ルビィ「断髪式」 [無断転載禁止]©2ch.net
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よしルビ
鬱要素注意
VIPQ2_EXTDAT: checked:vvvvv:1000:512:----: EXT was configured ダイヤ「──ああ、やはり来ましたか」
ダイヤ「ええ、聞きたいことは大体察していますわよ……あのことについて、ですわよね?」
ダイヤ「別に話しても構いませんが、少しばかり長くなりますわよ……それに」
ダイヤ「あまり聞いていて気分のいいものではないでしょう……それでも?」
ダイヤ「……成程…わかりました、そこまで言うのなら全てを隠さずお話しいたしましょう」
ダイヤ「……」フゥーッ
ダイヤ「そう…あれは今から五年ほど前のことです──」
───
──
─ ─五年前、黒澤家
ダイヤ「ルビィ、起きなさいルビィ」ユサユサ
ルビィ「……んぅ…もうちょっと…」
ダイヤ「駄目です」ガバッ
ルビィ「あぁっ…お布団さんが……ひどいよお姉ちゃん」ゴシゴシ
ダイヤ「何を言ってるの、このまま寝ていたら遅刻するでしょう」
ダイヤ「新学期そうそうに遅刻だなんて、いい笑いものになりますわよ」ハァーッ ルビィ「うぅ……」
ダイヤ「とにかく、早く着替えて朝ごはんを食べてきなさい」
ダイヤ「わかった?」
ルビィ「はーい…」トテトテ
ダイヤ「……全くもう」
……
… ─
ダイヤ「─ところでルビィ」スタスタ
ルビィ「ん、なに?」テクテク
ダイヤ「学校の方はどうなの? 友達は?」
ルビィ「お姉ちゃん、いつもそれ聞くよね」
ダイヤ「お母様に頼まれていますので」
ダイヤ「……それに、私も心配だから」
ルビィ「…大丈夫だよ、そんなに変なこととかないし」
ダイヤ「私が聞いているのはそういうことではないのだけど」 ルビィ「……ルビィにはできないよ」
ダイヤ「そうかしら…もしかすると貴女の話を分かってくれる人が現れるかもしれませんわよ」
ダイヤ「ルビィが一緒にいたいと思えるような、そんな人が」
ルビィ「……そうかなぁ…」
ダイヤ「ええ、きっと」 ─
ダイヤ「さ、着きましたわ」
ルビィ「うん」
ダイヤ「ルビィ、今年度から貴女も四年生…高学年としてしっかりしていかないと、ね?」
ルビィ「うん」
ダイヤ「……それじゃあ私は先に行ってるから、帰りにまた会いましょう」
ルビィ「……うん、またねお姉ちゃん」フリフリ ルビィ「……」
ルビィ「……四年生、かぁ…お姉ちゃんは今年で六年生なんだよね…」
ルビィ「うん、今年で……もう…」
ルビィ「…いなくなるんだ……」
ルビィ「……ルビィもいかなくちゃ」スタスタ ─教室
「ねえねえ、昨日のアレ見た?」
「うん、見た見た! 面白かったよねー!」
「それで今日の朝にね……」
「あっ、それなら帰りに──でさ……」
ワイワイガヤガヤ
ルビィ「……」ハァーッ ガラッ
先生「おはようございます、新学期早々に賑やかですね」
オハヨウゴザイマス!
先生「はい宜しい、それじゃあみんな席についてー、朝の会を始めますよー」
先生「─まずは出席から取っていきますね、井上さん……」
……
… 先生「……はい全員いますね、では次に今日の予定を…っと言いたいところなんですが」
先生「その前に、みんなにお知らせがあります」
ルビィ「……?」
先生「そのお知らせというのは─」
先生「今日、このクラスに転校生がやってきます」
ルビィ「ぇ……!?」 ザワザワ
先生「ほらほら静かに…えー転校生の子ですが、内浦に来るのは初めてのようなので色々分からないことがあったらみんな助けてあげるように」
先生「それでは津島さん、入ってきてください」
ルビィ「……」
─ガラッ
善子「……」
ルビィ「!」 善子「……」スタスタ
ザワッ
「わあ…すごい可愛いね……」
「テレビに出てくる人みたい…」
ルビィ(うん、でもなんだろう…何か……)
善子「……」ピタッ
先生「転校生の津島善子さんです、みんな仲良くするように」 善子「……」
先生「それでは津島さん、自己紹介をどうぞ」
善子「……クク」
先生「津島さん?」
善子「津島……いえ違うわ、我が名は堕天使ヨハネ」
善子「そして今、この場の全員に告ぐわ」
善子「堕天使ヨハネと契約して、貴女も私のリトルデーモンに…なってみない?」フッ シーーーン…
「「「……」」」
ルビィ「……リトルデーモン…?」
先生「……えーっと…津島さん?」
善子「…………あっ…」
善子「……」
善子「…………よろしくお願いします」ペコリ 先生「……えー、それじゃあ津島さんの席はあそこになるけど…大丈夫?」
善子「……大丈夫です」
ルビィ(ルビィの後ろ…)
善子「……」ストン
善子「……またやってしまったわ…」ハァーッ
ルビィ「?」チラッ
先生「─さてと…今日の朝の会はこれで終わりです、係りの人は挨拶をお願いします」
……
… ─それから放課後
善子「ねえちょっと」
ルビィ「……」
善子「そこのあんたよ、あんた」ポンポン
