
穂乃果「えっ? 穂乃果と?」
絵里「カモメちゃんとエリカの話よ」
穂乃果「・・・・・・穂乃果たちみたいに、ずっと仲良しで居てくれるといいね」
絵里「・・・・・・そうね」
〜〜〜
「楽しかった?」
エミ「うん。また行きたい」
「それはええけど、まだ1人で行ったらアカンよ?」
エミ「はーい」
「えらいえらい」ナデナデ えりか ほのえり
かもめ ことうみ
りな りん??
えみ のぞ??
わからんなあ りな→りんぱな
えみ→のぞ??
残ってるのはにこまきだけど ー少し前・穂むらー
海未「それでは、失礼します」ペコリ
穂乃果母「またいつでも来てね」
絵里「次は穂乃果も一緒に、みんなでご飯でも食べに行きましょ」ニコニコ
海未「・・・・・・はい、楽しみにしています」ニッコリ
海未「カモメ」ボソッ
カモメ「さようなら」ペコリ
絵里「カモメちゃんもまたね」フリフリ
ピシャ
カモメ「・・・・・・」トコトコ
海未「夜ご飯を食べたら、ほむまんをいただきましょう。カモメも好きですよね?」テクテク
カモメ「・・・・・・はい」
「「・・・・・・」」 海未「ひ、久し振りに手を繋いで帰りましょうか」
カモメ「・・・・・・はい」ギュッ
「「・・・・・・」」
海未「カモメも大きくなりましたね」ナデナデ
カモメ「私、もう小学校です」
「「・・・・・・」」
カモメ「ねえ、先生?」
海未「ほむまんは帰るまで我慢です」
カモメ「今日はお母さん、帰って来ますか?」チラッ
海未「・・・・・・分かりません」
カモメ「そう、ですか」シュン
海未「寂しいですか?」
カモメ「わ、私には先生がいるから」ギュッ 海未「こと、お母さんが帰って来たら、早く帰られる日を訊いておきます」
カモメ「本当です?!」パアァ
海未「ええ。お母さんに見せても恥ずかしくないように、お母様の稽古も一緒に頑張りましょう」
カモメ「はい! みんなでご飯が食べたいです!」ニコニコ
海未「それも伝えておきますよ」 ー同じ頃・星空家ー
ガチャ
リナ「ただいま!」
「おかえりー!」ギュッ
リナ「凛ちゃん!」ギュッ
凛「汗臭いねー」ナデナデ
「あれ、もう帰って来ちゃったのっ?」ビクッ
リナ「マンマッ!」
「ごめんね、まだご飯出来てなくて」アセアセ
リナ「えぇー・・・・・・」ショボン
凛「お風呂入っておいで。そうしたらすぐご飯だにゃー」
「凛ちゃん」
凛「あっ、ご、ごめん」
リナ「凛ちゃんも一緒に入るにゃー」ヌギヌギ
「「・・・・・・」」
ジュージュー
凛「そ、そうだね! 一緒に入ろう」 ーお風呂ー
凛「今日はなにして遊んでたの?」
リナ「カモメちゃんの道場いってたー」
凛「楽しかった?」
リナ「うん。エリカちゃんとー、投げたり投げられたりしたんだー」ニコニコ
凛「今日は柔道やってたの?」
リナ「じゅーどー?」
凛「柔道って、先生が言ってなかった?」
リナ「言ってたよーな」ウーン
凛「カモメちゃんは、誰に投げられてたの?」
リナ「すっごく大きい人! お姉さんだったけど、カモメちゃんも投げてたー」
凛「さすがだにゃー」
リナ「にゃー」ホッコリ 「凛ちゃーん、リナちゃーん」
凛「!?」ビクッ
リナ「はーい」
「ご飯出来たから、早く上がっておいで」
リナ「ごはん!」ザバァ
凛「コラーッ! まだ体拭いてないでしょ!」ガシッ
リナ「ごはんごはん」ジュルリ 〜〜〜
リナ「おかわり!」モグモグ
「ダメ。口の中が無くなってからね」
リナ「・・・・・・」モグモグ
凛「いつ食べても、かよちんのご飯は最高だ、ね」モグモグ
花陽「凛ちゃんも。お行儀悪いよ」ジトー
凛「・・・・・・」モグモグ
リナ「おかわり!」スッ
花陽「はい、どうぞ」ペタペタ
リナ「ありがと!」モグモグ
花陽「学校は楽しい?」
リナ「・・・・・・」ブンブン
凛「道場も楽しいんだよね?」チラッ
リナ「・・・・・・」ブンブン
花陽「運動もいいけど、お勉強もしっかりとしないとね」ニコニコ
リナ「・・・・・・」モグモグ 凛「ま、まあまあ。食べ終わったら、宿題もちゃんとやるよね?」
リナ「う、うん」
凛「かよちんも喋ってばかりいないで、ご飯食べないと無くなっちゃうよ?」スッ
花陽「凛ちゃん。お行儀悪いし、リナも見てるから」アセアセ
リナ「・・・・・・」モグモグ
凛「1回だけだから。はい、あーんして」
花陽「もう・・・・・・本当に1回だけだよ? あ、あ〜っ」テレテレ
リナ「もぐもぐ」ニコニコ
花陽「んっ」モグモグ
凛「おいしいでしょ?」
花陽「うんっ。お惣菜も手作りした方がおいしいね〜」ホッコリ
凛「それにかよちんはプロだもんね」
花陽「そ、そんな事ないよ〜。チェーン店だから、1から作ってるおかずなんてほとんど無いから」
リナ「リナもやる! リナもやりたい!」キラキラ
花陽「凛ちゃん・・・・・・」ジトー 凛「い、1回だけだよ? それ以上やると、ママが怒っちゃうよー」
リナ「!!」ビクッ
花陽「・・・・・・」ジー
リナ「わ、分かった」
グサッ
リナ「はい、あーんしてください」
凛「あれ、凛が食べるの?」
リナ「あーっ」
凛「んっ」パクッ
リナ「おいしー?」
凛「おいしい!」ナデナデ
リナ「えへへー」 中の人のアレほど突き抜けてればともかくこれはちょっと何がしたいんだかわからん ーある日の夕方ー
エミ「ただいまー」ガチャ
「おかえり。今日も公園行くん?」
エミ「ううん。テレビ観る」
「なに観るん?」
エミ「昨日録画してたの」
「へぇー。ママも一緒に観ていい?」
エミ「いいけど、邪魔しちゃイヤだよ?」チラッ
「邪魔なんてせーへんよ」ニッコリ
ピッピッ
テレビ「ワァーッ!!」
テレビ「今回は、10組の豪華アーティストの方々に来ていただいています」
「エミちゃん、歌すきやね」
エミ「しっ! 静かにして」
「はい」シュン 〜♪〜♪
エミ「ララー♪ラーラー♪」
(ノリノリやん)ニコニコ
エミ「踊ってもいい?」
「あんまりドンドンしたらアカンよ」
エミ「はーい」タンタンッ
(いつもすぐに転ぶのにダンスは上手って・・・・・・)「スピリチュアルやなー」ボソッ
エミ「ラーララー♪」ルンルン 〜〜〜
テレビ「次はこの方です!」
エミ「あっ」
「ん?」
ピッ
「もういいん?」
エミ「うん・・・・・・あとで観る」トコトコ
「そっか。台所におやつ置いてあるよ」
エミ「はーい」
バタン
「・・・・・・」ピッ
テレビ「にっこにっこにーでお馴染み、大銀河宇宙ナンバーワンアイドルの矢澤にこさんです!」
テレビ「ワァーッ! キャーッ!」
ピッ ー3日後・高坂家ー
トコトコトコ
エリカ「おかあーさーん、ご飯まだー?」
穂乃果「まだっ!」
穂乃果母「ほら、また間違えてる」ハァ
穂乃果「えぇ〜」アセアセ
エリカ「お腹空いたー」
穂乃果母「もうちょっと待っててね」ニコニコ
ピシャ
エリカ「うぅ〜」グゥ ー旧・穂乃果の部屋ー
エリカ「なにかないかなー」ゴソゴソ
エリカ「うーん」(前に隠してたお菓子は食べちゃったんだっけ?)
エリカ「えーっと、他には・・・・・・あっ!」チラッ
穂乃果『ここにはママの大切な物が入ってるから、絶対に触っちゃダメだよ!』
エリカ「・・・・・・」ジー
ゴソゴソ
エリカ「えへへっ」(やっぱり)キラキラ
ガラッ
エリカ「!!」ビクッ
穂乃果「えりかー? ご飯お待たせ!」
「「あっ」」 穂乃果「・・・・・・えーりーか、ちゃん」ニコニコ
エリカ「あっえっとその、あのお腹、へり過ぎて」
穂乃果「うんうん、それで?」
エリカ「ママが、お菓子、隠している、っと思って」ウルウル
穂乃果「そこ、ママが触っちゃダメって言わなかった?」
エリカ「う、うん」
穂乃果「それって良いこと?」
エリカ「わ、悪い、こと」
穂乃果「だよね。ママに言うこと、ある?」
エリカ「ごめん、なさい」ウルウル
穂乃果「次からは触っちゃダメだよ?」ナデナデ
エリカ「う゛ん」フキフキ
穂乃果「よいしょっと」ゴソゴソ
穂乃果「・・・・・・はい」スッ
エリカ「えっ?」
穂乃果「次から触らないって、約束してくれたお礼」ニコニコ
穂乃果「穂乃果は先に戻ってるから、冷めないうちに早くね」
エリカ「・・・・・・」グスン
モグモグ ー土曜日の夜・高坂家ー
テレビ「次はこの方です! 」
エリカ「・・・・・・」ジー
ガラッ
絵里「あら、まだ起きていたの?」
エリカ「・・・・・・」
絵里「明日も早起きするんでしょ?」
エリカ「明日は学校お休みだから」
絵里「道場は?」
エリカ「・・・・・・あるけど」
絵里「遅刻すると先生に怒られるわよ」ピッ
プツン
エリカ「あーっ!?」 絵里「部屋でママと一緒に寝なさい」
エリカ「もうすぐで終わりだったのに」ムスッ
絵里「終わるならちょうど良かったじゃない」
エリカ「最後まで観たかったのっ!」
絵里「はいはい。文句はまた明日にでも訊いてあげるわよ」
エリカ「・・・・・・」イラッ
絵里「だから今日はもう寝なさい」
エリカ「寝る!」ガタッ
絵里「おやすみなさい」
エリカ「絵里ちゃんのバカッ! 大嫌いっ!」ピシャ
絵里「・・・・・・はぁ」 ー翌日・夜ー
穂乃果母「いただきます」
エリカ「あれ? ママと絵里ちゃんは?」キョロキョロ
穂乃果母「うーんと、それがね」アセアセ
エリカ(おじいちゃんも居ない)
穂乃果母「絵里ちゃん、ちょっと頑張り過ぎたのね。入院することになったのよ」
エリカ「えっ」
穂乃果母「ママとおじいちゃんはその付き添いよ。もうすぐ帰ってくると思うけど」
エリカ「絵里ちゃん、は?」
穂乃果母「体が良くなるまでは、帰って来られないかもしれないわねぇ」
エリカ「・・・・・・」ウツムキ
穂乃果母「そ、そんなに心配しなくても大丈夫よ。すぐに良くなって帰ってくるわ」ナデナデ
エリカ「・・・・・・うん」(エリカのせい、なのかな)シュン
穂乃果母「さあ、冷めないうちに食べましょ」ニコニコ
エリカ「いただきます」ボソッ ー病院ー
穂乃果「いやー、救急車で運ばれたって聞いた時はビックリしちゃったよ」ニコニコ
絵里「心配をかけてしまったわね」
穂乃果「ううん! なんともなくて良かったっ」
絵里「本当はすぐにでも帰りたいけれど、念の為にって」ハァ
穂乃果「無理してまた倒れたら意味ないよ! 絵里ちゃんも歳なんだから、ゆっくり休まないとね」ニマニマ
絵里「1つしか違わないでしょ」ジトー
穂乃果「あはは・・・・・・」アセアセ
穂乃果「あっ、これに着替えと、お饅頭も入ってるから」ガサゴソ
絵里「ありがと・・・・・・」ボソッ
穂乃果「どうしたの?」
絵里「えっ、あっ、な、なに?」
穂乃果「なにか悩みごと?」ニコニコ
絵里「お義母様、お義父様に迷惑をかけてしまったと思ってね」
穂乃果「そんなに気にしなくていいよー」
穂乃果「お父さんなんて役に立てるのが嬉しくて、張り切って入院手続きしてくれてるよ?」
絵里「穂乃果に私の気持ちなんて分からないわよ」ムスッ 穂乃果「えー、そんなことないよ!」
絵里「エリカの事も・・・・・・」
穂乃果「エリカ?」キョトン
絵里「なんでもない」シュン
穂乃果「エリカがどうかしたの?」
絵里「だからなんでもないって」
穂乃果「穂乃果だって絵里ちゃんと同じママなんだよ?」ジー
絵里「・・・・・・穂乃果はエリカに甘過ぎるわ」
穂乃果「・・・・・・」
絵里「叱るのはいつも私で、穂乃果は甘やかしてばかり」
絵里「私だってできる事なら叱りたくないわよ。だけどそれじゃあ、エリカの為にならない」
絵里「エリカには、女性らしくしっかりとした子に育ってほしいのよ」
穂乃果「それは穂乃果も同じだよ!」 絵里「しっかり躾けられるなら、嫌われ役なんていくらでも出来るつもりだったわ。けれど、実際に面と向かって嫌いと言われるとヘコむものね」シュン、
穂乃果「えっ?! 絵里ちゃん嫌われてたの?」
絵里「嫌われてるというよりは、フッと出た言葉だとは思うけれど」
穂乃果「な、なんでまた」
絵里「・・・・・・夜遅くまでテレビを観ていたから、無理やり消したのよ。そうしたら」
穂乃果「あー、それは絵里ちゃんが悪いよ」
絵里「夜更かしは良くないのよ?!」
穂乃果「それはそうだけど、なんでもダメ! ダメ! って言っちゃ、エリカだって苦しいよ」
穂乃果「テレビ番組なら録画しておいてあげるとか、今はあとからネットで観る事も出来るし」
穂乃果「穂乃果ももう少し絵里ちゃんのお手伝いするよ! だから、エリカとお話する時間を作ってみて」
絵里「・・・・・・」
穂乃果「穂乃果からも仲直りするように、エリカに言っておくからね!」 ガラッ
穂乃果父「・・・・・・」ゴホン
穂乃果「あっ、手続き終わった? それじゃ帰るねー」テクテク
穂乃果父「・・・・・・」ニッコリ
絵里「すみません」ペコリ
穂乃果「また明日来るからね」パタン
シーン
絵里「・・・・・・」 ー高坂家ー
ガラッ
穂乃果「ただいまー」
穂乃果父「・・・・・・」テクテク
穂乃果母「おかえりなさい。どうだったかしら?」
穂乃果「明日の検査結果が出るまで退院はできないけど、大丈夫だろうって」
穂乃果母「良かったわ」ホッ
穂乃果「うん! お母さんとお父さんに申し訳ないって、すごく気にしてたよ」
穂乃果母「そんなこと気にしなくても」
穂乃果「そう言うと思って、気にしなくていいよって言っておいた!」
穂乃果「ところでエリカは? もう寝ちゃった?」
穂乃果母「部屋に居るんだけど・・・・・・」
穂乃果「なにかあったの?」
穂乃果母「いつもに比べて、元気がないのよね。大丈夫かしら」
穂乃果「ちょっと見てくる」テクテク
ー旧・穂乃果の部屋ー
ガラッ
穂乃果「エリカ? ただいま」