ルビィ「…え? ルビィ?」クルッ
善子「そうだけど、ルビィ? ……もしかしてそれ、名前なの?」
ルビィ「うん、そうだよ」
善子「……変わった名前ね」 ルビィ「あの、それで…ルビィになにか用?」
善子「ううん別に」
ルビィ「え?」
善子「赤い髪が目立つから気になっただけよ」
善子「ま、名前も珍しかったわけだけど」
ルビィ「そっか……やっぱり変だよね」 善子「ん、どうして? そんなことないわよ、むしろカッコいいじゃない」
ルビィ「!?」
善子「何その反応、私そんなにおかしなこと言ってるかしら」
善子「その他の人とは違う“特別”って感じが、見た目からもう出ているのは凄いことだと思うけど」
ルビィ「……本当に?」
善子「ええ、なに? あんたは気に入ってないの?」
ルビィ「そうじゃ、ないけど…」
善子「ならいいじゃない」 善子「それに、その見た目なら私のリトルデーモンとしても十分、いやそれ以上に……」
ルビィ「リトルデーモン……」
善子「あっ、しまった……」パッ
ルビィ「ねえ、津島さん…そのリトルデーモンってなに? 朝のときも言ってたけど」
善子「……その手の質問は昼休みの間に嫌になるほど聞いたんだけどね」
ルビィ「ごめんなさい、ルビィあまりたくさんの人とおしゃべり出来ないから」
善子「……まあいいけど」 善子「リトルデーモンっていうのはこの私、堕天使ヨハネに付き従う従順なしもべのことよ」
ルビィ「???」
善子「……あー、いやつまり…いつも私を支えてくれる存在というか……」
ルビィ「お友だちってこと?」
善子「そういうわけじゃないんだけど…まあ、あんたにはそれが一番わかりやすいかもね」 ルビィ「そっか…」
善子「なかなか居ないんだけどね、私のリトルデーモンに相応しい…いや、なってくれるような人って」
善子「あんたにこんなこと言っても仕方ないけど」
ルビィ「……」
善子「まあいいわ、邪魔したわね」クルッ
ルビィ「……あの! 待ってください!」 善子「なに?」
ルビィ「……あっ……あの…」
善子「何よ、どうかしたの?」
ルビィ「ル、ルビィを津島さんのリトルデーモンにしてもらえませんか!」
善子「……!?」 善子「あんた、それって…」
ルビィ「ルビィね、津島さんのこともっと知りたいの」
善子「……どうして?」
ルビィ「それは……」
ルビィ「堕天使さんってカッコいいなぁって…そう思ったから」
善子「!」 善子「……」
ルビィ「……やっぱり、ダメだよね…」
善子「…そんなことないわよ」
ルビィ「……え?」
善子「堕天使ヨハネはリトルデーモンの申し出を断ることはしないわ」
ルビィ「本当にいいの…?」
善子「…あんたはもう少し自分に自信を持ったほうがいいわね」 善子「とにかく、私がいいって言ったらいいのよ」
ルビィ「……ありがとう、津島さん」ニコッ
善子「っ……ただ、そうね…その津島さんって呼びかた」
善子「リトルデーモンになるからには少し硬いわね」
ルビィ「そうなの?」
善子「ええ、だからこれからは私のことをヨハネと……」
ルビィ「じゃあ善子ちゃんって呼んでいい?」
善子「…………まあ、いいけど」 ルビィ「よかった……えへへっ」
善子「そんなに嬉しいの?」
ルビィ「うん、すごく嬉しい」
善子「…なんか、変なの」
ルビィ「ねえ善子ちゃん、これからよろしくね」
善子「ん、そうね……よろしく…えーっと、ルビィ」
ルビィ「はい!」ニコッ ─
善子「さて、そうなればまずは一緒に堕天使活動からかしらね」
ルビィ「……あの、ごめんなさい善子ちゃん」
善子「ん? なに?」
ルビィ「ルビィ今日は習い事があって…だからもう帰らなくちゃいけないの」
善子「……そうなの」
ルビィ「ごめんね…」
善子「別に気にしてないわよ、習い事なら仕方ないわ」
善子「じゃあ…また明日ね」
ルビィ「うん、またね善子ちゃん」タッ 善子「─意外と忙しいのね、あの子」
善子「それにしても……ルビィ、か…」
『ル、ルビィを津島さんのリトルデーモンにしてもらえませんか!』
『堕天使さんってカッコいいなぁって…そう思ったから』
善子「初めてね、あんなこと言ってくる子は…」
善子「フフッ……私も帰ろ」
……
… ─黒澤家
ルビィ「……ふう」コトン
ダイヤ「─お疲れ様、ルビィ」
ルビィ「あっ、お姉ちゃん」
ダイヤ「……何かいいことでもあった?」
ルビィ「…? なんで?」
ダイヤ「そういう顔をしてますもの、習い事も、今日はあまり辛そうに見えなかったわ」
ルビィ「……そっか」 ルビィ「あのね、今日ルビィのクラスに転校生が来たの」
ルビィ「それでね、その子とお友だちになったんだぁ」
ダイヤ「へえ、転校生と……どんな子なの?」
ルビィ「うん、とにかくすごい女の子だったよ」
ダイヤ「はあ…」 ダイヤ「ねえルビィ、何がどう凄いのか言ってもらわないとこっちには伝わりませんわよ」
ルビィ「あっそうだね、えーっとね…まずはすごい美人さんでね」
ルビィ「でもね、すごいカッコいいの」
ダイヤ「美人でカッコいい、ですか」
ルビィ「うん、お姉ちゃんみたいだよね」クス