エリカ「おかえり」ボソッ
穂乃果「わっ?!」
穂乃果「もう、起きてるなら電気ぐらい点けないと」カチカチッ
エリカ「・・・・・・」
穂乃果「おばあちゃんが元気ないって心配してたよ? 学校で何かあったの?」
エリカ「・・・・・・ごめん、なさい」ウルウル
穂乃果「ちゃんと話して」ニッコリ
エリカ「絵里ちゃん、に、ひどい、ひぐっ、こと、言っちゃった、から」ポロポロ
穂乃果「泣かなくていいって」ギュッ
エリカ「う゛ん゛。で、も゛・・・・・・」ギュー
穂乃果「病院に行ってるのは、エリカのせいじゃないよ」
エリカ「ほ、ホントに?」グスッ
穂乃果「うん! 検査しても何ともないから、すぐに帰って来れるって」ナデナデ
エリカ「よかったぁ」フキフキ
穂乃果「でも、絵里ちゃんにはちゃんと謝らないとね?」
エリカ「うん・・・・・・」
穂乃果「絵里ちゃんも、エリカみたいに泣きそうな顔で言ってたよ。悲しい悲しいって」
エリカ「ごめ、ん、なさい」ウルウル
穂乃果「絵里ちゃんに”ごめんなさい”出来そう?」
エリカ「が、がんばる」ゴシゴシ
穂乃果「えらいえらい」ナデナデ
エリカ「・・・・・・」シュン
穂乃果「寝る前に顔洗ってこなきゃね。そのままだと痕になっちゃうよ」
エリカ「!!」ゴシゴシ
穂乃果「擦っても取れないって、洗っておいで」
エリカ「うん」トコトコ ー翌日の夜・旧・穂乃果の部屋ー
ガラッ
エリカ「あっ!」ビクッ
絵里「エリカ、ちょうど良いところに」
エリカ「あっ、えっと」オロオロ
絵里「少しだけ、話をしましょ」
エリカ「お、怒る?」ブルブル
絵里「怒らないから、座りなさい」
エリカ「うん」ホッ
絵里「あっ! 寝転びながら話した方がいいかしら? 向かい合うと変に緊張しちゃうわよね」
エリカ「ど、どっちでも」ウツムキ
絵里「そう・・・・・・。この前の事、覚えてる?」
エリカ「!!」 絵里「テレビを勝手に消して、ごめんなさい」ペコリ
エリカ「・・・・・・えっ?」
絵里「ずっと楽しみにしていた番組だったのよね?」
エリカ「ずっと、というか、毎週やってるけど」アセアセ
絵里「そ、そう。それでね、同じ番組がパソコンでも観られるから、一緒に観ましょ?」ニコニコ
エリカ「今から?」キョトン
絵里「ええ! 翌週まで観られるのよ」カチカチッ
エリカ「ホントだ!」キラキラ
絵里「ふふっ」
エリカ「早送りは出来る?」
絵里「えっ? いいの?」
エリカ「最後の方までは観てたから」ジー
絵里「それなら」カチッ
エリカ「寝るの遅くなると、良くない、から」ボソッ
絵里「!!」パアァ エリカ「ストップ! ストップ!」アセアセ
絵里「えっ! あ、は、はい」カチッ
『次はこの方です!』
絵里「ん?」
『にっこにっこにぃ〜っ! 大銀河うちゅぅ〜?』
『『ナンバーワン!』』
エリカ「ナンバーワン」ボソッ
絵里「エリカは、にこが好きなの?」
エリカ「うん!」
絵里「へぇー、学校でも人気?」
エリカ「うーん、あんまり」
絵里「お友達と話が合わないと、つまらないんじゃない?」
エリカ「みんなが知ってるアイドルも好きだけど、エリカはにこちゃんが1番好き!」
絵里「・・・・・・どうして?」
エリカ「キラキラしてて綺麗だし、すっごく可愛いから」ジー
エリカ「歌ってない時もずっと笑顔で、エリカまで楽しくなってくるよ」ニコニコ
絵里「本当に、その通りだと思うわ」ジーッ
〜〜〜
『ありがとうございました! それではまた来週〜』
エリカ「終わっちゃった」
絵里「・・・・・・」
エリカ「・・・・・・絵里ちゃんも、寝る?」
絵里「そうね」
エリカ「全部消しちゃイヤだよ」モゾモゾ
絵里「オレンジにするわよ?」
エリカ「うん」
絵里「おやすみなさい」カチッカチッ
エリカ「おやすみ」
絵里「はあ・・・・・・」
エリカ「ごめん、なさい」ボソッ
絵里「・・・・・・」
エリカ「エリカ、絵里ちゃんのこと、嫌いじゃないよ」
絵里「本当ッ?!」ガバッ
エリカ「!!」
エリカ「お、怒られたりするのは嫌だけど、いつもは優しいから」プイッ
絵里「エリカ・・・・・・」ウルウル
エリカ「エリカが悪いから、絵里ちゃんもママも怒るんだよね」シュン
絵里「ママにも、怒られるの?」
エリカ「・・・・・・たまにだけど」
絵里「それじゃあ、ママと私ならどっちが好き?」ニコニコ
エリカ「えー」テレテレ
絵里「ねえねえ、私もそっちに行っていいかしら?」
エリカ「暑いからヤダ」プイッ
絵里「今日だけよ、お願い」
エリカ「・・・・・・ちょっとだけだよ?」
絵里「ふふふ」ギュー
エリカ「んー」モゾモゾ
絵里「寝ている間は体温が下がるから、少しだけ温かくしておかないとダメなのよ」
エリカ「う、ん・・・・・・」ウトウト
〜〜〜
穂乃果「はぁ、疲れた」ガラッ
「「・・・・・・」」スースー
穂乃果「あっ」(穂乃果の寝る場所とられちゃった)ニコニコ
穂乃果「もう、今日だけだよ?」ボソッ 今日はここまでです。
明日から3日ほど投稿できません。落ちたら立て直します。 おつおつ
母親になっても子供っぽいところは相変わらずだな ーある日・エミの家ー
「んー!」
ピンポーン
「エミちゃーん! 代わりに出てー」
エミ「はーい」トコトコ
「あっ! 知らん人やったら開けたらアカンよ!」
エミ「はーい」
ピンポーン
カチャ
『私だけど、開けてくれる?』
エミ「どちらさまですか?」
『・・・・・・お母さんに代わってもらえる?』
ピッ エミ「ママに代わってって」
「はーい。ありがとうね」
エミ「うん」トコトコ
「もうすぐお友達来るん?」
エミ「そうだった」アセアセ
「だからいつも掃除しなさいって言ってるやん」ハァ
カチャ
「はい、代わりました」
『私だけど、少しだけ話せる?』
「ちょっと待っててな」ポチッ ーーー
「久しぶりね、希」
希「そうやね」ニッコリ
「そうね・・・・・・。本当はもっと来られたらいいんだけど」ウツムキ
希「お医者様やもん。パートのウチとは、比べもんにならんよ」
「だからって言い訳はしたくないわ。この子のためにも」
希「おーっ!」
「!!」ビクッ
希「大きくなったね。何歳なん?」
「もうすぐ誕生日で、7歳になるわ」
希「そっかそっか。おめでとう」ニコニコ
「・・・・・・うん」コクン
希「あっ、立ち話でごめんね。お茶でも飲んでいって」
「嬉しいけれど、もう行かなきゃ」 希「あらら。何か用事?」
「誕生日祝いに、レストランに行こうと思ってて」
希「3人で?」ニヤニヤ
「そうだけど・・・・・・なに?」ジトー
希「いやいや、なにも」
「まったく」ハァ
希「仲良くやってるんやね」
「そうね。希の方は?」
希「ウチも楽しくやっとるよ。少しだけ寂しい時もあるんやけど」
「・・・・・・」 希「エミちゃんもおるから頑張らんと」
「お母さん」グイグイ
「分かってるわ」チラッ
希「急いでるんやったね」
「いいのよ。また時間が出来た時にお邪魔するわ」
希「いつでも来てな」フリフリ
「ええ、また」
テクテク
希「・・・・・・」 ピンポーン
希「エミちゃーん、お友達来たんと違う?」テクテク
エミ「えー! 早いよー」ドタバタ
カチャ
『あっ! 私たちエミちゃんの友達で』
希「はーい。ちょっと待っててね」
希「入ってもらうよ?」ポチッ
エミ「う、うん!」 ーある日・園田家ー
海未「お疲れさまでした」ペコリ
カモメ「ありがとうございました」ペコリ
海未「ふぅ、さて」
カモメ「・・・・・・」ゴソゴソ
海未「居残り練習を頑張ったカモメには、ご褒美をあげないといけませんね」
カモメ「ごほうび?」キョトン
海未「はい」
カモメ「・・・・・・」キョロキョロ
海未「家の方に用意してあります。一緒に行きましょう」
カモメ「はい」トコトコ ーキッチンー
「ここでお醤油を入れて・・・・・・」
「そうです。そして次に」
「砂糖おおさじ1、ですよね?」
「しっかりと覚えているようですね」ニッコリ
「はいっ」
海未「ただいま戻りました」
カモメ「・・・・・・お母さん?」ジー
「あっ、2人ともおかえりなさ〜い♪」
「お疲れ様です」
カモメ「・・・・・・」トコトコ
ギュッ
「カモメちゃんも、練習お疲れさま」ナデナデ
カモメ「お母さん」ギュー 「ずっと忙しくてごめんねぇ」ギュウ
カモメ「・・・・・・」
海未「料理の方も順調みたいですね」
「お義母様のお陰です♪」
海未母「私は隣で口出ししているだけですよ」
「いえいえ、私なんてまだまだで」アセアセ
海未「お母様が褒めているのですから、素直に受け取りましょう」
「・・・・・・ありがとうございます」ニッコリ
カモメ「お母さん?」
「どうしたの?」キョトン
カモメ「本当にお母さん?」プニプニ
「そーだよぉ♪カモメちゃんのお母さんの、ことりですよぉ」ギュー
ことり「久しぶりだから忘れちゃった?」
カモメ「ううん!」ブンブン
ことり「ごめんね・・・・・・」ナデナデ
〜〜〜 「「ご馳走様でした」」パチッ
ことり「カモメちゃん? 今日はお稽古とか、もう無いよね?」
カモメ「はいっ」ニコニコ
ことり「それじゃあ、寝る前にことりのお部屋に来てくれる?」
カモメ「は、はい」
ことり「ふふふ」 ーことりの部屋ー
カモメ「お母さん? 居ますか?」
ことり「入っていいよぉ」
カモメ「失礼します」ススッ
ことり「カモメちゃんは、本当によく頑張っていますっ」
カモメ「えっ」ビクッ
ことり「お勉強は少しだけ苦手みたいだけど」
カモメ「!!」
ことり「道場はほとんど毎日、お稽古も頑張ってる。好き嫌いもしない」
ことり「そんな頑張り屋さんのカモメちゃんに、私からプレゼントです! じゃじゃーん♪」
カモメ「わぁ〜っ!」キラキラ
ことりの後ろには、数十着のTシャツやハーフパンツなどが並べられていた。 ことり「もうすぐ夏休みだから、好きな服でたくさん汗をかいてね」
カモメ「全部、ですか?」
ことり「そうだよ。そして・・・・・・」ゴソゴソ
カモメ「??」
ことり「これが1番のオススメ、ことりスペシャルですっ」バサッ
カモメ「・・・・・・」ジー
ことり「・・・・・・あれ?」
カモメ「私の、です、か?」
ことり「う、うん。お母さんが作ったんだよ?」
カモメ「お母さんが・・・・・・」(私のために)
ことり「こういうのは、好きじゃなかったかなぁ」シュン
カモメ「えっ、あっ、い、いつもはこういうお洋服、着ないから」
ことり「フリフリがたくさん付いてて可愛いよねぇ」ウットリ
カモメ「で、でも、スカートが、えっと」モジモジ ことり「あっ、これはスカッツっていって、スカートの下のタイツと一緒になってるんだぁ」ピラッ
カモメ「・・・・・・」ジー
ことり「これでもダメ、かなぁ」
カモメ「大切にします」テレテレ
ことり「ふふっ、やったぁ」ギュー
カモメ「わっ?!」ビクッ
ことり「全然一緒に居られなくてごめんなさい。こんなお母さんじゃ、嫌いになっちゃうよね」
カモメ「・・・・・・だ、大丈夫、です。先生もおばあちゃんもおじいちゃんも居ます」シュン
ことり「もう少しだけ、早く帰れるように頑張るねっ」ナデナデ
カモメ「明日も、一緒にご飯を食べられますか?」
ことり「・・・・・・ごめんなさい」
カモメ「・・・・・・」ショボン
ことり「だからね、今日は寝るまでお話しよっか」ニコニコ
カモメ「お話、ですか?」
ことり「うん♪ことりのベットで一緒に寝よ? 」
カモメ「はい!」パアァ 〜〜〜
カモメ「・・・・・・」スースー
海未「寝てしまいましたね」
ことり「うん・・・・・・」
海未「3人で並んで寝るなんて、随分と久しぶりな気がします」フフッ
ことり「ごめんね」
海未「謝ってばかりですね」
ことり「だって、ほとんど海未ちゃんに任せっきりになっちゃってる」シュン
ことり「ことりだって寂しいよ・・・・・・」
海未「頑張ると決めたのでしょう?」
ことり「頑張る、頑張るけどぉ・・・・・・」
海未「あまり弱気な事ばかり言っていると、カモメに笑われてしまいますよ」
ことり「・・・・・・よしっ」
ことり「来週からの休みは、ちゃんと家に帰ってカモメちゃんと遊びますっ」
海未「起きたら伝えておきますね」
ことり「お母さんも頑張るからねぇ」ナデナデ
海未「私たちもそろそろ寝ましょう」
ことり「おやすみなさ〜い」
海未「おやすみなさい」スッ ー数日後・高坂家ー
絵里「本当に大丈夫? 迷子になったらすぐに電話するのよ」アセアセ
エリカ「だいじょーぶ!」
穂乃果「それじゃあ、持ち物確認!」
エリカ「ハンカチ、ティッシュ、電話・・・・・・」パッパッ
「「・・・・・・」」
エリカ「お財布忘れた!」
穂乃果「取って来なさい」
エリカ「はーい」トコトコ 絵里「本当に大丈夫かしら」オロオロ
穂乃果「もう3年生なんだから大丈夫だよ」
穂乃果「それに、可愛い子には旅をさせろって言うでしょ?」
絵里「それは昔だからよ。今は悪い人もたくさん居て、交通事故だって」アセアセ
穂乃果「・・・・・・付いて行っちゃダメだよ?」ジトー
絵里「わ、分かってるわよ」
穂乃果「携帯電話にGPSも付いてるし、心配しすぎだよ」
エリカ「取ってきた」トコトコ
穂乃果「お金とお買い物メモも、ちゃんと入ってる?」
エリカ「・・・・・・ある!」ゴソゴソ
穂乃果「それじゃあ、行ってらっしゃい!」
エリカ「行ってきまーす!」ガラッ
タッタッタッ
絵里「走ったら・・・・・・はぁ」ドキドキ
穂乃果「・・・・・・」フリフリ
絵里「・・・・・・ちょっと煙草を買いに」
ガシッ
穂乃果「吸わないでしょ」 絵里「今日は、穂乃果のチョコレートを買いに行くんだったわ」
穂乃果「今日はお饅頭な気分だから」
絵里「・・・・・・」
穂乃果「ねえねえ、せっかくのお休みなんだよ?」チラッ
絵里「そ、そうね」ドキドキ
穂乃果「エリカも居ないし、その、久しぶりに、ね?」モジモジ
絵里「お義父様の手伝いをしないと」テクテク
穂乃果「・・・・・・はぁ」シュン
「・・・・・・」コソコソ ー同じ頃・園田家ー
海未「いいですか? エリカの方がお姉さんですが、危ない事をしそうになったら止めるんですよ」
カモメ「はい」
海未「悪い大人に捕まりそうになったら?」
カモメ「大声で叫びます!」
海未「決して戦ったりしてはいけません。あと、車や自転車にも気を付けてください」
カモメ「はい」
海未「お菓子は1つだけ買ってもいいですが、家に帰るまで開けてはいけません」
カモメ「はい」
海未「それから・・・・・・」
エリカ「こんにちわー!」ガラッ
カモメ「あっ! エリカちゃん」ニコニコ
海未「今日はカモメを頼みましたよ」ニッコリ
カモメ「よろしくお願いします」ペコリ エリカ「わぁ〜! 今日のカモメちゃん、すっごく綺麗なお洋服だね」キラキラ
カモメ「う、うん」テレテレ
エリカ「よし! しゅっぱーつ!」
カモメ「あっ、ま、待って」
海未「ちゃんと手を繋いで行きなさい!」
エリカ「あっ! 忘れてた」アセアセ
ギュッ
カモメ「走るのもダメですよ?」
エリカ「分かってる!」
カモメ「行ってきます」フリフリ
海未「行ってらっしゃい」フリフリ
バタンッ
海未「・・・・・・」ハラハラ うみえりの子どもが心配でいてもたってもいられなくなりそう感
わかる
ー道中ー
エリカ「そのお洋服かわいいね。どこで買ってもらったの?」
カモメ「これは、お母さんが作ってくれたんです」モジモジ
エリカ「えっ、先生が作ったの?!」
カモメ「先生じゃなくて、お母さんです」
エリカ「へー、すごいね! いいないいなー」
カモメ「私は、エリカちゃんの方がいいです」シュン
エリカ「どうして?」
カモメ「お母さんはお仕事が大変で、あまり会えないです」
エリカ「そっかー。エリカのママと絵里ちゃんは、早く帰って来るけど朝がすっごく早いよ」
カモメ「何時ぐらいですか?」
エリカ「太陽が昇る前には、もうお家には居ないっておばあちゃんが言ってた」
カモメ「それじゃあ、エリカちゃんも寂しいですね」
エリカ「うーん、あんまり。絵里ちゃんにはいつも怒られるから」
カモメ「や、やっぱり、金色の人は怖いんですね」 エリカ「あっでも優しいよ? 怒ると怖いけど。先生も怒ると怖いよね」
カモメ「私は、先生に怒られたりしないです」
エリカ「カモメちゃん、良い子だもんね」
カモメ「・・・・・・」テレテレ
エリカ「お勉強してなくて怒られたりはしない?」
カモメ「!!」ビクッ
エリカ「あっ! 赤信号だよ!」ピタッ
カモメ「あそこです!」ビシッ
エリカ「思ったより近かったね」
カモメ「エリカちゃんのお母さんも、あそこでお買い物してるんですか?」
エリカ「そうだよ! カモメちゃんも?」
カモメ「はい!」 エリカ「お菓子買ってもらえる?」
カモメ「ううん。私は一緒に行った事ないです」
エリカ「そうなんだ」
カモメ「でも今日は、1つだけなら買ってもいいって言ってました」ニコニコ
エリカ「おぉー! エリカも1つだけ買おうかな」
カモメ「いいって言ってました?」
エリカ「・・・・・・言ってないけど」アセアセ
カモメ「青信号です」トコトコ
「・・・・・・」コソコソ ースーパーマーケットー
カモメ「エリカちゃんは、何を買うんですか?」
エリカ「うーんと、なんだっけ」ゴソゴソ
”お買い物メモ”
たまねぎ3コ
にんじん1コ
たまご1パック
チョコレート1コ
エリカ「やった! チョコレート買っても良いって!」キャッキャッ
カモメ「良かったですね」ニコニコ 〜〜〜
エリカ「よし! あとは帰るだけだね!」
カモメ「は、はい」ガサガサ
エリカ「・・・・・・」
カモメ「よいしょ、よいしょ」トコトコ
エリカ「半分持ってあげる!」
カモメ「だ、大丈夫です」
エリカ「エリカの方がお姉さんなんだから!」
カモメ「エリカちゃんは重くないんですか?」
エリカ「うん! リュックサックに全部入ってるもん」
カモメ「私もそれにすれば良かった・・・・・・」シュン
エリカ「だから半分コね」ガサガサ
カモメ「ありがとう、ございます」
トコトコトコ
カモメ「・・・・・・」キョロキョロ
「・・・・・・」ササッ
エリカ「どうしたの?」キョトン
カモメ「な、なんか怪しい人が後ろにいた、ような」
エリカ「怪しい人?!」キョロキョロ
カモメ「あっ、えっと、気のせいかも、しれません」
エリカ「は、早く帰ろっか」
カモメ「は、はい」ドキドキ
カモメ「こ、ここを通るんですか?」ビクビク
エリカ「ちょっと暗くて狭いけど、近道だよ!」
エリカ「エリカが付いてるから大丈夫!」キリッ
カモメ「・・・・・・」トコトコ
エリカ「・・・・・・」トコトコ
ピタッ
カモメ「・・・・・・」(だ、誰かついて来てる?)ビクビク
エリカ「・・・・・・」(後ろからも足音が聞こえる)ビクビク
カモメ「・・・・・・」チラッ
エリカ「・・・・・・」チラッ
コクン
エリカ「せーの、でね?」ヒソヒソ
カモメ「はい」ヒソヒソ
エリカ「せーのっ!」
クルッ
「あっ!」ビクッ
エリカ「カモメちゃんの知ってる人?」
カモメ「・・・・・・」ブンブン
カモメ「エリカちゃんは?」
エリカ「・・・・・・」ブンブン
「「きゃあああ!?」」ダッダッダッ
タッタッタッ
エリカ「ついて来てる! ついて来てるよおおお!」
カモメ「いやあああ!」
エリカ(どうしようどうしようどうしよう)
カモメ「あっ! そうだ!」
海未『悪い大人に捕まりそうになったら?』
カモメ「さ、叫んで! 大人、呼ばない、と」ハァハァ
エリカ「た、たすけでぇー」(どうしよう、声が)ゼェゼェ
カモメ「た、た、たすけきゃっ!?」ズルッ
ズサァーッ
エリカ「カモメちゃん?!」
カモメ「う、うっん」ウルウル
エリカ「あっ! 逃げないと!」クルッ
エリカ「あれ?」
カモメ「あ、あ、足から血が」ズキズキ
カモメ(ふ、服! 汚れないようにしないと)アセアセ
エリカ「血が出てる! しょ、消毒!」(お水で洗うんだよね)
カモメ「そっそれよりも悪い人が!」クルッ
カモメ「あれ?」
エリカ「カモメちゃんが叫んでくれたから、逃げちゃったみたい」ゴソゴソ
カモメ「よ、良かった」ホッ
エリカ「血が出てるけど大丈夫? よく泣かなかったね」ナデナデ
カモメ「こ、これくらいは、へい、き」(うぅ〜、痛い)
エリカ「お水が無いから、これで消毒するね」
カモメ「ジュース?」
エリカ「ううん、お茶だよ。外で怪我した時は、お茶でも消毒できるんだって」(って言ってたような)
カモメ「い、痛い?」ビクビク
エリカ「ちょっとだけだから」ゴソゴソ
エリカ「エリカがかけるから、カモメちゃんはこのティッシュでチョンチョンって綺麗にしてね」
カモメ「う、うん」
エリカ「いくよー」ドバドバ
カモメ「いたっ!?」ズキズキ
エリカ「ちょっとだけ我慢だよ!」
カモメ(が、頑張って消毒しないと!)
チョンチョン
ズキッ
カモメ「んんんっ!?」ウルウル
エリカ「エリカもやってあげるね」
カモメ「えっ」
エリカ「ちょんちょん」
ズキズキッ
カモメ「〜〜〜っ!!」ポロポロ
〜〜〜
キュッ
エリカ「はい、これでもう大丈夫だよ」
カモメ「ありがとう」フキフキ
エリカ「歩ける?」
カモメ「うん」スクッ
エリカ「良かったー」ホッ
カモメ「でも、エリカちゃんのハンカチに血が付いちゃって・・・・・・」
エリカ「包帯の代わりにしたって言ったら、たぶん怒られないよ」ニコニコ
ポツポツ
カモメ「あっ!」
エリカ「雨だーっ!」
カモメ「あ、あそこで雨宿りできそう」
エリカ「急げ―! 」タッタッタッ
ザアアアーッ
〜〜〜
エリカ「全然やまないね」
カモメ「はい・・・・・・」シュン
エリカ「足、痛くない?」チラッ
カモメ「さっきよりは痛くないです」ニッコリ
エリカ「走って帰るのは・・・・・・無理だよね」ウーン
カモメ「ごめんなさい」シュン
エリカ「ううん、カモメちゃんは悪くないよ! 悪いのは追いかけてきた悪い人だよ」
カモメ「あんな人、初めて見ました」ビクビク
エリカ「ねー。黒いサングラスと帽子、マスクもしてたっけ。きっとすごく悪い人だよ!」
カモメ「すごく悪い人・・・・・・」ビクビク
エリカ「あっ! そうだ!」
カモメ「エリカちゃん?」
エリカ「エリカが走って、カモメちゃんのママを呼んで来てあげる!」
カモメ「あっ、お母さんは今日もお仕事で」アセアセ
エリカ「そっかー・・・・・・先生は居る?」
カモメ「たぶん」コクン
エリカ「カモメちゃん、1人で待てる?」
カモメ「・・・・・・はい」
エリカ「エリカの荷物もココに置いておくね」ゴソゴソ
カモメ「あっでも! 走って転んだりしたら危ないです」アセアセ
エリカ「・・・・・・早足で行ってくる!」ダッ
ポツーン
カモメ「・・・・・・」キョロキョロ
ー園田家ー
ガラガラガラッ
海未「カモメッ?!」
エリカ「こん、にちわ!」
海未「高坂、さん?」
エリカ「はぁ、はぁ」
海未「か、カモメはどこですか?」キョロキョロ
ことり「あっ、帰って来たんだね」ニコニコ
エリカ「こんにちわ」ペコリ
ことり「はい、こんにちわ」ペコリ
エリカ「そうだ! カモメちゃんが!」
海未「か、カモメが! どうしたのですかっ!」ガシッ
エリカ「!!」ビクッ
ことり「海未ちゃん? そんなに迫ったら、喋りたくても喋れないよ」
海未「す、すみません」
ことり「エリカちゃん、カモメちゃんがどうしたの?」
エリカ「こ、転んで、怪我しちゃってて」
海未「怪我ッ?!」
エリカ「雨降ってきたから、エリカが先生を呼びに来たんだよ!」
海未「どこですか! カモメはどこにいるのですか!」ガシッ
ことり「海未ちゃん」
海未「あっ・・・・・・すみません」シュン
エリカ「エリカも行くからついて来て!」アセアセ
海未「分かりました!」
ことり「ちょっと待って」ゴソゴソ
海未「早くしないとカモメが」
ことり「そのままだと、いくら夏でも風邪ひいちゃうよ。はい」スッ
エリカ「これ、着ていいの?」キョトン
ことり「その前にタオルで拭かないとね」フキフキ
エリカ「んんんっ」
ことり「よしっ。うーんと、中で着替える?」
エリカ「ううん、ここでいい」ヌギヌギ
ーーー
カモメ「はぁ・・・・・・」ソワソワ
エリカ「おーい!」タッタッタッ
カモメ「あっ!」パアァ
海未「大丈夫ですか?!」
カモメ「は、はい」
エリカ「もう血でてない?」
カモメ「そういえば」チラッ
海未「他に痛いところはありませんか?」アセアセ
カモメ「大丈夫、です」
エリカ「そうだ先生! 怪しい人がいたの!」
海未「なっ!? どこですか!」キョロキョロ
カモメ「えーっと」アセアセ
エリカ「途中で居なくなっちゃったんだよね?」
カモメ「う、うん」
海未「そうですか・・・・・・。とりあえず家に帰りましょう」
カモメ「はい」
海未「私はカモメを背負うので、高坂さんは荷物を持ってもらえますか?」
エリカ「はい」ゴソゴソ
カモメ「わ、私も歩けるよ!」
海未「ダメです。怪我が悪化したら大変です」
エリカ「そうだよ!」
カモメ「で、でも・・・・・・」
海未「カモメは、私と高坂さんが濡れないように傘を持ってください」
カモメ「・・・・・・はい」
エリカ「よろしくね!」ニコニコ
海未「しっかりと捕まっているんですよ?」
カモメ「はい」ドキドキ
ギュッ
カモメ「あっ」(あったかい・・・・・・)
海未「よいしょっ」
エリカ「先生、傘」スッ
海未「ありがとうございます。それでは帰りましょうか」
エリカ「はーい!」
ー穂むらー
ガラッ
エリカ「ただいまー!」
穂乃果「おかえりーって、海未ちゃん!?」ビクッ
海未「こんにちわ」
絵里「エリカッ!?」ダッダッダッ
エリカ「ただいまー」ニコニコ
絵里「おかえりなさい! 大丈夫だった?」ギュッ
エリカ「うん! エリカは大丈夫だったけど、カモメちゃんが」チラッ
穂乃果「カモメちゃん?」
カモメ「ちょっとだけ転んでしまって・・・・・・」
海未「擦りむいただけみたいです。気にするほどでもありませんよ」
穂乃果「それなら良かったけど」
海未「それではこれで」ペコリ
穂乃果「またおまんじゅう買いに来てね!」ニコニコ
海未「ええ」ニッコリ
バタン
絵里「エリカ? そんな服もっていたかしら」ウーン
エリカ「あっ、これはね」
穂乃果「その前にお風呂に入って着替えて来なさい。そのままだと風邪引くよー」
エリカ「はーい」トコトコ
絵里「あら?リュックはあまり濡れていないわね」
穂乃果「ちゃんとお買い物できたのかな?」ガサゴソ
絵里「ちゃんと買えたみたいだけど」
穂乃果「ぐちゃぐちゃだね」
絵里「無事に帰って来てくれただけでも、私は・・・・・・」
ピロリン
穂乃果「んー、誰だろう」ポチポチ
”不審者情報”
穂乃果「不審者だって!」
絵里「・・・・・・」
穂乃果「うわっ、家のすぐ近くだよ。エリカにも気を付けるように言っておかなきゃ」
絵里「そ、そうね」
ー星空家ー
凛「ただいまー」ガチャ
花陽「おかえ、どどどうしたの?!」ビクッ
凛「なんかすごい夕立ちに遭っちゃって、全身ずぶ濡れだにゃー」
花陽「た、タオル持ってくるねっ」
リナ「凛ちゃんすごーい!」キャッキャッ
花陽「リナ? お風呂にお湯入れてきてくれる?」
リナ「あっ! リナも入りたーい」
凛「一緒に入っちゃおっか」ヌギヌギ