ダイヤ「……まあそれは置いておくとして…それから?」 ルビィ「んーとね、あとは……そう、カッコいいなぁって」
ダイヤ「それはさっき聞いたけど」
ルビィ「ううん見た目の話じゃなくて…その子ね、善子ちゃんっていうんだけど」
ルビィ「善子ちゃん、凄いところから来たの」 ダイヤ「凄いところ……外国とか?」
ルビィ「ううん、お空から」
ダイヤ「……ルビィ、今なんて?」
ルビィ「善子ちゃんはね、天界から追放された堕天使なんだって!」
ルビィ「それでね、ルビィは善子ちゃんのリトルデーモンなんだぁ!」パァッ
ダイヤ「……………………は?」ポカン ─津島家
善子「ただいまー」
善子母「おかえり善子、どうだった学校は?」
善子「……まあまあってところ」
善子母「そう」
善子「……あー、でも」
善子母「?」 善子「少し、変わった子がいたわね」
善子母「変わった子?」
善子「うん、私の言ってることを全部信じた子……初めて見た」
善子母「……善子もしかして、また堕天使って言っちゃったの?」
善子「うっ…自己紹介のときはやめようって思ってたんだけど」
善子母「…また変な目で見られたんじゃないの?」
善子「今までよりはだいぶマシだったけどね……でも」
善子母「さっき言ったその子だけは、そういう目で見なかったのね」
善子「……うん」 善子母「よかったじゃない」
善子「うん……ホント、変わってるわ」
善子「名前も珍しかったし」
善子母「へえ……名前、なんていうの?」
善子「ルビィって言ってたわ」
善子母「そう、ルビィちゃんっていうのね」 善子「…あれ? ママ、あまり驚かないのね? 私は結構変わった名前だと思ってたのに」
善子母「あら、そうかしら? まあ確かに珍しいものね」
善子「じゃあどうして?」
善子母「うーん、そうね……前に似たような名前を聞いたことがあるから、かしらね」
善子「ふーん…?」 善子母「とにかく、お友達が出来たみたいでよかったわ」
善子「まだ知り合ったばかりだけどね」
善子母「いいじゃない、これから仲良くなっていけば」
善子「……ま、考えておくわ…一応私のリトルデーモンだし、ね」
善子「じゃあ私、部屋に戻るから」スタスタ
善子母「あっ……もう、変なところで素直じゃないんだから」フフッ
善子母「……それにしても…赤色、か」
善子母「─懐かしいわね、色々……」 お疲れさま
リトルデーモン4号と言われるがまさかの1号だったとは… >>44少し修正します。
善子母「よかったじゃない」
善子「うん……ホント、変わってるわ」
善子「髪の色も赤くて……なんか大人しいのにそれだけで目を引くっていうか」
善子母「赤い髪の毛……珍しいわね」
善子「うん、それに名前も普通の人とはちょっと違うし」
善子母「へえ……名前、なんていうの?」
善子「ルビィって言ってたわ」
善子母「そう、ルビィちゃんっていうのね」 ルビィを聞いた事があって赤色が懐かしいこれは嫌な予感が ─翌日、学校
善子「うーん……かなり早い時間から来てしまったわ」
善子「別に用事なんてないけど…」
善子「なんか早く行かないと落ち着かないのよねえ……」
善子「ま、一人だけの時間っていうのもそれはそれで悪くないけどね」ガラッ
善子「ククク……堕天使ヨハネ、降臨! ってね」
ルビィ「あっ善子ちゃんだ、おはよう」ニコッ
善子「」 善子「……おはよう、ルビィって学校に来るの早いのね」
ルビィ「うーん、今日はたまたまかなぁ…いつもはそんなに早くないの」
善子「ならいつも通りでよかったのに…」
ルビィ「え?」
善子「ううん、なんでもないわ……それより」 善子「ねえ、勉強してるの?」ズイッ
ルビィ「うん、ルビィはあんまり頭がよくないから」
善子「ふーん、真面目なことね」
ルビィ「えっ、普通じゃないの?」
善子「……まあ、そうね」
善子(…昨日の習い事もそうだけど、ルビィの家って意外とそういうのに厳しい家庭なのかしら?) ルビィ「……」カキカキ
善子「……」ジーッ
善子「ねえ」
ルビィ「なに?」
善子「そこ、間違えてるわよ」
ルビィ「えっ、どこ?」
善子「ここよ、正しくはこう」サラサラ ルビィ「わっ、本当だ…すごい、善子ちゃんって頭がいいんだね!」
善子「っ……いや、まあそれほどでもないわよ」
善子「その、親が教師だから…私もそれなりに勉強が出来るようになったってだけ」
ルビィ「善子ちゃんのお父さんとお母さんって先生なの?」
善子「母親のほうだけ、お父さんは違う仕事」ガタン
ルビィ「そうなんだ」 善子「隣、座るわよ」ストン
ルビィ「うん」
善子「実を言うとね、その仕事の都合でこっちに転校することになったのよ私」
ルビィ「そうなの?」
善子「なんか教師の人手が不足しているとか何とかでさ、そんなの別に断ればいいのにって私は思ったんだけど」
善子「でも私のママ…ここの偉い人達に昔けっこうお世話になってたんだって」 ルビィ「偉い人たちって?」
善子「私もあんまり知らないけど……とにかくそういうのがあったせいか、断らないでこっちに越すことになったってわけ」
ルビィ「そうだったんだ…」
善子「引っ越すって最初に聞いたときは私の不幸が遂にママにまで影響したのかと思ったけど」
善子「……」チラッ
ルビィ「?」
善子「どうやら私の勘違いだったみたい、転校っていうのも中々いいものね」クスッ お休みなさい
ヨハママは教師設定なのか…レッスンしてほしす 教師設定は公式らしいからね
今後アニメで生かされるとも思えないけど 善子「─あっそうだ、ねえルビィ」
ルビィ「なに?」
善子「今日の放課後、時間ある? 昨日は無理だったから今日やりたいんだけど」
ルビィ「……それは…」
善子「…もしかして今日も?」
ルビィ「うん…」 善子「そう…ルビィ、習い事っていつお休みなの?」
ルビィ「…土曜日と日曜日」
善子「はあ!? じゃあ休日以外の日は全部習い事やってるの!?」
ルビィ「うん」
善子「これは…流石に予想外だったわ……」
善子(ルビィにあまり友達がいないのって性格だけが原因じゃなさそうね…平日の放課後に遊べないんだもの) 善子「……」
ルビィ「善子ちゃん?」
善子(私が思った通りだった、やっぱり…ルビィは他の子とは違う)
善子(この子は……一人なんだ)
善子「…ならそうね、休日は?」
ルビィ「え?」 善子「土曜日と日曜日は習い事ないんでしょ? 学校もお休みだし、たくさん遊べるじゃない」
ルビィ「それは、そうだけど…」
善子「なら決まりね」
ルビィ「ま、待って善子ちゃん…まだ、いいって言われてないから」
善子「大丈夫よ、子供は遊ぶのが仕事なのよ? なら私たちにだって都合があったっていいと思わない?」
ルビィ「!」 善子「フフッ…ほら、やっぱりあんたもそう思ってるんじゃない」
ルビィ「善子ちゃん…」
善子「少しくらい我がまま言ってもバチは当たらないわよ、ね?」
ルビィ「……うん分かった、ルビィ言ってみる」
ルビィ「善は急げっていうもんね」ニコッ
善子「私はその対極に位置する堕天使なんだけどね、まあいいわ」
善子「それじゃあルビィ、そろそろみんなが来そうだからまた後でね」ガタン
ルビィ「うん、また…」 ルビィ「……」
ルビィ「善子ちゃん、ルビィのために…」
ルビィ「ありがとう…」
ルビィ「……きめた」
ルビィ「ルビィも頑張らなくっちゃ」
……
… ─黒澤家
ダイヤ「失礼します」ガラッ
黒澤母「あら、ダイヤさん」
ダイヤ「お母様、今日の習い事…二人とも終わりました」
黒澤母「そう、お疲れ様でした」
ダイヤ「いえ、いつものことですから……?」
黒澤母「どうかしましたか?」 ダイヤ「あの、それ…」
黒澤母「ああ…これはアルバムですよ」
ダイヤ「アルバム…お母様の?」
黒澤母「ええ、ダイヤさんも見ていきますか?」ニコッ
ダイヤ「はい……ぜひ」 ダイヤ「─これは?」
黒澤母「私とお父様が知り合った頃の写真ですわね」
黒澤母「こうしてみると、本当…ダイヤさんは昔の私によく似ています」
ダイヤ「……光栄です」
黒澤母「そんなに畏まらなくてもいいのに」
ダイヤ「……あの、でしたらルビィはお父様に似ているのでしょうか?」 黒澤母「そうですね、ルビィさんはどちらかと言うと父親譲りでしょう…髪の色もそうですが」
黒澤母「なんとなく放っておけない感じも、よく似ています」
黒澤母「ダイヤさんもルビィさんに対してはそうでしょう?」
ダイヤ「……はい」
黒澤母「どうしてでしょうね…最終的には許してしまうというか、どんなに厳しく律しても…根負けするのはこちらの方なんです」
ダイヤ「確かに…」
黒澤母「不公平ですわよね」クス ダイヤ「しかし、今の話を聞いていると…つまり赤髪の人というのは」
ダイヤ「女泣かせ、ということになるのでしょうか……?」
黒澤母「……フフッ! 成程、女泣かせですか! ダイヤさんなかなか上手いことを言いますね」
ダイヤ「お、お母様? ……そんなに可笑しかったでしょうか?」
黒澤母「ええ、だって実際その通りなんですもの」クスクス 黒澤母「貴方たちのお父様はね、まさにその様な感じの人でした」
黒澤母「あの人に惹かれた女性は数知れず…たとえそれが、叶うことのない夢物語であったとしても」
黒澤母「それでもなお…引き下がらずに彼を求めた方もいたくらいですから」
ダイヤ「そんなに……?」
黒澤母「ええ、本当に……罪な人です」 ダイヤ「あの、お母様……少し、ルビィが心配になってきましたわ」
黒澤母「そうですね、ルビィさんはあの人に似てますから」
黒澤母「何かを決意した際の行動力は特に」
ダイヤ「……?」
黒澤母「クスッ…いえね、先程ルビィさんからお話しがあったんですよ、友達と遊びたいから休日に家を出てもいいですかって」 ダイヤ「ルビィが!? ……だから機嫌が良かったのね」
黒澤母「はい、その時のルビィさんの目があの時の彼とあまりにも似ていたものですから」
黒澤母「ちょっと昔のことを思い出しまして」
ダイヤ「それで写真を……?」
黒澤母「ええ、少し懐かしくなったんですよ……色々と、ね」
……
… お疲れさま
少しずつ自分を出し始めたルビィちゃんに期待 黒澤家の厳しいところとかちょっと暗い部分を表現してるSS珍しいな