リナ「わーい!」
花陽「凛ちゃん?! 玄関で着替えちゃダメだよっ」アセアセ
凛「えー。だってこのままだと、部屋の中までビショビショになっちゃうよ?」
花陽「もう、だからタオル持ってきたのに・・・・・・」
凛「よし! お風呂にレッツゴー!」テクテク
リナ「ゴーッ!」トコトコ
花陽「お買い物に行くって言ってたけど、どこまで行ってたの?」
凛「えっ」ビクッ
リナ「早く早くー」グイグイ
凛「あっ、う、うん! ちょっと遠くまで!」バタン
花陽「ふーん」ジトー
ー園田家・ことりの部屋ー
カモメ「・・・・・・お、お母さん? まだ起きていますか?」ススッ
ことり「カモメちゃん? こんな時間にどうしたの?」キョトン
カモメ「あ、あの、えっと、その・・・・・・こ、コレを!」シュン
ことり「コレって、この前にプレゼントしたお洋服」
カモメ「ごめんなさい!」ペコリ
ことり「えっ? どうしたの?」ポカン
カモメ「お母さんがせっかく作ってくれたのに、綺麗なお洋服だったのに、たくさん汚してしまって、それで・・・・・・」ウルウル
ことり「・・・・・・」ジー
カモメ「うっ」シュン
ことり「着てみてどうだった? キツイとか苦しい所とか無かった?」ニッコリ
カモメ「へっ? え、あ、はっい」ビクッ
カモメ「大丈夫、でした。エリカちゃんも可愛いって言ってくれて」テレテレ
ことり「良かったぁ」ホッ
カモメ「あ、あのその、お、怒らない・・・・・・?」チラッ
ことり「怒る? どうして?」キョトン
カモメ「だ、だって、せっかくのお洋服が、こんなに汚くなっちゃって」シュン
ことり「これぐらいなら、すぐに落ちるから大丈夫だよぉ」ナデナデ
ことり「それに、お洋服も大事に飾っておくより、たくさん着てあげた方が喜びます」ニコニコ
カモメ「あ、えっあ、洗うの、手伝い、ます」ソワソワ
ことり「うーん・・・・・・分かった」
カモメ「頑張ります!」
ことり「今日はもう遅いから、明日にしようね」
カモメ「・・・・・・明日は、お休みですか?」
ことり「ううん。でも、お家には居るから大丈夫だよっ」
ことり「ほらほら、早く寝ないと海未ちゃんに怒られますよぉ」
カモメ「!!」
カモメ「お、おやすみなさい!」
ことり「おやすみなさい」フフッ おつおつ
不審者誰や…かわいい子ちゃん達にケガさせて許さんぞ… ーある日の高坂家ー
穂乃果母「─リカ─ゃん」
エリカ「んー、おまんずー」ムニャムニャ
穂乃果母「エリカッ!!」
エリカ「・・・・・・あっ、おばーちゃ」ボーッ
穂乃果母「もうカモメちゃん来てるわよ。早く支度しなさい」
エリカ「ふあーい。カモメ、ちゃん、がっ、こう・・・・・・学校ッ!」ガバッ
カチッカチッカチッ
エリカ「うわぁああっ?!」
バタバタバタ
穂乃果母「もう少しかかりそうだけど、大丈夫かしら?」アセアセ
カモメ「はい。まだ大丈夫です」ニッコリ
エリカ「カモメちゃん! もうすぐ準備できるから! もうすぐだから!」
カモメ「は、はい」
穂乃果母「あっ、お団子たべる?」
カモメ「うーんと、お、おかいまいなく、です」 ー登校中ー
カモメ「寝るのが遅かったんですか?」
エリカ「ううん。いつもと同じだったけど、どうして?」ポカン
カモメ「私がお迎えに行くまで、寝てたからです」
エリカ「う、うーん、そんな事、ないよ?」
カモメ「だけど、バタバタしてました」ジトー
エリカ「あっアレはほら! アレだよ!」
カモメ「アレ?」
エリカ「あーっ! 早く行かないと遅刻するよ!」アセアセ
カモメ「い、急ぎます!」 ー靴箱ー
エリカ「靴いれる所、もう間違えちゃダメだよ!」
カモメ「もう大丈夫です!」ムスッ
エリカ「またね!」
カモメ「はい」フリフリ
リナ「あっ! エリカちゃん!」
エリカ「リナちゃん?」
リナ「カモメちゃんもおはよー」
カモメ「おはようございます」ペコリ
「カモメちゃん、早く行かないと怒られるよ」
カモメ「あっ! 待ってください!」アセアセ
リナ「またねー」 エリカ「リナちゃんは朝練?」
リナ「そうだよー」
エリカ「うーん、リナちゃんっていつも何時に起きてるの?」
リナ「マンマと一緒の時間に起きてるよー」
エリカ「何時ぐらい?」
リナ「お外がちょっと暗いぐらいかなぁ?」
エリカ「・・・・・・それ、毎日?」
リナ「うん」
エリカ「た、大変、だね」
リナ「そうかなぁ? 学校の前に走るとねー、すごく気持ち良いよ!」ニコニコ
エリカ「そうなんだ」
リナ「エリカちゃんも一緒に走ろーよー」グイグイ
エリカ「エリカは道場だけでいいってば」アセアセ リナ「朝早いとねー、涼しいからいっぱい走れるよ?」
エリカ「朝からそんなに走ったら、学校で寝ちゃうよ」
リナ「リナは学校で寝てるからー、エリカちゃんも寝ちゃえばいいんだよー」
エリカ「・・・・・・」
キーンコーンカーンコーン
エリカ「あっ!」
リナ「はぁーあ。眠たくなってきたー」トコトコ ー帰り道ー
エリカ「もう! リナちゃんのせいだよ!」ムスッ
カモメ「また何かしたんですか?」
リナ「??」ポカン
エリカ「朝のことだよ! せっかく間に合ってたのに、リナちゃんに話しかけられたから遅刻しちゃったの!」
リナ「そうだったようなー、そうじゃないようなー」ウーン
エリカ「そうなの!」
リナ「そんな事より今日はなにして遊ぶ?」ニコニコ
エリカ「リナちゃんは先生に怒られなかった?」
リナ「怒られたようなー」
エリカ「・・・・・・もういいよ」ハァ
カモメ「今日は走らなくていいんですか?」
リナ「うん! 今日は道場もお休みでしょ? だからー、みんなで遊べるのが楽しみだったんだ!」 エリカ「カモメちゃんも暇?」
カモメ「お稽古はお休みだけど、今日は宿題が・・・・・・」
リナ「宿題なんて夜にチャチャーッとやっちゃえばいいよ! だから遊ぼ!」
カモメ「で、でも」
エリカ「そうだね!」
カモメ「えぇー」
リナ「このまま公園に行けば遊ぶ時間が増えるよ!」
カモメ「それは」
エリカ「だからダメだってば」
リナ「時々してるけどー、誰にも怒られないよぉ?」
エリカ「エリカとカモメちゃんは怒られるからダメ」
リナ「誰に? マンマ?」
カモメ「先生と学校の先生です」
リナ「・・・・・・」
エリカ「すぐ近くなんだから、ランドセルぐらい置いてから遊ぼうよ」
リナ「それなら走ろう!」
エリカ「それもダメだって」ハァ ー園田家ー
ガラガラガラッ
カモメ「ただいま帰りました」
海未「おかえりなさい、カモメ」
エリカ「また迎えに来るね! バイバイ!」フリフリ
カモメ「あっ!」アセアセ
海未「どこかに出掛けるのですか?」
カモメ「はい。エリカちゃん達に公園で遊ぼうって」
海未「いつもの所なら行ってもいいですよ。遊ぶことも大切です」ニッコリ
カモメ「・・・・・・はい」 ー公園ー
リナ「うーん、まだ誰も来てなーい」キョロキョロ
リナ「あっ!」タッタッタッ
キーコキーコキーコ
リナ「おーい!」
エミ「!?」
リナ「やっぱりエミちゃんだー」
エミ「あっ、リナちゃん」ホッ
リナ「リナも隣に乗っていーい?」
エミ「う、うん。いい、と、思う」
キーコキーコキーコ
リナ「ふふーん♪」
エミ「・・・・・・」ドキドキ リナ「エミちゃん?」
エミ「なっ、なに?」
リナ「今日は1人? マンマは?」キョロキョロ
エミ「う、うん。ママは、えっと、お家で、寝てて」
リナ「まだ明るいよぉ?」
エミ「お仕事が大変な、とき、は、たまに、お昼寝、してる」
リナ「そうなんだー」
エミ「うん・・・・・・」
リナ「リナはねー、エリカちゃんとカモメちゃんと遊ぶ約束してるんだー」
エミ「あっ、そう、なの?」
リナ「うん!」
エミ「・・・・・・」
リナ「あっ!」ガタッ
エミ「!!」 リナ「遅いよー」
エリカ「遅くないよ!」
カモメ「リナちゃんは、いつも早すぎます」
エリカ「ほらー」ジトー
リナ「そんな事なーい。だってランドセルをポイッてするだけだよ?」
エリカ「・・・・・・怒られるよ」
カモメ「ちゃんと机の横に引っかけないとダメです」
エリカ「あれ?」チラッ
リナ「そうだった! さっきまでエミちゃんとブランコで遊んでたんだー」
エリカ「エミちゃーん!」ブンブン エミ「こ、こんにちわ」
カモメ「こんにちわ」ペコリ
エリカ「エミちゃんも一緒に遊ぼ!」
エミ「えっ?! いいの?」
エリカ「いいよね?」
リナ「いいよー」
カモメ「はい」
エミ「ありがとう」テレテレ
〜〜〜
エリカ「あっ!」
エミ「エリ、カ、ちゃん、タッチ」ハァハァ
リナ「エリカちゃんが鬼になったにゃー!」タッタッタッ
エリカ「・・・・・・」
カモメ「どうしたんですか?」
エリカ「あれって、エミちゃんのママ?」ビシッ
エミ「はぁ、えっ、はぁ」キョロキョロ
エリカ「ほら! あそこだよ!」
カモメ「すごい走ってます」
エリカ「どうしたんだろう」
リナ「みんなー、どうしたのぉ?」
カモメ「エミちゃんのお母さんみたいです」
リナ「お迎え?」
エミ「・・・・・・」ブンブン
リナ「もしかしてー、エミちゃんを捜してる?」
カモメ「心配してるのかもしれません」
リナ「今日はー、マンマにナイショで公園に来たって言ってたようなー」
エリカ「大変だ! 早く行かないと!」アセアセ
エミ「はぁ、はぁ」
エリカ「・・・・・・エリカが呼んで来てあげるね!」タッタッタッ 希「エミちゃんっ!」ハァハァ
エミ「ママ? どうして」
ギューッ
エミ「マ、マ?」ポカン
希「大丈夫ッ?! どこも怪我とかしてない?」
エミ「う、うん。大丈夫だよ」
希「良かった・・・・・・良かった」ウルウル
カモメ「どうしたんでしょう?」ヒソヒソ
エリカ「やっぱり心配してたんだよ」ヒソヒソ
リナ「やっぱりー、マンマに言わないとダメだよねー」ヒソヒソ
カモメ「私はいつも、先生にどこに行くか伝えています」フフッ
リナ「リナもー」
エリカ「エリカは・・・・・・あれ? 言ったっけ?」
リナ「知らないよー」 カモメ「エリカちゃんのお母さんも、心配してるかもしれません」
エリカ「うーん、そんな事ないと思うけど」
希「みんなに訊きたい事があるんやけど」
リナ「なーにー?」
希「知らない人に話しかけられたり、写真撮られたりしなかった?」
エリカ「そんな人いた?」
カモメ「知らないです」フルフル
リナ「リナも知らないよー」
希「エミちゃんも?」
エミ「うん」コクン
希「そっか・・・・・・」ホッ
エリカ「エミちゃん、ちゃんとお家の人に言わないとダメだよ?」
エミ「ごめんなさい」シュン
希「次からウチが寝とっても起こして、ちゃんとどこ行くか教えてな」 エリカ「よーし! 増える鬼ごっこの続きしよ!」
カモメ「誰が鬼でしたか?」
リナ「エミちゃんとエリカちゃんだよー」
エリカ「えーっ! あの時はセーフだよ!」
エミ「・・・・・・」シュン
希「寝てたママも悪いんやから、エミちゃんは気にしなくていいんよ」ナデナデ
エリカ「エミちゃんも早く! 早く!」
希「ほら、遊んでおいで」
エミ「うん」
タッタッタッ
エミ「あっ」ズルッ
ズサァーッ
〜〜〜 エリカ「またね!」
リナ「次は1人で来ちゃダメだよー」
エミ「う、うん」
カモメ「また遊んでください」ペコリ
希「こちらこそ、またエミちゃんと遊んであげてな」フリフリ
エミ「またね」フリフリ
ーーー エミ「ママ?」
希「どうしたん?」
エミ「今日は、ごめんなさい」
希「その事はもういいよ。もうしないって約束してくれたやん」ニッコリ
エミ「うん・・・・・・」ウツムキ
希「まだ気になる?」
エミ「ううん、そうじゃなくて」
希「話したくないならいいけど、気になるならなんでも訊いてくれていいんよ?」
エミ「・・・・・・公園、行くのはダメ?」
希「そうやね。まだ少し危ないから、もう少しお姉さんになってから」
エミ「あそこじゃなくて、家の近くの方の」
希「・・・・・・」
エミ「学校のお友達も、そこで遊んでるって」 希「あー、うーん」
エミ「家の近くなら、1人で行ってもいいよね?」
希「あっ! それなら、お友達も誘ってあそこの公園で遊ぶっていうのは?」
エミ「どうして?」キョトン
希「それは、えーっ、なんというか、こっちの公園の方が広いやん!」
エミ「そうかな」
希「それに、エリカちゃん達もお友達が増えたら喜ぶと思うんよ」
エミ「・・・・・・分かった」コクン
希「ごめんな」ボソッ ー同日夜・カモメの部屋ー
海未「カモメ? まだ起きていますか?」
カモメ「!!」
海未「入りますよ」ガラッ
カモメ「あっ、あっ、こ、これは」
海未「勉強中でしたか。すみません」
カモメ「う、ううん。えっと、なに、ですか?」
海未「いえ、特に用事はないのですが」ソワソワ
カモメ「??」
海未「べっ、勉強の進み具合はどうですか? 分からない所があれば訊いてください」
カモメ「あっ! それなら・・・・・・ここが、分かりません」ペラペラ
海未「か、カモメもまだ1年生ですから、分からない所があるのは仕方がない事ですよ」パアァ
海未「ここはですね───」 ー同じ頃・高坂家ー
エリカ「うーん」アセアセ
穂乃果「そろそろ寝る準備するよー」
エリカ「ママ〜、宿題わーかーらーなーいー」
穂乃果「そんなにたくさんあるの?」
エリカ「難しいから全然終わらないんだよ」ハァ
穂乃果「どこが分からないの?」
エリカ「全部!」
穂乃果「・・・・・・」
〜〜〜
絵里「穂乃果? そろそろ寝るわよ」ガラッ
エリカ「うーん」
穂乃果「うーん」
絵里「2人で頭抱えて、何をしているの?」
ー同じ頃・リナの部屋ー
リナ「・・・・・・」スヤスヤ
おつですじゃ!