期待 ─数日後、日曜日
善子「……」
ルビィ「善子ちゃんっ!」タッ
善子「あらルビィ、早かったのね」
ルビィ「善子ちゃんのほうが先に着いてるけど」
善子「私はいいのよ、ほら、早く行きましょう?」
ルビィ「うん」 ルビィ「─ねえ善子ちゃん」スタスタ
善子「なに?」
ルビィ「どこに行くの? ルビィ、あんまりこういうところ行かないからよく分からなくて…」
善子「そうだろうと思ったわ、大丈夫よちゃんと考えてあるから」
ルビィ「……善子ちゃんってすごいね、何でも出来ちゃうんだ」
ルビィ(本当にお姉ちゃんみたい…)
善子「そうでもないわよ、今日の計画だって何回も考えなおしたし」 ルビィ「そうなの?」
善子「ええ、でもせっかくルビィと遊べるわけだしちゃんとしなきゃって……」
ルビィ「え?」
善子「…いや、なんでもないわ……それより見なさい、そろそろ着くわよ」
ルビィ「あっ、何か見えてきた」
善子「アイスクリーム屋よ、私あそこのチョコレートが大好きなの」
ルビィ「アイス……うん、ルビィも好き」 善子「そう、なら良かったわ」
ルビィ「えへへっ、ありがとう善子ちゃん」
善子「…お礼を言うのはまだ早いでしょ、ほら何食べたい?」
ルビィ「えーっとね、ルビィはいちごにする」
善子「イチゴか、いいチョイスしてるわね」
善子「すみません、チョコレートとストロベリー、一つずつください」 ルビィ「美味しいね」パクパク
善子「そうでしょう?」
ルビィ「ねぇ、善子ちゃんのアイスもちょっと貰っていい?」
善子「それならルビィのも一口貰えるかしら? 私イチゴも好きなのよね」
ルビィ「いいよ、はい」
善子「ん…やっぱりイチゴもいいわね、はいルビィ」
ルビィ「あむ……美味しい」 ルビィ「……ふふっ」
善子「なに? そんなに美味しかった?」
ルビィ「ううん、違うの…こういうこと友達としたことなかったから嬉しくて」
善子「そう……」
ルビィ「ねえ、次はどこに行くの?」
善子「買い物、見るだけでも結構楽しいわよ」
善子「行きましょ」スッ
ルビィ「うん!」ギュッ ─
ルビィ「あっ、この服かわいいなぁ…」
善子「さっきから見ていて思ったけど、ルビィって洋服が好きなのね」
ルビィ「うん、自分で作ってみたりもするんだぁ」
善子「自分で!? ……凄いこと出来るのね」
ルビィ「お裁縫とかは得意だから……あとね」
善子「?」
ルビィ「ルビィ…アイドルとかが好きだから」 善子「アイドル…あーなんとなく分かるかも、あんた可愛いし」
ルビィ「えっ」
善子「あっ、いや違っ…可愛いのが好きみたいだしって言おうとしたのよ」
ルビィ「そっか、そうだよね」
善子(なに必死になって弁解してるのかしら、私……) ルビィ「それでね、いつかスクールアイドルの衣装を作ってみたいなぁって思ってるの」
善子「スクールアイドル? なにそれ」
ルビィ「学校でアイドル活動をしている人達のこと、まだ出来たばかりであんまり有名じゃないんだけど」
ルビィ「でも凄いんだよ、自分たちで曲を作って、歌詞を書いて、衣装を作って、歌って、踊るの」
善子「……事務所とかに入ってるわけでもないのに、そんなこと出来るの?」
ルビィ「だから凄いんだよ、ルビィはね…いつかそんなスクールアイドルになってみたいの」
ルビィ「ルビィのお家はそういうのに厳しいから、無理かもしれないけど…」
善子「ふーん……」 お疲れさま
スクールアイドル自体の知名度はまだそんなに高くないのか 善子「なりたいならなればいいのに」
ルビィ「そんなに簡単じゃないよ…」
善子「それでも好きだからまだ諦めきれてないんでしょ? ルビィの家の事情はあまりよく分からないけど」
善子「だからって何もしないままだったら、アイドルになんてなれるわけないわ」
ルビィ「!」
善子「あっ、ゴメン……言い過ぎた」
ルビィ「ううん、善子ちゃんの言う通りだから」 ルビィ「ルビィもうちょっと考えてみるね、ありがとう善子ちゃん」
善子「……ううん」
善子「次、行きましょうか」
ルビィ「次はどこに行くの?」
善子「……公園」 ─
ルビィ「ここならルビィも何回か来たことあるよ」
善子「そう」
ルビィ「うん、よくお姉ちゃんと一緒に遊んだの」
善子「へえー、ルビィってお姉さんがいるのね……どんな人なの?」
ルビィ「あのね、ルビィと違って綺麗でカッコよくて、何でも出来て……ルビィの憧れなんだぁ」
ルビィ「今の善子ちゃんにちょっと似てるかも」
善子「私に? 私はそこまで凄い人間じゃないけど」 ルビィ「そんなことないよ、ルビィね今日善子ちゃんと遊んでみて思ったの」
ルビィ「当たり前だけどやっぱり善子ちゃんはお姉ちゃんとは違ってて、でも」
ルビィ「善子ちゃんといるとルビィはすごく楽しいの、どこにいても、何をしていても」
ルビィ「だから善子ちゃんは凄いよ、まるで─」
ルビィ「魔法使いさんみたい」ニコッ
善子「っ!?」ドクンッ ルビィ「……あれ? どうしたの善子ちゃん」
善子「え、いやその……」
善子「……あのさルビィ…」
ルビィー! ルビィー!