エリカが穂乃果ににすぎててかわいい…おバカかわいい… カモメの世話焼きたくてそわそわしちゃう海未ちゃんいいな ー公園ー
ミーンミンミンミンミンミン
エリカ「暑い・・・・・・」
リナ「暑いねー」パタパタ
エリカ「やっと夏休みになったのに、暑すぎて遊べないよ!」プンスカ
リナ「そういえばカモメちゃんは? あとから来るのぉ?」
エリカ「ううん。今日はお稽古があるんだって」
リナ「道場?」
エリカ「お茶飲んだり、お菓子食べたりするお稽古って言ってたよ」
リナ「いいなー」
エリカ「2人じゃなんにも出来ないね」ハァ
リナ「公園で遊んでるのー、リナたちだけだねー」ハァ
エリカ「帰る?」
リナ「帰ろっかー」スクッ エリカ「でもせっかく公園まで来たんだから、いつもと違う道で帰ってみない?」
リナ「暑いのに?」チラッ
エリカ「・・・・・・そうだ! アレやりながら帰ろうよ!」
リナ「アレ?」キョトン
エリカ「リナちゃん知らない? えーっとね」
〜〜〜
エリカ「よっ! よっと! ほっ!」ピョンピョン
リナ「よーし、リナも!」ピョンピョン
エリカ「初めてなのに上手だね!」
リナ「えへへー、これ楽しいねー」テレテレ
エリカ「あっ!」
リナ「あっ」
エミ「あっ」
エリカ「エミちゃんだ! 偶然だね!」トコトコ
リナ「あー! エリカちゃん死んじゃったからー、リナの勝ちー」
エリカ「えーっ! 今のは無しだよ!」アセアセ
リナ「ダメー」
エミ「なにしてるの?」ポカン
エリカ「影以外を踏んだら死ぬゲームだよ!」
エミ「へ、へえー」
リナ「エミちゃんもやる?」
エミ「あ、あたしは別にいい、かな」
エミ「エリカちゃんたちは、もう終業式終わった?」
エリカ「うん! さっき終わって、公園に行ってたんだけど」
リナ「暑すぎてこれから帰るところなんだー」
エミ「今日はいつもより暑いよね」
エリカ「エミちゃんもこれから帰るの?」
エミ「うん」
エリカ「・・・・・・お家に遊びに行ってもいい?」
エミ「えっ」ビクッ
リナ「いきなりは無理だよー」
エリカ「あっ、そうだよね」シュン
エミ「別に、いいけど、なにするの?」
エリカ「・・・・・・なにしよっか?」チラッ
リナ「エミちゃんの家ってゲームある?」
エミ「ど、どんなゲーム?」
リナ「こうやってー、コントローラーで遊ぶやつだよー」
エミ「テレビゲーム?」
リナ「うん!」
エミ「ご、ごめん。無いと、思う」
エリカ「うーん・・・・・・」
リナ「お家には、遊びに行ってもいいんだよねぇ?」
エミ「う、うん」
リナ「ここに居ても暑いだけだけだからー、エミちゃんの家いこー」
エリカ「そうだね。そういえばエミちゃんの家ってどこだっけ?」キョロキョロ
エミ「エリカちゃん達は来たことなかったっけ。こっちだよ」
リナ「楽しみだねー」
ー入口ー
エミ「ちょっと待っててね」ゴソゴソ
エリカ「鍵だっ! いいな! いいな!」ジー
エミ「今日は学校が早く終わるから、ママが持たせてくれたの」
リナ「カッコイイにゃ!」キラキラ
エミ「そ、そう?」テレテレ
エリカ「エリカなんて、どんなに頼んでもお家の鍵にはぜぇ〜ったいに触らせてもくれないもん」シュン
リナ「リナもー」シュン
エミ「いつもお家に誰か居るって事?」
エリカ「うん。いつもおじいちゃんとおばあちゃんが居るよ」ニコニコ
リナ「リナもマンマが居るけど、居ない時はおじいちゃんかおばあちゃんが来てくれるんだー」ニコニコ
エミ「いいな」シュン
エリカ「エミちゃんのママは?」
エミ「いつもは居てくれるけど、今日みたいな日は誰も居ないから・・・・・・」
リナ「寂しいねー」
エミ「・・・・・・うん」
エリカ「今日は、エミちゃんのママが帰ってくるまで一緒に遊ぼ! それなら寂しくないよね!」
エミ「ありがとう」
リナ「ねぇねぇ、早く入ろ?」
エミ「あっ、ごめんね」アセアセ
ガチャ
ウィーン
エリカ「お邪魔しまーす」
リナ「広いにゃー」キョロキョロ
エリカ「エリカの部屋より広いかも」キョロキョロ
エミ「まだお家じゃないよ」
「「えっ」」
エリカ「で、でもさっき、鍵でガチャって」
エミ「今のはマンションの入口で、次が家だよ」
リナ「リナのお家もマンションだけど、こんな入口ないよ?」
エミ「へえー」
エリカ「すっごく大きなマンションだと付いてるのかな?」
リナ「そうかもー・・・・・・」
エミ「こっちだよ」トコトコ
エリカ「ここがお家?」
エミ「これはエレベーター」ポチッ
エリカ「あはは・・・・・・だよね」アセアセ
リナ「これはリナのマンションにもあるよー」
ウィーン
エミ「んんーっ」ノビノビ
ポチッ
リナ「はぁー」(ボタンがいっぱいある)ジー
ー東條家・リビングー
ガチャ
エミ「ここで待ってて。お茶持ってくるから」トコトコ
エリカ「う、うん」ソワソワ
リナ「おっきなソファーだねー」
エリカ「ふ、フカフカしてる」
リナ「どうしたの?」
エリカ「えっ?」ビクッ
リナ「なんかー、いつものエリカちゃんじゃないよー」ジトー
エリカ「だ、だって、こんな大きなお家に入るのって、は、初めてなんだもん」
エミ「おまたせ」ガチャ
リナ「わーい、ありがと!」ゴクゴク
エミ「エリカちゃんもどうぞ」コトッ
エリカ「あ、ありがとう」
リナ「それじゃー、なにして遊ぶー?」
エリカ「エミちゃんって、お家では何してるの?」
エミ「テレビ観たり、お話したり、あとはダンスの真似したり」
エリカ「エミちゃん、ダンスなんて出来るの?!」
エミ「出来るよ!」ムスッ
エリカ「だ、だっていつも転んでるから」
リナ「エミちゃんってー、本当によく転ぶよねー」ニコニコ
エミ「むっ・・・・・・」
リナ「どんなテレビ観てるの?」
エミ「歌番組だよ」
「「おぉー!」」
エミ「2人も好き?」
「「うん!」」
エミ「そ、それじゃあ一緒に観よ」パアァ
ピッ
エリカ「うわっ! いっぱい録画してある!」
リナ「あっ! コレ! コレ観たい!」ビシッ
エミ「エリカちゃんもこれでいい?」
エリカ「うん」
〜〜〜
エミ「ふぅ」タンッ
「「おぉ〜っ」」パチパチパチパチ
エミ「あっ、きゅ、急に踊って、ごめん」テレテレ
リナ「ううん! ダンス上手なんだね!」キラキラ
エリカ「うんうん! すごいよ! 全然転ばないし」キラキラ
エミ「えへへ」
リナ「リナたちみたいに、どこかで先生に教えてもらってるの?」
エミ「う、ううん。見て真似してるだけ、だから」
エリカ「それであんなに踊れるんだ・・・・・・すごい」ジー
テレビ「それでは次のアーティストの紹介です」
エリカ「あっ!」
テレビ「にっこにっこにーという可愛らしいポーズと、愛らしい笑顔で一世を風靡した大人気アイドル」
エミ「・・・・・・」
リナ「にっこにっこにー!」
テレビ「矢澤にこさんに登場していただきましょう!」
テレビ「ワァアアアッ!」
エミ「ち、違うやつにしない?」
エリカ「どうして?」
リナ「えー、リナはにこちゃん好きなのにー」
エリカ「エリカも好きだけど、エミちゃんが観たくないなら・・・・・・」アセアセ
エミ「う、ううん。嫌い、じゃないんだけど・・・・・・ちょっとトイレ行ってくる」
リナ「にっこにっこにー!」キャッキャッ
エリカ「リナちゃんも、にこちゃん好きだったんだね!」
リナ「うん!」ニコニコ
テレビ「CMの後、”アノ”名曲を歌っていただきます!」
リナ「チャンネルどこ?」キョロキョロ
エリカ「あれ、どこだろう・・・・・・ん?」キョロキョロ
リナ「どうしたの?」
エリカ「にこちゃんの写真が飾ってある」コトッ
リナ「わぁーっ! ホントだ!」キラキラ
リナ「こっちは?」コトッ
エリカ「エミちゃんのママとエミちゃんと・・・・・・お友達、かな?」
ガチャ
エミ「ごめん。リモコンも持っていって・・・・・・あーっ!」
「「!!」」ビクッ
エミ「み、見た?」
エリカ「え、な、なにを?」ドキドキ
リナ「エミちゃんもー、本当はにこちゃんが好きだったんだねぇ」ニコニコ
エミ「こ、これはママのだから、誰にも見せちゃダメだって」ゴソゴソ
バタンッ
エリカ「そうだったんだ・・・・・・。ごめんなさい」シュン
リナ「ごめんなさい」ペコリ エミ「ううん。あたしが片付けるの忘れてたから」
エミ「誰にも言っちゃダメだよ?」
エリカ「うん! 約束する!」
リナ「リナも!」
エミ「ありがとう」ホッ
エリカ「エミちゃんのママって、恥ずかしがり屋さんだね!」
エミ「うーん、そうかな?」
リナ「リナのマンマもアイドル大好きだけどー、誰にも隠してないよぉ?」
エリカ「エリカのママは、大人なのにお菓子とか甘いパンが大好きだよ!」ニコニコ
エミ「そうなんだ」アセアセ
リナ「こっちの写真も見ちゃダメだった?」スッ
エミ「・・・・・・そっちは、大丈夫」
エリカ「隣に写ってる赤い髪の女の子って、エミちゃんのお友達?」
エミ「ううん・・・・・・」 リナ「それじゃあ、親戚の人?」
エミ「・・・・・・」フルフル
エリカ「うーん、近所の子とか」
リナ「それじゃー、エミちゃんのマンマの横で笑ってるのは、もう1人のマンマだね−」
エミ「・・・・・・」ウツムキ
エリカ「んー」ジー
リナ「どうしたのー?」キョトン
エリカ「この人って」
テレビ「お待たせしました! それでは矢澤にこさんに歌っていただきましょう!」
リナ「あっ! コマーシャル終わってる!」ガタッ
リナ「エリカちゃん! 始まるよ!」トントン
エリカ「う、うん!」
エミ「・・・・・・」ボーッ
────
───
──
ゴソゴソ
エミ「んっ、マ、マ・・・・・・?」
ムクリ
エミ「・・・・・・い、ない」キョロキョロ
希「───」
ガチャ
エミ「マ、マぁ?」チラッ
希「あらら、起こしちゃったみたいやね」
エミ「・・・・・・」ボーッ
「エミちゃん・・・・・・ごめんなさい」
「話すと辛くなるわ・・・・・・この子たちの為、私たちの為にも」
「うん・・・・・・」ギュッ
希「またね」フリフリ
エミ「ゆ、き───」
バタン
ーーー
「──ゃん!」
エミ「・・・・・・」ボーッ
リナ「エミちゃーん」
エミ「えっ! あっ、な、なに?」
エリカ「ボーッとしてたけど、大丈夫?」
エミ「う、うん。大丈夫」
リナ「さっきの終わっちゃったから、次はエミちゃんのオススメのやつが観たいなー」
エミ「い、いいよ」ピッピッ
ーーー
ガチャ
希「エミちゃーん? お友達来てるん?」チラッ
エリカ「あっ、こ、こんにちわ」
リナ「こんにちわー」ニコニコ
希「エリカちゃん達やったんやね。いらっしゃい」ニコニコ
エミ「おかえりなさい」
希「ただいま」
希「ちょうどおやつの時間やね」
リナ「おやつっ!?」
エリカ「リ、リナちゃん」
希「おまんじゅう買って来たんやけど、2人とも好き?」ガサゴソ
リナ「うん!」ワクワク
エリカ「は、はい」ソワソワ
希「それにしても、今日はどうしてリビングなん? いつもは自分の部屋で遊んでるのに」
エミ「そ、それは・・・・・・」チラッ
リナ「おまんじゅう! おまんじゅう!」キャッキャッ
エミ(リナちゃんが暴れそうだったから)
希「準備してくるから、ちょっと待っててな」バタン
エミ「・・・・・・」ホッ
エリカ「リナちゃん? こういう時はエンリョーしないとダメなんだよ?」アセアセ
リナ「エンリョー?」ポカン
希「はい、お待たせ」カチャ
リナ「わーい!」
エリカ「リナちゃん!」ジトー
希「エリカちゃん、いつもより元気ないね。もしかして、おまんじゅう嫌いやった?」
エリカ「う、ううん。好き、なんだけど」チラッ
リナ「おいしー!」モグモグ
エミ「お家に来てから、ちょっとおかしいよね」
リナ「うんうん。変なエリカちゃん」ゴクゴク
希「ふふっ。もっとくつろいでいいんよ」ナデナデ
エリカ「で、でも、おばあちゃんが、人のお家では大人しくしてないとダメって言ってたから」ソワソワ
希「ふーん。エリカちゃんの家もカモメちゃんみたいに厳しいんやね」
リナ「でもでも、エリカちゃんのおじいちゃんもおばあちゃんもすっごく優しいよ!」
エミ「いいな」ボソッ
エリカ「いつもは優しいんだけど、怒ると怖いよ」アセアセ
希「それはどこの家も一緒やよ。ほらほら、遠慮せんと食べて」
エリカ「う、うん」モグモグ
リナ「おいしいけどー、エリカちゃんの家のおまんじゅうの方がおいしいかなぁ?」モグモグ
エリカ「そんなことないよ!」アセアセ
希「あははっ。エリカちゃんのおばあちゃんって、おまんじゅうも作れるなんてすごいね」
エリカ「作ってるのはおじいちゃんで、おばあちゃんはいつもお店の方にいて」