善子「!?」
ルビィ「あ、お姉ちゃんだ」 ダイヤ「ルビィ…こんなところにいたのですか、探したわよ」
ダイヤ「そろそろ門限の時間になりますわ、早く帰りましょう」
ルビィ「えっ、もうそんな時間なんだ」
善子「嘘、ちょっと早くない? まだ夕方でしょ?」
ダイヤ「遅くまで子供を出歩かせるわけにはいかない、家の指針です」
善子「……やっぱり厳しいのね」 ダイヤ「ところで貴女は?」
ルビィ「善子ちゃんだよ、堕天使さんの」
ダイヤ「ああ貴女が……初めまして、黒澤ダイヤと申します。いつもルビィがお世話になっております」ペコリ
善子「…どうも」
ダイヤ「…………?」ジーッ
善子「…あの、なにか?」 ダイヤ「……善子さん、つかぬ事をお聞きしますが…」
善子「え?」
ダイヤ「貴女、以前どこかで私とお会いしたことがありましたか?」
善子「? いや…多分今日初めて会ったと思うんだけど…」
ダイヤ「そうですか……その顔に見覚えがあったような気がしたのですが」
ダイヤ「きっと私の勘違いでしょうね」 ダイヤ「それでは失礼いたします、ルビィ行きましょう」
ルビィ「また明日ね、善子ちゃん」フリフリ
善子「……うん」テヲフリ
善子「……なんか、あっという間…」
善子「…私も帰ろ……」 ─
ルビィ「〜♪ 〜〜♪」
ダイヤ「ずいぶんご機嫌ね」
ルビィ「楽しかったから」
ダイヤ「そう、良かったわね」
ルビィ「来週も遊べるかなぁ」
ダイヤ「きちんとやることをやっていれば大丈夫ですわよ、私も掛け合ってみるから」
ルビィ「ありがとう、お姉ちゃん」 ルビィ「ねえお姉ちゃん」
ダイヤ「なに?」
ルビィ「善子ちゃん綺麗だったでしょ?」
ダイヤ「え? まあ確かにとても整った顔立ちをされていましたが」
ダイヤ「ただ……どこかで、見たことがあるような…」
ルビィ「やっぱり知り合いなの?」 ダイヤ「……どうかしら、私にもよく分からないわ」
ルビィ「お姉ちゃんが分からないなんて、珍しいね」
ダイヤ「……そうですわね」
ダイヤ(まあ気にしていても仕方ないでしょう、それほど大したことではなさそうですし…何より)
ダイヤ(今のルビィが楽しく毎日を送っているのは、彼女のおかげなのだから) お、なんか重要な伏線が張られた予感
> ダイヤさんと会った事がある ─それから数ヶ月が経ち…
─津島家
善子「おはようママ」フワァー
善子母「おはよう、学校今日で最後だったわよね? お昼ご飯作ってあるからね」
善子「ありがと……そうだ、ねえママ」
善子母「ん?」
善子「今日さ、家に友達呼ぶから」 善子母「あら、そうなの?」
善子「ええ、ちょっとの間だけだけど」
善子母「そう、ルビィちゃん?」
善子「……まあ」
善子母「分かるわよ、最近の善子の話はそればっかりだもの」フフッ 善子「そんなこと…」
善子母「部屋、キレイにしておかないと嫌われちゃうかもよ?」
善子「〜〜っ! もううるさい! いってきます!」ガチャ バタン!
善子母「クスッ、そこまで照れなくてもいいのに」
善子母「……」
善子母「ねえ善子、友達…なのよね?」
善子母「それ以上、なんてないわよね? そうよ…だって貴女は私とは違う」
善子母「善い子…なんだから」 ─学校
先生「─はい、それでは明日から夏休みに入るわけですが」
先生「あまり羽目を外しすぎないように」
先生「心ゆくまで遊ぶのは大いに結構ですが、夏休みの宿題もしっかり取り組むこと、いいですね?」
ハーイ!
先生「いい返事ですねえ、これなら先生も安心できそうです……あーそうそう、まさかないとは思いますが」
先生「もし…忘れた方は特上の肝試しを味わうことになりますからそのつもりで」ニコッ
善子(怖っ)
先生「さて…以上で先生の話は終わりです、皆さんよい夏休みを」
……
… ─
善子「宿題ねえ…教科のやつとかは簡単なんだけど、自由研究がどうも苦手なのよね」スタスタ
ルビィ「そうなの?」テクテク
善子「見つけにくいのよ、そういうの」
ルビィ「へえ〜、ルビィはスクールアイドルのことについて研究しようと思うんだぁ」
善子「なるほど、自分の好きなものなら捗りそうね」
善子「……黒魔術って、アリかしら」
ルビィ「うーん、ナシだと思う」
善子「やっぱりそうよね……はぁーっ…」 善子「ま、それは後で考えればいいか」
ルビィ「いいのかなぁ」
善子「少なくとも今はこれから遊ぶんだから、そんなに頭固くしなくていいのよ」
ルビィ「ん、それもそうだね」
善子「ええ、そうと決まれば早く行くわよ! あんた今日も習い事あるんだからグズグズしてると勿体ないわ!」ダッ
ルビィ「わっ! 待ってよ善子ちゃん、急に走らないでよー!」タッタッタ
……
… ─善子の家
ルビィ「お、お邪魔します…」ガチャ
善子「誰もいないけどね」
ルビィ「お父さんとお母さんは?」
善子「仕事、うちは基本的に帰ってくるの遅いの」
ルビィ「そうなんだ…」
善子「さ、早く私の部屋に行きましょ」 ─善子の部屋
ルビィ「善子ちゃん、このゲーム面白いね」カチカチ
善子「そうね、初心者向けのやつだから」
ルビィ「他にもたくさんあるよね…すごいなぁ」
善子「色んな種類のゲームがあるから好きなのやっていいわよ」 ルビィ「うーんどれにしよう……あっ! ねえ善子ちゃんあれ!」
善子「え? ……あれなの?」
ルビィ「うん!」
善子「……いやいや、あれはゲームじゃなくて…」
善子(私が儀式に使ってる道具の一式なんだけど…) ルビィ「あれって堕天使さんのやつでしょ! ルビィ、やってみたい!」
善子「やってみたいって……なんでよ?」
ルビィ「善子ちゃんのリトルデーモンだから!」
善子「! ……しょうがないわね、特別よ?」
ルビィ「うん、ありがとう善子ちゃん!」ニコッ
善子「っ……」
善子(ねえルビィ…どうしてそこまで私が言ったことを信じてくれるの?)
善子(やめてよ、そんな顔で言われたら……もう私は…貴女のこと……)
善子(本当に友達として見れなくなる) 善子「……」
ルビィ「えーっと…ここは、こうして…」
善子「……ねえ、ルビィ」
ルビィ「…ん? なに、善子ちゃん?」クルッ
善子「夏祭り、あるじゃない? ……あれにさ」
善子「あんたと二人で行きたいから……時間、取ってもらえないかしら」
ルビィ「うんわかった、お母さんに話してみるね」
ルビィ「えへへっ、善子ちゃんと一緒に夏祭りかぁ…」
ルビィ「楽しみだね!」
善子「……そうね」 ─
ルビィ「じゃあ時間だから、ルビィそろそろ帰るね」
善子「ええ、習い事頑張って」
ルビィ「ありがとう善子ちゃん! またね!」ガチャ
バタン
善子「……そんなに嬉しそうにしないでよ」
善子「本当…どうしよう、夏祭り」
善子「……」
善子(ちゃんと決めておかなくちゃ…何をするのか、私が……何をしたいのか) ガチャ
善子「!?」ビクッ
善子母「ただいまー」
善子「あっ、ママか……おかえり、今日は早いんだ」
善子母「私のところも終業式だったからね」
善子「そっか、そうよね」 善子母「何かあったの?」
善子「ん、別に? 夏祭りに二人で行こうって約束しただけよ、いいでしょ?」
善子母「それは構わないけど……」
善子母「……ねえ善子」
善子「なに?」
善子母「今、好きな人っているの?」
善子「…どうしたの、急にそんなこと」 善子母「母親としては気になるじゃない? ほら、善子も年頃の女の子なんだから」
善子「……いるわけないでしょ、私は堕天使ヨハネ、私のリトルデーモンみんなのものなのよ」
善子「誰か一人に特別心を動かされるなんて、あるわけない」
善子母「それを……肯定してくれる人がいても?」
善子「……もちろん」 善子母「そう…ごめんね急にこんなこと聞いて」
善子「ううん、気にしてないから……部屋戻ってるね」スタスタ
善子母「ええ」
善子母「……善子」
善子母「……その言葉、信じさせてね」 バタンッ
善子「……」
善子「…………」
善子「…………ごめんなさい、ママ」
善子「嘘ついて、ごめん」 はっきりとは言わんけどダイヤと母親の会話に出てきたアレじゃない ─そして日は過ぎ……夏祭り当日
ルビィ「お待たせ、善子ちゃん」
善子「こんばんはルビィ……浴衣、似合ってるわね」
ルビィ「えへへっ、ありがとう善子ちゃん」
ルビィ「善子ちゃんもすごい綺麗だよ……あっ、それ」
善子「なに?」
ルビィ「その髪飾り、ルビィがあげたやつだよね? …付けてくれたんだ」 善子「ま、あんたが私の誕生日にくれたものだからね」
善子「だから…今日付けたいと思ったのよ」
ルビィ「え?」
善子「さあ、行きましょう」ギュッ
ルビィ「わっとと……うん、行こっか」ニコッ ─
ワイワイガヤガヤ
善子母「いい雰囲気ね、昔から変わってない」
善子母「……いや、変わっていないのは…」
「あら、そこの方…どうかされましたか?」
善子母「! その声…」クルッ
黒澤母「おや……懐かしい顔ですね」
善子母「……お久しぶりです」ペコリ 黒澤母「そうですね、こうして顔を合わせるのはもう何年ぶりか…」
善子母「はい…」
黒澤母「…まあ積もる話は置いておきましょう、ここへは何をしに?」
黒澤母「単にお祭りを楽しみに来ただけですか? それとも別のご用件でも?」
善子母「……娘の同伴です、夜も遅いですし心配なので、あの子の用が済むまでここで待っているんです」
黒澤母「そうでしたか、確かに夜道は危険ですからね」
善子母「……そちらは?」 黒澤母「似たようなものですよ、それと各屋台の売り上げの確認を少々」
善子母「……お変わりないようで安心しました」
黒澤母「ええ、私も……ところで」
オカアサマー オカアサマー
善子母「!」
黒澤母「あらあら」
ダイヤ「あっ、見つけましたわ」タッ 黒澤母「ダイヤさん、どうかなさいました?」
ダイヤ「金魚すくいがあまり上手くいかないんです……教えて貰えないでしょうか?」
黒澤母「ええ、いいですよ」フフッ
ダイヤ「…あの、そちらの方は?」
黒澤母「え? ああ、昔ながらの知り合いですよ」
善子母「こんばんは」ニコッ
ダイヤ「あっ…初めまして、私は黒澤ダイヤと申します」ペコリ 善子母「ええ、知ってるわよ…大きくなったわね、ダイヤちゃん」
ダイヤ「え?」
黒澤母「…それでは私はこれで、ダイヤさん行きましょうか」
ダイヤ「あっ、はい…」スタスタ
ダイヤ「……」チラッ
善子母「……」 ダイヤ「……あの、お母様」
黒澤母「はい」
ダイヤ「さっきの方のことですけど…」
黒澤母「……」
ダイヤ「思い出しました…以前、お母様のアルバムを見せていただいたときに」
ダイヤ「あの方の姿がよく写っていたことを」
黒澤母「よく覚えていましたわね、流石ダイヤさんです」
ダイヤ「いえ…通りで、見覚えがあると思いました……」
ダイヤ(だからあの時……) ダイヤ「…………あの」
黒澤母「今はお祭りを楽しみなさい」
ダイヤ「!」
黒澤母「そちらの方がよろしいですよ、今のダイヤさんにこの話は必要ありません…後でいくらでも聞けますからね」
ダイヤ「…わかりました」
黒澤母「では気を取り直して行きましょうか、確かこちらでしたよね?」