希「・・・・・・お店なん?」
エリカ「うん」モグモグ
希「そうやったんや。あの公園の近く?」
エリカ「うん。すぐ近くで、名前は」
リナ「今から行こうよ!」
希「うーん、今からはちょっと無理やね」アセアセ
リナ「そっかー。せっかく連れて行ってあげようと思ったのにー」シュン
希「また今度にお願いするね」ニッコリ
リナ「うん!」
エリカ「またねー!」
リナ「バイバーイ」
希「また来てなー」
エミ「またねー」
バタン
希「良いお友達やね」ナデナデ
エミ「うん。楽しかった」ニコニコ
希「これから夏休みなんやから、また呼んであげんとね」
エミ「あっ!」
希「どうしたん?」
エミ「部屋に置いてあった写真、2人に見られちゃったんだった」アセアセ
希「あー・・・・・・」
エミ「で、でも! 2人とも、誰にも言わないって約束してくれたから!」
希「それなら大丈夫やね」
エミ「・・・・・・」 希「まだ何かあるん?」
エミ「ママ? あたしのお家って、変?」
希「・・・・・・急にどうしたん?」
エミ「エリカちゃん達もだったけど、他のお友達もお家に来るとキョロキョロしてるから」ウツムキ
希「変ではないよ。みんなの家と、ちょっと違うだけやよ」
エミ「そう、なんだ」ホッ
希「そんなこと気にしてたん?」ナデナデ
エミ「むぅ」ムスッ
希「よしっ。今日はエミちゃんの大好物の」
エミ「す、ステーキ!?」パアァ
希「の野菜炒め付きにしよっか」ニコニコ
エミ「えーっ」
希「お野菜も食べんと、ウチみたいにおっぱい大きくならんよ」 ☆☆☆
ー同年5月・とある小学校ー
「・・・・・・」トコトコ
ガラッ
ザワザワザワ
「・・・・・・」トコトコ
ガタッ
「・・・・・・」ゴソゴソ
女子1「ねえねえ、漢字のプリントやった?」
女子2「ううん。全然分からなかった」
「そうだよね。私も難しくて」
「・・・・・・」(ふふふ、おバカばっかり)
女子1「先生も難しいって言ってたもんね」
女子2「うんうん。ユアちゃんは?」
ユア「私も同じだよ」ニコニコ
女子2「だよねー。どうしよっか」
女子1「うーん」
ユア「誰か教えてくれないかな」キョロキョロ
「・・・・・・」
ユア「ねえ、ちょっといい?」
「!!」ビクッ
女子1「その子は止めた方が」アセアセ
ユア「えっ、どうして?」
「・・・・・・」(ふんっ)
女子2「話しかけても全然お話してくれないって、みんな言ってるよ」
ユア「どうして?」キョトン
「・・・・・・」(あれ? 話しかけられてる?)ドキドキ
女子2「さあ?」
「・・・・・・」(あっ、私じゃなかった)シュン
ユア「漢字のプリント、すっごく難しかったよね」ニコニコ
「あっ・・・・・・う、うん」ドキドキ
ユア「あっ、えーっと・・・・・・ごめん。お名前なんだっけ?」
「え、えっと・・・・・・」(は、早く答えないと、また)ドキドキドキドキ
ユア「うんうん」ニコニコ
「に、にし、にしきの・・・・・・って、言うの」ボソッ
(い、言えた)ハラハラ
ユア「ニシキノちゃんね」ニコニコ
ニシキノ「う、うん」ホッ
ユア「私の名前は」
ニシキノ「ゆ、ユア、ちゃん」チラッ
ユア「あっ、覚えててくれたんだ! 嬉しいな」ニコニコ
ニシキノ「う、うん」ボソッ
ユア「ニシキノちゃんは、プリントどこまで出来てる?」
ニシキノ「あ、ぷ、プリントは」(さっき机の中にしまって)ゴソゴソ
ニシキノ「こ、これ」スッ
ユア「見てもいい?」
ニシキノ「う、うん」
ペラッ
ユア「すごーい!」
ニシキノ「!!」ビクッ
女子1「どうしたの?」トコトコ
ユア「ニシキノちゃんのプリント、全部答え書いてある!」ペラッ
女子2「すごいけど、お母さんにやってもらったんじゃない?」
ニシキノ「むっ」(そんなワケないでしょ!)ムスッ
ユア「そういうこと言ったら、ニシキノちゃんに怒られるよ」ムスッ
女子2「うっ?! ご、ごめん、なさい」
ニシキノ「べ、別に」ボソッ
ユア「ねえ、ニシキノちゃん」
ニシキノ「な、なに?」ドキドキ
ユア「これ見ながら、私のプリントに書いてもいい?」
ニシキノ「い、いい、けど」コクン
ユア「やった!」
女子1「あっ、わ、私も! お願い」
ニシキノ「・・・・・・うん」ボソッ
女子2「私も私も」
ニシキノ「ふっ」ニヤリ
ユア「あっ! ニシキノちゃんがちょっと笑った」ニコニコ
ニシキノ「わ、笑ってない」(変だった?!)
ユア「えー、笑った方が良いと思うけど」
女子1「先生来る前に全部書いちゃおうよ」カキカキ
ユア「う、うん」
ニシキノ「・・・・・・」(少しだけ、お話できた)
ー翌週・教室ー
ザワザワ
ニシキノ「・・・・・・」(ユアちゃんとお友達になれるかと思ったけど)チラッ
ユア「あははっ」ニコニコ
ニシキノ(あれから全然お話してないし、もう忘れられちゃった?)シュン
ニシキノ(どうしよう。わ、私から話しかけてみても・・・・・・出来ない)「はぁー」
ユア「ニシキノちゃーん」
ニシキノ「!!」
ユア「ニシキノちゃんも、こっちで一緒にお話しようよ」ニコニコ
ニシキノ「あ、あ、あの、わ、私・・・・・・」ガタッ
タッタッタッ
ユア「あー・・・・・・行っちゃった」 女子3「ユアちゃんって、あの子とお友達?」
ユア「お友達になりたいけど・・・・・・私って嫌われてるのかも」
女子3「ふーん。ユアちゃん優しいのにね」
ユア「そんなことないよ」アセアセ
女子3「えー、だってこの前も先生のお手伝いしてたり」
ユア「たまたまだからー」ニコニコ
女子3「それよりもさ! 昨日のテレビ観た?」
ユア「あのアイドルがたくさん出てくる?」
女子3「うんうん! ユアちゃんもアイドル好き?」キラキラ
ユア「うん! 大好きっ」ニコニコ
女子3「私も!」 ニシキノ「はぁ、はぁ」(逃げちゃった)ドキドキ
ニシキノ「・・・・・・はぁ」(せっかく話しかけてくれたのに)シュン ー翌週・朝HRー
先生「今日の日直は・・・・・・ニシキノさんね」
ニシキノ「は、はぃ」ボソッ
先生「お昼休みまでに、みんなからプリント集めて職員室まで持ってきてね」
ニシキノ「え、あっ、え?」ビクッ
先生「はい。それじゃあ、1時間目の準備をしてください」
「「はーい」」
ニシキノ(ど、どうしよう)ドキドキドキドキ 誰と誰の組み合わせかと思ってたら…ゆきありの可能性もあるのか ー休み時間ー
ニシキノ「あ、ぁ、ぁの」ボソッ
女子1「ん?」キョトン
ニシキノ「こ、これ、だ、して」ボソッ
女子1「あー、プリントね」ゴソゴソ
女子2「私も持ってこよーっと」トコトコ
ニシキノ「・・・・・・」(この人たちは前にちょっとお話した事あるけど、他の人はどうしたら)アセアセ
女子1「はい、どうぞ」スッ
ニシキノ「あ、あり──と」ボソッ
女子2「私のも」スッ
ニシキノ「う、うん」(えーっと、あと教室にいるのは)ドキドキ
キョロキョロ
ニシキノ「あっ」
ユア「あっ! ニシキノちゃん、なにしてるの?」ニコニコ
ニシキノ「い、ま、プリント、集めてて」モジモジ
ユア「ふーん。ニシキノちゃんが日直だったからかな」
ニシキノ「た、たぶん」(す、すごい。ちゃんとお話できてる)ソワソワ
ユア「あっ、私の分も持ってくるね」トコトコ
ニシキノ(そうだ! ユアちゃんにも手伝ってもらえれば)
ニシキノ(でも、いいって言ってくれなかったら、断られたらどうしよう)ドキドキ
ユア「はい、これが私のだよ」スッ
ニシキノ「あ、あのっ!」アセアセ
ユア「わぁっ!? ビックリした」ビクッ
ニシキノ「ご、ごめん」(お、大きい声でちゃった)シュン
ユア「ううん、大丈夫」ニコニコ
ニシキノ「・・・・・・」(やっぱり、やめとこう)アセアセ
ユア「それでそれで? どうしたの?」キョトン
ニシキノ「な、なんでも、なぃ」ボソッ
ユア「本当に?」チラッ
ニシキノ「・・・・・・」(他の人なら、すぐどこか行くのに)ウツムキ
ユア「ねえねえ、教えて?」ニコニコ
ニシキノ「・・・・・・ぷ、プリント、集めるの手伝って、ほしくて」
ユア「・・・・・・」
ニシキノ「あっ。やっぱり」プイッ
ユア「ふふふ」ニコニコ
ニシキノ「なっ、なに」(また変なこと言っちゃった?)ビクッ
ユア「ニシキノちゃんにお願いされたから」
ニシキノ「むっ・・・・・・やっぱり、ぃぃ」(人のこと笑うなんて)ムスッ
ユア「あっ! イヤじゃないから! 私も手伝うよ」ニコニコ
ニシキノ「別に」プイッ
ユア「ご、ごめんね? もう笑わないから」
ニシキノ「・・・・・・」チラッ
ユア「・・・・・・」ニコニコ
ニシキノ「ありがと」ボソッ
ユア「あとは誰が残ってるの?」
ニシキノ「私と、さっきの2人と」ビシッ
ユア「人を指差すのは、あんまり良くないよ?」
ニシキノ「えっ! ど、どうして?」ビクッ
ユア「こうやって指差されたら、ちょっと怖いよね?」ビシッ
ニシキノ「うっ・・・・・・ご、ごめん、なさい」シュン
ユア「知らなかったんなら仕方ないよ。次からやらなかったらいいだけだよ」ニコニコ
ニシキノ「教えてくれて、ありがと」ショボン
ユア「気にしなくていいよ! あとは?」
ニシキノ「私と」
ユア「うんうん」
ニシキノ「あなた」
ユア「・・・・・・えっ、終わり?」
ニシキノ「う、うん」
ユア「うーん」
ニシキノ「ごめん、なさい」シュン
ユア「ごめんなさい? どうして?」キョトン
ニシキノ「私、あんまり、お話、できなくて」ウツムキ
ユア「トックンする?」
ニシキノ「特訓?」
ユア「これからちょっとずつお話していけば、きっと上手になるよ」
ニシキノ「誰と・・・・・・?」
ユア「私と」ニコニコ
ニシキノ「あなたと?」
ユア「それもダメ!」
ニシキノ「えっ」ビクッ
ユア「私の名前は”ユア”だよ」
ニシキノ「ゅ、ゆ、ユア、ちゃん?」モジモジ
ユア「うん! ニシキノちゃん」ニコニコ
ニシキノ「あっ、休み時間がもう」チラッ
ユア「おーい! みんなー!」
ニシキノ「!!」
ザワザワザワ
ニシキノ「ゆ、ユアちゃん?」ビクビク
ユア「このプリント出してない人、こっちまで持ってきてー」
「あー、忘れてた!」ゴソゴソ
「僕もいま持ってく」ゴソゴソ
ニシキノ(す、すごい)キラキラ
〜〜〜
「忘れててごめんね」
ニシキノ「あ、ありがと」ニコッ
キーンコーンカーンコーン
ユア「これで全部かな」
ニシキノ「本当に、ありがとう」ペコリ
ユア「気にしないで」ニコニコ
ガラッ
先生「早く席についてください」
ニシキノ「・・・・・・」アセアセ
ー2ヶ月後・ニシキノの家・キッチンー
ニシキノ「お母さん、おはよう」
「おはよ」ニッコリ
ニシキノ「お母さんは?」ガタッ
「夜にお仕事だったから、今は寝てると思うけど」
ニシキノ「そっか」
「何かある?」
ニシキノ「ううん。ご飯食べていなかったから」
「ふふっ」ニコニコ
ニシキノ「なに?」ビクッ
「ううん。学校でなにか良い事でもあったのかなーって」
ニシキノ「学校で?」キョトン
「学校は楽しい?」
ニシキノ「うん!」ニッコリ
「ほら、早く食べないと遅れちゃうよ」
ニシキノ「はーい」モグモグ
ー教室ー
ガラッ
ニシキノ「おはよう」
女子1「ニシキノちゃん、おはよー」ニコニコ
女子2「おはよ!」
ニシキノ「おはよう」(よし、今日もちゃんと言えた)ニッコリ
女子1「ニシキノちゃんは、昨日のテレビ観た?」
ニシキノ「歌の番組?」
女子1「ううん。アイドルの、観てない?」
ニシキノ「うん」(どうしよう。仲間外れにされちゃう)アセアセ
女子2「ニシキノちゃんは、アイドル誰が好き?」
ニシキノ「えっ? ふ、2人もアイドル、好き、なの?」オドオド
女子1「うん! ニシキノちゃんも?」
ニシキノ「うん」ホッ
女子2「あたしはやっぱりアイちゃんが好き!」
ニシキノ「あっ! 知ってる!」
女子2「いいよね! ねっ!」
女子1「私はミモニミかなー」
ニシキノ「その人たちも知ってる!」
女子1「ニシキノちゃん、いっぱい知ってるね」ニコニコ
女子2「それで、ニシキノちゃんは誰が好き?」
ニシキノ「私はにこちゃん!」
女子1「にこちゃん?」キョトン
ニシキノ「あれ?」アセアセ
女子2「にこっにこにーって言う人?」
ニシキノ「う、うん。知らない?」(本当は”にっこにっこにー”だけど)
女子1「うーん、見たら分かるかも」
ニシキノ「そ、そっか」シュン
女子2「それでアイちゃんが、すっごく可愛かったんだよ」
女子1「あははっ」
キャッキャッ
ニシキノ「・・・・・・」(ランドセル置いてこよ)トコトコ
ガラッ
ユア「おはよう!」トコトコ
「「おはよー」」
ニシキノ「あっ」チラッ
ユア「ニシキノちゃんも、おはよう」ニコニコ
ニシキノ「おはよう」ニッコリ
ユア「たくさんお話できるようになったね」
ニシキノ「ゆ、ユアちゃんのおかげ、だから」テレテレ
ユア「ニシキノちゃんが頑張ったからだよ」ナデナデ
ニシキノ「あっ! 撫でないでっ」プイッ
ユア「あはは。ごめんごめん」ニコニコ
女子1「ユアちゃん、おはよー」
ユア「おはよう」
女子2「ユアちゃんは、”にこちゃん”って知ってる?」
ニシキノ「!?」ビクッ
ユア「にこちゃん?」
ニシキノ「・・・・・・」(やっぱり知らないんだ)シュン
ユア「矢澤にこちゃん? 歌のテレビに出てる人?」
ニシキノ「う、うんっ」パアァ
ユア「ニシキノちゃんも好きだったの?」ビクッ
ニシキノ「ユアちゃんも?」キャッキャッ
ユア「うんうん! 2人も好き?」キャッキャッ
女子1「ううん。私たちはアイちゃんとか、ミモニミがいいよねーって言ってて」
女子2「今度、にこちゃん出てたら観てみよっと」
女子1「私もー」
ー休み時間ー
ガヤガヤ
ユア「それでねー」ニコニコ
ニシキノ「ふふっ、ユアちゃんって面白い」クスクス
ユア「そうかな」
ドンッ
ユア「きゃっ?!」
男子「いってぇな」
ニシキノ「大丈夫?!」
ユア「う、うん」
男子「ふん! 気を付けろよ」テクテク
ニシキノ「待ちなさいよ」ギロッ
男子「はあ?」
ユア「私なら大丈夫だから」ビクビク
ニシキノ「なに言ってるの。ぶつかってきたのはアイツなんだから、私たちは悪くないわ」
ユア「で、でも・・・・・・」
男子「なんだよ。文句あるのか?」ギロッ
ニシキノ「うっ!」ビクッ
男子「ビビってるじゃねーか! 喧嘩も出来ない女のくせに、威張るんじゃねーよ」ガハハ
ニシキノ「・・・・・・」トコトコ
男子「なんだよ」
ニシキノ「アンタがぶつかってきたんでしょ。謝りなさいよ!」ギロッ
男子「うっ、うるせぇ! 俺は廊下を歩いてただけだ」フンッ
ニシキノ「私たちは端に寄って邪魔にならないようにしていたわ! アンタがちょっと避ければ良かっただけよ」
男子「なんで俺が女なんかの為に避けなきゃいけないんだよ!」 ニシキノ「さっきから女、女って・・・・・・男がそんなに偉いの? 体が大きいってだけでそんなに偉いの?!」
男子「そうだよ。お前は1年か? 俺は6年なんだから、この学校で1番偉いんだ」フンッ
ユア「も、もういいから、教室に戻ろ?」
ニシキノ「ダメッ! アイツが謝るまで絶対に許さない!」
男子「さっきからアンタとかアイツとか、1年のくせに生意気だぞ」ギロッ
ユア「ひっ!?」ビクッ
ザワザワザワ
ニシキノ「アンタは6年生なのに、本当に馬鹿ね」ハァ
男子「あ゛?」チラッ
ニシキノ「体だけ大きくなって、脳みそは幼稚園児のまま・・・・・・そんなのが偉いだなんて笑っちゃうわ」フフッ
クスクスクス
男子「〜〜〜ッ?!」/// ニシキノ「本当に6年生なら自分が悪いと認めて、しっかりと謝るのが」
男子「言わせておけば!」ガシッ
ユア「せ、先生呼んでこなきゃ」タッタッタッ
ニシキノ「叩くなら叩きなさいよ。思い通りにならないからって暴力に頼るなんて、猿やゴリラといっしょ」
男子「うるせぇ!」バチンッ
ニシキノ「うっ!?」ドサッ
「「きゃあああ」」
ユア「こっちです!」
先生「はぁ・・・・・・またお前か」タッタッタッ
男子「お、俺は悪くないからな!」
先生「誰か保健の先生を呼んで来い!」
「わ、私が行ってきます!」タッタッタッ
先生「大丈夫か?」
ニシキノ「い、痛くなんて・・・・・・」ウルウル
ユア「ニシキノちゃん・・・・・・」 ー翌日・学校ー
ザワザワザワ
ニシキノ「すぅー、はぁー」ドキドキ
ガラッ
ニシキノ「お、おはよう」
シーン
女子2「お・・・・・・」
女子1「しっ!」
ニシキノ「・・・・・・」トコトコ
ヒソヒソヒソ
ユア「・・・・・・」チラッ
ニシキノ「あっ・・・・・・お、おは」
ユア「・・・・・・」クルッ
ニシキノ「っ・・・・・・」ウルッ ーーー
先生「明日から夏休みになります。勉強や遊びだけでなく、お父さんお母さんのお手伝いも進んでやりましょう」
「「はーい!」」
先生「また9月に、皆さんの元気な顔が見られるのを楽しみにしてます。怪我をしないように過ごしてください」
「「はーい!」」
「「先生さようなら!」」
先生「はい、さようなら」ニコニコ
ガヤガヤガヤ
ニシキノ「・・・・・・」トコトコ
ユア「あっ」アセアセ ーーー
ユア「待ってー!」タッタッタッ
ニシキノ「・・・・・・」ピタッ
ユア「はぁ、はぁ、一緒に帰っても、いい?」ニコニコ
ニシキノ「私のこと、嫌いになったでしょ」シュン
ユア「朝は・・・・・・ごめんなさい」
ニシキノ「別に。悲しくなんてないから」フイッ
ユア「みんな酷い。って私も同じだよね」
ニシキノ「私も喧嘩する人と仲良くなりたいとは思わない。みんなも悪くない。悪いのは昨日ぶつかってきた6年生で」ギリッ
ユア「昨日は、その、ありがとう」テレテレ
ニシキノ「・・・・・・」
ユア「ニシキノちゃんってすごいよね! 6年生に向かっていくなんて、私には無理だよ」
ニシキノ「私は謝ってほしかっただけ。相手が誰でも関係ない」
ユア「だけど、昨日の6年生のお父さんは、本当に偉い人なんだって」ウツムキ
ニシキノ「偉い人?」 ユア「その人に嫌われちゃうと大変で・・・・・・ニシキノちゃんと喋っちゃダメだって、みんなお母さんから言われてるって」
ニシキノ「・・・・・・あなたも?」
ユア「ううん! お母さんには”ちゃんとお礼を言いなさい!”って、怒られちゃった」アハハ
ニシキノ「その偉い人より、あなたのお母さんの方がすごいと思う」ニッコリ
ユア「そう、かな? でも、今までみたいに学校でお話は出来ない、かも・・・・・・ごめんなさい」シュン
ニシキノ「ううん。最初はお友達なんて居なかったし、あなたが居てくれるだけでも私は」テレテレ
ユア「夏休み、たくさん遊ぼうね!」ニコニコ
ニシキノ「お勉強もしっかりしないとね」フフッ
ユア「ニシキノちゃんは賢いから羨ましいよ」ムスッ
ニシキノ「私は、お友達がたくさん居るあなたが羨ましいわ」シュン
ユア「・・・・・・」 ニシキノ「お勉強は1人でも頑張れるけど、お友達は頑張っても・・・・・・」
ユア「夏休みが終わったら、私もみんなに話してあげる! きっとみんなも分かってくれるよ!」ニコニコ
ニシキノ「そう、かしら」ハァ
ユア「もう。簡単に諦めてちゃ、お友達なんてずっと出来ないよ?」
ニシキノ「・・・・・・うん」コクン
ユア「笑った方が可愛いんだから、笑顔で、ね?」ニコニコ
ニシキノ「あっ、あ、ありがとう」///
ユア「えへへ」 おつおつ!
ニシキノちゃんの一族も中々の有力者だと思うけど六年のクソガキはそれ以上なのか…
幸せになってくれ、ニシキノちゃん
ー3日後・ニシキノの家ー
ピンポーン
ニシキノ「あっ!」ガタッ
「お友達?」
ニシキノ「うんっ」ニッコリ
タッタッタッ
ガチャ
ユア「こんにちわ」ニコニコ
ニシキノ「いらっしゃい」ドキドキ
ユア「今日も暑いね」バタン
ニシキノ「そう?」
ユア「ニシキノちゃん、時々お外でも遊ぼ?」
ニシキノ「でも、お昼は暑いから遊ばない方が良いって」
ユア「それは・・・・・・そうかも」
「いらっしゃい」
ニシキノ「あっ」ビクッ
ユア「こんにちわ」ペコリ
「こんにちわ」ペコリ
ニシキノ「お、お母さんは出て来ないでって言ったのに!」ムスッ
「はいはい。ゆっくりしていってね」フリフリ
ニシキノ「早く部屋いこ」トコトコ
ユア「ニシキノちゃんのお部屋ってどんなんだろう」ワクワク
ニシキノ「ふ、普通の部屋よ」アセアセ
ガチャ
ユア「わぁ〜っ、キレイだねー」キョロキョロ
ニシキノ「そ、そう?」
ユア「あっ! この漫画、私の家にもある!」
ニシキノ「本当?! こ、コレ! 他に持っている人いなくて」パアァ
ユア「だけど持ってるの、私のお母さんだよ?」
ニシキノ「これもお母さんの物だけど、もう読まないからって貰ったの」
ユア「海の近くに住んでる女の子が、アイドルになるお話・・・・・・だった、かな?」
ニシキノ「うん! それで主人公の女の子がね!」キャッキャ
ユア「お、落ち着いて」
ニシキノ「あっ・・・・・・ごめんなさい」
ユア「お勉強が終わったら、いっぱいお話しよ?」ニコニコ
ニシキノ「うんっ」ニッコリ
ユア「ニシキノちゃんも、漫画とか見るんだねー」
ニシキノ「へ、変?」
ユア「ううん! ニシキノちゃんは頭が良いから、もっと字がいっぱい書いてある大人の本とか見てそうって思ってた」アセアセ
ニシキノ「お母さんはそういう本も読んでるけど、私には見せてくれなくて」
ユア「どうして?」
ニシキノ「うーん・・・・・・」
ユア「あははっ。ニシキノちゃんでも分からない事があるんだね」ニッコリ
ニシキノ「あっ、えっと、あの・・・・・・」モジモジ
ユア「ん?」キョトン
ニシキノ「今は、2人だけだから、その、名前で呼んでくれても、別に、いいけど」ソワソワ
ユア「ふふふ」ニヤニヤ
ニシキノ「いっ、嫌なら別に」フイッ
ユア「いいよ、────」
〜〜〜
ユア「ありがとう」ニコニコ
ニシキノ「私も楽しかったわ」ニコニコ
ニシキノ「それで、えっと・・・・・・」モジモジ
ユア「どうしたの?」キョトン
ニシキノ「あ、明日も、また遊びたいんだけど・・・・・・」チラッ
ユア「うん。ごめんなさい」シュン
ニシキノ「そ、そう、よね」シュン
ユア「あっ! ニシキノちゃんと遊びたくないんじゃなくて! 私も遊びたいんだけど」アセアセ
ユア「明日から、おばあちゃんのお家に行くから、遊べなくて」
ニシキノ「そう・・・・・・遠いの?」
ユア「うん。飛行機で行くって言ってたよ」
ニシキノ「・・・・・・」ショボン
ユア「お、おみやげ買って来るから! 楽しみにしててね」ニコニコ
ニシキノ「うん・・・・・・帰って来たら、また遊んで、くれる?」チラッ
ユア「うん! お約束! またね」フリフリ
バタン
シーン
ーキッチンー
ニシキノ「お母さーん」トコトコ
「どうしたの?」コトコト
ニシキノ「私のおばあちゃんは、どこに居るの?」
「・・・・・・」
ニシキノ「おかあ、さん?」キョトン
「・・・・・・すごい、遠く、だから」トントン
ニシキノ「夏休みでも行けないくらい?」
「・・・・・・ごめんなさい」
ニシキノ「ううん。ちょっと気になっただけ」
「・・・・・・」
ー1週間後・ニシキノの家ー
「はい。わざわざ、ありがとうございます」ペコペコ
「あなたの所も大変だと思うけど、頑張ってね」
「すみません。何のお構いも出来なくて」
「気にしなくていいのよ。それじゃあ」
「娘にもちゃんと話しておきます」バタン
ーーー
ガチャ
ニシキノ「お母さーん、今日のおやつどこ?」キョロキョロ
「・・・・・・」
ギュッ
ニシキノ「きゃっ!? お、お母さん? どうしたの?」
「大丈夫だから。お母さんたちだけは、ずっとそばに居るから」ウルウル
ニシキノ「う、うん?」
「この前に遊びに来てくれてたユアちゃん。お友達、なんだよね?」
ニシキノ「うんっ。私の、初めてのお友達で」テレテレ
「ユアちゃんね・・・・・・」
ニシキノ「ユアちゃんがどうかしたの?」
「お引越し、するんだって」
ニシキノ「・・・・・・えっ」
第2部 "1話”
☆☆☆
「ユアちゃんがお引越ししたのって、ニシキノちゃんのせいなんだって」ヒソヒソ
「うんうん。あたしもお母さんが話してるの聞いちゃった」ヒソヒソ
ニシキノ「・・・・・・」
「仲良しだったのにね」ヒソヒソ
「ニシキノちゃんって、あんまりお話しないからジッと見られるとちょっと怖い」ヒソヒソ
「怒ってるみたいだよねー」
ニシキノ「・・・・・・」
☆☆☆
「やめときなよ」ヒソヒソ
「えー、でも気になるでしょ?」
「気にはなるけど・・・・・・」チラッ
「あたしが訊いて来てあげるって」
「あっ! ちょっと!」アセアセ
「ねえ」
ニシキノ「・・・・・・」
「どうして転校してきたの?」ニヤニヤ
ニシキノ「別に、どうだっていいでしょ」
「そんなこと言わずにさ、教えてよ」
ニシキノ「あなたには関係ない」ガタッ
スタスタスタ
「あっ、待って!」テクテク
ニシキノ「付いて来ないで」テクテク
「前の学校って、ニュースでやってた所なんでしょ?」ニヤニヤ
ニシキノ「・・・・・・」ピタッ
「当たっちゃった?」ニヤニヤ
ニシキノ「・・・・・・」ワナワナ
「もしかして、ニシキノさんが犯人、だったり?」
パシーン
「いたっ?!」バタン
ザワザワ
ニシキノ「誰もかれも、私だけが悪いみたいに言って・・・・・・」ボソッ
「わっ、私はそんなつもりじゃ」ビクビク
ニシキノ「そんなに私を犯人に仕立て上げたいなら」テクテク
「な、なに? 来ないで! た、助け」
ガシッ
「いやっ」ズルズル
ザワザワザワ
ニシキノ「この階段から突き落としてあげる」
「も、ももう言わない! だからお願い! やめてっ!」ビクビク
ニシキノ「あなたが死ねば、私を犯人にできるわよ? 嬉しいでしょ」フフッ
先生「や、やめなさい! 落ち着いて!」
ニシキノ「・・・・・・」チラッ
先生「ひっ!?」ビクッ
ニシキノ「さようなら・・・・・・」
ーーー
ピピピッピピピッピピピッ
モゾモゾ
ピピ
「はぁー」(こんな日にあの夢を見るなんて・・・・・・最悪)ムクリ
〜〜〜
ガチャ
「・・・・・・行ってきます」ボソッ
シーン
「はぁ」バタン
ガチャリ
☆☆☆
ー4月・入学式当日ー
「遅刻するーっ!」タッタッタッ
「ほらほらー、早く行くよー」タッタッタッ
「速ッ! そんなスピードで走れるんなら、おんぶして!」
「笑美ちゃんが寝坊するのが悪いんだよー」
笑美(エミ)「だって! 昨日のテレビ面白かったんやもん」ハァハァ
「ほらほら、喋ってないで早く行くよー」
笑美「ま、待ってぇー」
ー校門ー
「ギリギリセーフ」
笑美「ぜぇぜぇ」
「大丈夫?」チラッ
笑美「む、無理。はぁはぁ。保健室、いく」テクテク
「もうチラシ配りは出来ないねー」
笑美「・・・・・・」ハァハァ
「って聞こえてなーい・・・・・・。里茄は教室いこっと」タッタッタッ
ー2年3組教室ー
3組担任「もうすぐ入学式です。あなた達も学年が1つ上がり、2年生になりました。後輩に恥ずかしい格好を見せないよう、身だしなみもしっかりと整えて」
里茄「・・・・・・」スースー
クスクスクス
3組担任「星空さん?」ポンポン
里茄「・・・・・・あっ」ムクリ
3組担任「起きなさい」ペシッ
里茄「・・・・・・え?」ボーッ
「里茄ちゃん? もうすぐ入学式だよ」ヒソヒソ
里茄「えーっと・・・・・・あはは」アセアセ
3組担任「はぁ」
3組担任「それでは、速やかに体育館に移動してください」
ガヤガヤガヤ
ー校門ー
里茄「はぁー。もう体カチコチだよー」
笑美「入学式ぐらいで大袈裟やん」
里茄「笑美ちゃんは保健室に居たからでしょー?」ジトー
笑美「いやいや、ちゃんと出席しとるから」アセアセ
里茄「えー、ホントにぃ?」
笑美「早く準備しないと新入生来るよ! 朝に配れんかったんやから、帰りにしっかり渡さんと」
里茄「それは笑美ちゃんのせいだよー」
笑美「まあまあ。帰りにオニギリこうてあげるから」
里茄「オニギリ!」パアァ
笑美「い、1個までやで?」
ザワザワザワ
里茄「新入生にゃ!」ダッ
笑美「あっ! ちょっと! 待って!」タッタッタッ
「この辺りは安全だと思ってたけど、やっぱり怖い人も居るんだね」
「人通り少ない所に行かなきゃ大丈夫だって」
「そうかな?」
「そうそう」
里茄「お願いします」スッ
「「えっ!」」ビクッ
笑美「り、里茄ちゃん! ちゃんと、部活勧誘だって、言わないと、ダメ、やん」ハァハァ
里茄「あっ、ごめんごめん」
「え、えっと」
笑美「ア、アイドル研究部、です。ライブもやるので、その、よ、良かったら遊びに来てください」
「ど、どうも」ソワソワ
テクテクテク
笑美「よ、よし!」(ちゃんと渡せた)ホッ
里茄「おーっ。里茄もさっさと配って終わらせちゃおーっと」
「・・・・・・」テクテク
里茄「アイドル研究部でーす。どうですかー?」ニコニコ
「いらない」
スタスタスタ
里茄「・・・・・・」シュン
「生徒会長さん、すごく格好良かったー」
「ねっ! 私、好きになっちゃいそうだよー」
「あははー。私もー」
里茄「アイドル研究部でーす。ライブもやりますよーどうぞー」スッ
「あ、ありがとうございます」
「あ、あの、せ、先輩、ですよね?」
里茄「ん? 里茄は2年生だよー」ニコニコ
「あっ・・・・・・そ、そうなん、ですね」シュン
里茄「どうしたの?」
「い、いえ! 3年生だったら、その、生徒会長さんに」モジモジ
里茄「生徒会長って、あの・・・・・・」
「星空さん、ちょっといいかしら」ガシッ
里茄「チラシですかー?」クルッ
「せ、生徒会長さん!?」ビクッ
「お、おぉー」ビクッ
里茄「なーんだ。里茄達は忙しいから、またあとでねー」
生徒会長「待ちなさい」
里茄「あっ、この子たちは生徒会長のファンなんだってー」ビシッ
「そ、そ、んな、ファンだ、なんて」テレテレ
生徒会長「・・・・・・」チラッ
「「・・・・・・」」ドキドキ
生徒会長「生徒会に用事がある場合、生徒会室に来なさい。私以外でも対応はできるから」
「は、はい!」ビクッ
生徒会長「そんな事より、あなた達はこの時間、チラシ配りの申請は出してないわよね?」
里茄「難しいことは部長に聞いてくださーい」プイッ
生徒会長「東條さんは?」
里茄「あそこでチラシ配ってるよー」
生徒会長「あなたも来なさい」ガシッ
里茄「えーっ!?」ズルズル
「び、美人だったね」ドキドキ
「う、うん!さすが、だよね」ドキドキ
ーーー
生徒会長「今すぐにチラシ配りは止めなさい」
笑美「え、え? で、でも私、ちゃんと申請しましたよ?」アセアセ
生徒会長「朝に配るという申請内容だったから、今の時間は認められないわ」
笑美「あ、朝はちょっと、その、バタバタしてて」
生徒会長「そういうワケだから。私はこれで失礼するわね」テクテク
里茄「どうしよっかー」ウーン
笑美「・・・・・・校門の外で配ろう」ヒソヒソ
里茄「いいの?」キョトン
笑美「生徒会長は学院の中では偉いかもしれないけど、外に出れば大丈夫やよ」
里茄「ふーん」
笑美「そうと決まったら早くいこ」
里茄「今日はどうしたのぉ? いつもはすぐに諦めるのにー」
笑美「なに言ってるん! ここで新入生をゲットできんかったら」
笑美「廃部なんよっ!?」
里茄「里茄は別に廃部になっても」
笑美「アカンよっ!」
ー回想・春休み前ー
笑美「は、廃部ッ?!」ビクッ
「このまま新年度を迎えればね」
笑美「高橋先生? 廃部なんて聞いてませんよ」
高橋先生「いいえ。私はしっかりと、東條さんに伝えたわよ」
笑美「い、いつですか?」
高橋先生「1年ぐらい前、あなたが入部する時に」
笑美「入部、する時────」
────
───
──
笑美「あははっ! 芳佳ちゃん嘘いうのやめて!」
芳佳「本当だって! ねえ?」
クラスメイト「うんうん。今度見てみなよ」
高橋先生「お話中にごめんなさい。東條さん、ちょっといい?」
笑美「えっ、は、はい」ビクッ
クラスメイト「笑美ちゃん、なにか悪いことしたの?」
芳佳「入学早々?」ニマニマ
笑美「な、なにもしてないって」
高橋先生「お説教じゃないから、そのままで聞いて」
笑美「はい・・・・・・」ソワソワ
高橋先生「東條さんって、まだ部活に入っていないわよね?」
笑美「そう、ですけど」
クラスメイト「あれ、笑美ちゃんまだ決めてなかったの?」
笑美「う、うん」アセアセ
クラスメイト「もう決まってるんだと思ってた」
高橋先生「なにかやってみたい事とか、興味のある事とかない?」
笑美「えーっと、でも、なんというか、強制とかじゃ、ないですよね?」
高橋先生「そうだけど、高校生になったんだから、これを機に何か始めてみたらどう?」
芳佳「そうだよ! 華のjkだよ? 何かしないともったいないって」
クラスメイト「水泳部にカッコイイ先輩いたよ?」
笑美「えー、でもなー」
芳佳「それに、部活に入ってたら内申点もらえますよね?」
笑美「!!」ピクッ
高橋先生「ええ、そうね」
クラスメイト「へえー、そうなんだ」
笑美「は、入ってるだけでいいんですか?」
高橋先生「それは、ちゃんと活動していないとね」
笑美「そう、ですよね」シュン
芳佳「そういえば、笑美ってダンス得意だったよね?」
笑美「う、うん、まあ」
クラスメイト「それじゃあ、ダンス部とか?」
高橋先生「ダンス部は、たしか無かったと思うわ」
笑美「それなら、やっぱり部活は・・・・・・」
高橋先生「あっ! ダンス部はないけれど、アイドル研究部とかどう?」
笑美「・・・・・・アイドル、ですか?」
芳佳「そんな部活あったんだ」
高橋先生「アイドルのダンスを真似したり、創作ダンスをしたりと楽しいと思うわ」ニコニコ
笑美「は、はあ・・・・・・」
高橋先生「部員がゼロだから少しだけ寂しいかもしれないけど、新入部員を集めれば」
笑美「そ、その部って、部室、ありますか?」
高橋先生「まだ部としては存在しているからあるハズよ」
笑美「それに! 誰も居ないって事は、いきなり部長になれるってことですか?!」
高橋先生「そうなるけど、新入部員を集めないと来年度には廃部になるわよ?」
笑美「何人必要ですか?」
高橋先生「5人で部として認められるから、東條さんが入部するならあと4人必要ね」
笑美「が、頑張ります!」
ーーー
高橋先生「思い出した?」
笑美「な、なんとなく」
笑美「でも! もう春休みだし、無理ですよ!」
高橋先生「仕方ないわね。それなら4月末まで延ばしてもらえるように、交渉してみるわ」
笑美「本当ですか?!」
高橋先生「その代わり、しっかりと新入生を勧誘するのよ?」
笑美「はい!」
ー翌日・帰り道ー
里茄「誰も来なかったねー」テクテク
笑美「ま、まあ、まだ1日目やからね。あたしだって勧誘されても、すぐに入ろうと思わへんし」アセアセ
里茄「・・・・・・ねえ、笑美ちゃん?」
笑美「なにー?」テクテク
里茄「陸上部に入ろ?」チラッ
笑美「・・・・・・えっ?」
里茄「里茄なりにいろいろ考えてー、陸上部でやる気の無さそうな人を勧誘すればアイドル研究部に入ってくれるかなって、部長に訊いてみたんだー」
里茄「3人ぐらい、やる気の無い人は居ませんか? って」
笑美「素直すぎるよ・・・・・・」ハァ
里茄「そうしたらー、部長に事情を聞かれちゃってー」
笑美「そうなるやんな」
里茄「逆にその子を勧誘して来てって言われちゃった」アセアセ
笑美「無理無理ッ! 陸上部なんて無理やから」アセアセ
里茄「楽しいよ?」ニコニコ
笑美「だって、死ぬほど走らされるんやろ?」
里茄「あー・・・・・・マネージャーが欲しいって言ってたからー、きっと大丈夫だよー」
笑美「マネージャーか」ウーン
里茄「うんうん」ニコニコ
笑美「アイドル研究部が廃部になったら・・・・・・うーん、でも」
里茄「笑美ちゃんは、そんなに廃部にしたくないの?」
笑美「やっぱりダンスが好きやから、かな?」
里茄「アイドルは?」
笑美「好きやけど、熱中するほど好きでもないと、思う」
里茄「ダンスは、子どもの時からずっと好きなの?」
笑美「それはそうなんやけど、本当は・・・・・・」
里茄「本当は?」
笑美「あの快適空間を捨てるなんてもったいないやん!」
里茄「・・・・・・」ジトー
笑美「あたし知ってるんやで? 里茄ちゃん、お昼寝するのに部室使ってるでしょ?」
里茄「!!」
笑美「たまに午後の授業もサボって」ジトー
里茄「そ、そんな事ないよ!」
笑美「あたしも私物とか置いてるし、里茄ちゃんの事は責められないんやけどね」
里茄「もぉー。とにかくあと3人なんでしょ? 頑張らないとー」
笑美「内申点の事もあるもんね」
里茄「そうだねー」
笑美「あたしコッチだから。また明日」フリフリ
里茄「今日は里茄もコッチからー」テクテク
笑美「寄り道?」
里茄「うん。ちょっとだけー、道場に寄って行こうと思ってー」
笑美「子どもの時から通ってるんだっけ」
里茄「うん。今はあんまり行ってないけどねー」
笑美「本当に運動が好きなんやね」
里茄「そうだ! 道場といえば、カモメちゃんって覚えてる?」
笑美「うーん・・・・・・なんとなく?」アセアセ
里茄「カモメちゃんって里茄より1個下なのに、道場で先生みたいに教えてるんだよ? すごいよねー」
笑美「すごいなー。1個下って事は、高校1年生?」
里茄「たぶん?」
笑美「音ノ木坂学院に来てたりしないかな?」
里茄「うーん、訊いてみるねぇ」
笑美「頼むよ! 2人で頼み込めば、アイドル研究部に入ってくれるかもしれんし」
里茄「本当に誰でもいいんだねー」
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