ダイヤ「いえ、その……逆です、お母様」
黒澤母「え?」ポカン お疲れさま
ママさんたちの情事が何なのか楽しみにしております ─
ルビィ「善子ちゃん、たくさん食べたね……」
善子「そうね…安くなってるからと言っても食べ過ぎは良くなかったわ」
ルビィ「うん、ルビィちょっと苦しいや…」
善子「でもさ、ルビィの家って凄いのね…黒澤家がここの屋台の提供とかしてくれてるから」
善子「娘のあんたに特別割り引いてくれるなんて」
ルビィ「毎年そうなの、でもタダにはしてもらえなくて…ちゃんと支払いなさいってお母さんが」
善子「まあ幼いうちから無償で与えるっていうのもどうかと思うし…」 善子「……なんていうかさ」
ルビィ「え?」
善子「買い物にしてもそうだけど…貴女の親って凄くしっかりしてるのよね、バランスが取れてるっていうの?」
善子「甘やかしているわけではないけど、縛り付けてもいない…みたいな」
ルビィ「うーん、よく分からないけど……」
善子「…とにかくルビィの家はとんでもないってこと、あんたから見たら普通かもしれないけどね」
ルビィ「ふーん…」 善子「…そして普通じゃないのは多分……私も」
ルビィ「善子ちゃん?」
善子「…聞いて」ギュッ
ルビィ「う、うん…」
善子「ねえルビィ、あんたはさ……」
善子「もし、私が女の子のことが好きって……」
善子「─ルビィのことが好きだって言ったら……笑う?」 ルビィ「……え?」
善子「……」
ルビィ「笑わないよ? だってルビィも善子ちゃんのことが「違うの」
善子「そうじゃないのよ、私が言いたいのは」
ルビィ「……善子ちゃん?」
善子「私はルビィと、友達じゃなくて……」
善子「恋人に、なりたいの」
ルビィ「!?」 ルビィ「え……恋…人……?」
善子「普通じゃないのは分かってる、女の子のこと、そういう目で見るなんて可笑しいから」
善子「でも、他の子と話しても…学校で人気の男子を見ても」
善子「全然そんな気持ちにならなくて……ルビィだけで…!」
ルビィ「……」
善子「ルビィはこんなこと言われて嫌かもしれない! 困ってるかもしれない! でもっ…!」
善子「やっぱり私は自分の気持ちに嘘を吐きたくないの……!」ポロポロ ルビィ「善子ちゃん…泣かないで」ダキッ
善子「うぅっ…ごめ……私……」
ルビィ「辛かったんだね…ごめんね、ルビィのせいで」サスサス
善子「ちがうの……ちがう…私が、すきだから」
ルビィ「ありがとう善子ちゃん」
ルビィ「ルビィは……いいよ」
善子「ぐすっ……え…?」
ルビィ「ねぇ…ルビィ言ったよね、ルビィも善子ちゃんのことが好きだって」
ルビィ「だから、恋人になろうよ…善子ちゃん」 善子「でも……」
ルビィ「大丈夫だよ、これからのことはまた後で考えようよ」
ルビィ「今は善子ちゃんの気持ちの方が大事だもん」
善子「ルビィ……ありがとう」
ルビィ「ううん、元気になってよかった」ニコッ
善子「……ねえルビィ」 ルビィ「なに?」
善子「キス、していい?」
ルビィ「……いいよ」
善子「……ありがとう」
ルビィ「じゃあ、目…閉じるね」
善子「うん…………大好きよ、ルビィ」スッ
善子(ああ…これでもう──)
戻れない。 ─
善子母「……」
スタスタ
善子「お待たせ、ママ」
善子母「善子…終わったのね、楽しかった?」
善子「うん、凄く楽しかったわ……ね? ルビィ」
善子母「えっ」
ルビィ「は、初めまして…黒澤ルビィです」ヒョコッ
善子母「─!?」 ルビィ「…? あ、あの……」
善子母「……直接会うのは今日が初めてね、こんばんはルビィちゃん、貴女のことは善子からよく聞いているわ」
善子母「善子のこと、いつもありがとうね」
ルビィ「そんなこと、ないです…ルビィのほうが助けられてますから」
善子母「そう……やっぱりそうなのね」
善子「……ママ?」
善子母「ううん何でもないのよ、それよりルビィちゃん帰り道わかる? 送ってあげましょうか?」
ルビィ「あの、大丈夫です…道のりは分かるから」 善子母「そう、気をつけてね」
ルビィ「はい、ありがとうございます」ペコリ
ルビィ「善子ちゃん、またね」
善子「ええ……また」 善子「……」
善子母「まだ一緒にいたかった?」
善子「それはまあ、友達だし……でももういいのよ」
善子「一緒にいたいならまた会いに行けばいいんだから」
善子母「……そうね」
善子母「……私も、そうだったわ」 善子「…? なにが?」
善子母「昔の私たちのはなし、俗に言う青春の一ページってやつよ」
善子「…私とルビィはそんな関係じゃないわ」
善子母「ええ、そうね……そうであってほしいもの」
善子「…なんか、今日のママちょっと変よ?」
善子母「ごめんなさい、少し…色々あって」 善子「大丈夫?」
善子母「大丈夫よ、さあ私たちもそろそろ帰りましょう」
善子「うん」スタスタ
善子母「……」
善子母「……血ってこんなにもはっきり…別れるものなのね」ボソッ
善子母「本当に、そっくりよ……ルビィちゃん」スタスタ お疲れさま
善子ちゃん、ルビィちゃんそれぞれの選択は正しかったのか…? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています