ルビィ「夏休みって何だろうね?」 [無断転載禁止]©2ch.net
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善子「え?」
ルビィ「…ってちょっと思ったんだぁ」
善子「何だろうってそりゃ、夏にもらえる長いお休みでしょ」
ルビィ「うん、そうだね…じゃあ」クルッ
善子「?」
ルビィ「夏休みは善子ちゃんにとって何をする時間だと思う?」 善子「…?」
ルビィ「……」
善子「何って……練習、とか?」
ルビィ「あははっ、善子ちゃんってやっぱり真面目だよね」
善子「…じゃあそういうルビィはどうなのよ」ムッ
ルビィ「ルビィ? ルビィはね……内緒」
善子「んなっ…何よそれ! 人に聞いておいて自分は言わないの!?」 ルビィ「ごめんね善子ちゃん、いつか教えるから」
善子「はぁ……ルビィ、あんたって結構そういうところあるわよね」
ルビィ「えへへ、そうかも…」
善子「それで、いつかって……いつよ?」
ルビィ「それはね……」
ルビィ「夏休みが終わるまでだよ」クスッ
……
… ─
果南「はい、今日の練習はこれでおしまい!みんなお疲れ様!」
千歌・梨子「や、やっと終わったぁ〜……」クタッ
曜「今日は中々ハードだったもんね、二人とも大丈夫?」
花丸「マル、もう動けないずら……」バタン
ダイヤ「なん…ですか、みな…さん……ぜえっ……此れしきで……はあっ…だら、しない……ですわよ…」
果南・鞠莉「ダイヤが一番しんどそうに見えるんだけど……」 ワイワイガヤガヤ
善子「…ふう、なんだかんだ言いながらも意外とみんな元気よね…」
ルビィ「善子ちゃんもそう見えるけど?」ハイオミズ
善子「冗談でしょ、この有り様を見てもそう言えるの?」アリガト
ルビィ「うん」
善子「……変なの」
ルビィ「ねえ善子ちゃん隣、いい?」
善子「勝手にすれば?」
ルビィ「じゃあそうさせてもらうね」ストン ルビィ「ねえ善子ちゃん」
善子「なに?」
ルビィ「今日もいい天気だねぇ」
善子「そうね、暑いのは勘弁願いたいけど」
ルビィ「そうかなぁ、お日さまが強いと海がキラキラして見えるから、ルビィは今日みたいな日結構好きだよ?」
善子「ふーん…私はどっちかといえば控えめなくらいが丁度いいけどね、眩しすぎるのは嫌だもの」
ルビィ「へえー、それって堕天使だから?」
善子「一応本心なんだけど」 ルビィ「本心、かぁ…善子ちゃんって打ち上げ花火より線香花火のほうが好きなタイプでしょ」
善子「…当たってるけど、流石にそれは比較としてはちょっと極端じゃない?」
ルビィ「えっ、そうかな」
善子「例えるならそうね、満開より七分咲きのほうがいい…みたいな……いや、少し違うかしら」
善子「……うーん、思いつかないものね」
ルビィ「でもなんとなく分かるよ、善子ちゃんの言いたいこと」 善子「そう?」
ルビィ「うん」
善子「ならいいけど」
ルビィ「それで何の話しをしていたんだっけ?」
善子「暑いのは嫌って話でしょ?」
ルビィ「あ、そうだったね…でも夏だからしょうがないんじゃないかなぁ」
善子「夏……か、そうね…」 ルビィ「……」
ルビィ「善子ちゃん、今善子ちゃんが何を考えているか当ててあげようか?」
善子「遠慮しておくわ、ねえルビィ、まさか忘れたわけじゃないでしょうね」
ルビィ「なにが?」
善子「その役目は私のほうにあるってこと」
ルビィ「クスッ、そうだったね」
善子「そうよ、ルビィ…あんたとの勝負はもう始まっているんだから」
──
─ ─
善子「─夏休みが終わるまで、ねえ……また随分と気の長い話ね」
ルビィ「そうかなぁ?」
善子「…だってそもそもまだ夏休みに入ってないし、それに入ったところで─」
善子「そんなに待たされたら、もう答えなんて結構どうでもよくなると思うんだけど」 ルビィ「確かにそうかも……うーん、どうしよう…」
ルビィ「……」
ルビィ「…………あっ」
善子「?」
ルビィ「ねえ善子ちゃん、それならさ……ルビィと勝負しない?」 善子「勝負?」
ルビィ「うん、善子ちゃんがルビィの考えを当てることが出来たらルビィの負け」
ルビィ「でも夏休みの終わりまでに当てられなかったらルビィの勝ち」
善子「意外と長期戦ね……」
ルビィ「でね、もしルビィが勝ったら…」
善子「勝ったら?」 ルビィ「善子ちゃんには一つだけ、ルビィのお願いをなんでも聞いてもらいます」
善子「ふーん、じゃあ私が勝ったら?」
ルビィ「そうだね…ルビィのこと、好きにしていいよ」
善子「はあ!?なんでそうなるのよ!」
ルビィ「だめ?」
善子「駄目っていうか、あまり対等じゃない気がするんだけど」 ルビィ「そうかな?ルビィは同じくらいだと思うよ」
善子「よく分からないけど…そこまで言うからには何か考えがあるんでしょうね」
ルビィ「…」
善子「いいわよルビィ、その勝負受けて立つわ」
善子「答えを待つよりかは暴きだしたほうが幾分かマシだしね」
ルビィ「そっか…うん、分かった」 ルビィ「じゃあ勝負の始まりは夏休み初日、お日さまが空に上がってからね」
善子「ええ、いいわよ」
ルビィ「えへへっ、なんだか楽しくなってきちゃった」
善子「笑ってられるのも今のうちよルビィ、この勝負絶対に私が勝つんだからね」
ルビィ「フフッ…そっか、ならそっちを楽しみに待ってようかな?」
善子「え?」
ルビィ「ううん、なんでもない…善子ちゃん、ルビィも負けないからね!」
──
─ 善子「─で、今が丁度そのとき…まさかここまでハッキリと浮かんでくるとは思わなかったけど」
ルビィ「今日は天気がいいからねぇ、分かりやすくてよかったよ」
善子「……だから私のところに来たのね」
ルビィ「半分正解かな」
善子「もう半分は?」
ルビィ「ただ一緒にいたかっただけだよ」 善子「……」
ルビィ「それじゃあまたね」
善子「…待ちなさいよ」
ルビィ「ん?」クルッ
善子「ねえルビィ、あんた一体何がしたいの?」
ルビィ「え? それを当てるのが勝負だよね?」
善子「そうだけど……」 ルビィ「だからルビィの口からは言えないよ」
善子「…」
ルビィ「フフッ…じゃあ先に行くね?」タッ
アッルビィチャン! ハナマルチャン!オミズモッテキタヨ! ルビィ…ワタクシニモ……
善子「……」
善子「…本当に長期戦になりそうね」ハァーッ
─ 夏休み、開始 ─ 曜「─なになに、夏の醍醐味? それはもちろん海だよ! この時期は人がたくさん来るからね!」
千歌「ええー!? 曜ちゃん、それならお祭りでしょ! あっちのほうが人が多いもん!」
梨子「二人とも人の多さが基準なのね……私は、花火かな」
善子「海にお祭りに花火……どれも定番ね」
曜「でも善子ちゃん、なんで急にそんなこと聞いてきたの?」 善子「ええまあ、何かの参考になるかと思ってね」
千歌「参考って?」
善子「今ね、勝負してるのよ私」
曜「おおーいいね! 夏の勝負! 青春って感じがしますなー!」
善子「そうかしら…多分、曜さんが思ってるほどスッキリしたものじゃないと思うわよ」
善子「いつ終わるか全く予想がつかないもの」
三人「???」 善子「…まあいいわ、話してくれてありがとう邪魔したわね」タッ
梨子「あっ……行っちゃった」
曜「うーん、結局何だったんだろう?」
千歌「さあ? よく分かんなかったけど……でも」
千歌「なんか楽しそうな顔してたね善子ちゃん」ニコ
梨子「そうね」クスッ
……
… 果南「─夏といえば? それはもちろん海だよ」
善子(曜さんと同じこと言ってる……)
ダイヤ「果南さん…貴女は年がら年中海でしょうに……」
果南「いやいや、普通に考えても夏は海でしょ」
ダイヤ「いいえ、夏は縁側で涼みながら、風鈴の音色に耳を傾けるんです……日本ならではの風流ですわ」シミジミ
鞠莉「えー、ダイヤったらババ臭いわね」
ダイヤ「何ですって!?」 鞠莉「夏は開放的になれるんだから、もっと大胆にいかないと勿体ないじゃない! ねえ?」
果南「そうだよ、だから夏はたくさん人が来るんじゃん」
ダイヤ「私はそんな煽り文句に流されるつもりはありません」
果南「海だけに?」
鞠莉「堅物だからでしょ」
ダイヤ「二人ともそこに直りなさいっ!」 ギャーギャーワーワー
善子「いやちょっと……三人とも?」オーイ
善子「私の話は……って、もう聞こえてないわね…」
善子「はぁ……次行きましょ」
……
… 花丸「─夏かあ…マルは木漏れ日の下でゆっくりと本を読んでみたいかな」
ルビィ「アイス」
善子「……あんたたちは本当、平常運転ね」
花丸・ルビィ「……?」
善子「なんでもないわ」 善子(一応全員分聞いてみたけど、まさかルビィまで答えてくれるなんてね…)
善子(まあ確実に本来の答えとは違うんでしょうけど)
ルビィ「……」
ルビィ「だけど夏休みって結構長いから、他にも色々やりたくなるよね」
善子「!」
花丸「うん、確かにそうかもしれないね、一つだけじゃ足りないずら」
善子「…ふーん色々、ね」
善子(それって答えが複数あるってことかしら?) 善子(いやでも、流石にそこまで難しくはしないでしょうし……)
花丸「善子ちゃん? どうかしたの、難しい顔してるけど」
善子「……別に?」
花丸「ふーん、マルの気のせいかな?」
花丸「まあいいや、二人ともマルはちょっと出かけてくるずら」ガチャ
ルビィ「いってらっしゃーい」フリフリ バタン
善子「……はぁーっ…」
ルビィ「だいぶお悩みだね?」ヒョコッ
善子「誰のせいだと思ってるのよ」
ルビィ「うーん、ルビィかなぁ」
善子「…まあ自分で勝負を受けたっていうのもあるし、やっぱりお互い様かしら」
ルビィ「優しいね、善子ちゃんは」
善子「……うるさい」 ルビィ「ねえ、それで答えは見つかった?」
善子「……全然、むしろ余計分からなくなったわね」
ルビィ「そっかぁ」
善子「でもまだ時間はあるわ、この一週間は合宿で忙しくて考える暇なんてなかったけど」
善子「それが終われば、すぐにでも当てて見せるわよ」
ルビィ「わぁ善子ちゃんすごいね」 ルビィ「あっ、そうだ…ところで善子ちゃん」
善子「なによ」
ルビィ「合宿での練習は明日で終わっちゃうけど、その後善子ちゃんはどうするつもり?」
善子「どうする……って何がよ?」
ルビィ「ルビィとの勝負以外で何かやることとか、ないの?」 善子「それは……特にないけど……」
ルビィ「へぇ〜」
善子「なっ、何よ!別になにも無くたっていいじゃない!」
ルビィ「うん、そうだねそっちのほうがいいよ」
ルビィ「えへへっ…いいこと聞いちゃった」
善子「えっ…ちょっとルビィ、それどういう──「ただいまずらー」
ルビィ「あっ、おかえり花丸ちゃん」ニコッ
善子「なんて間の悪さ……」 脳とは「記憶そのもの」だった──「記憶のメカニズム」の詳細が明らかに
http://photos.supermailer.jp/brain/ ルビィ「どこに行ってたの?」
花丸「三年生の部屋、明日はユニットの練習もあるから果南さんとダイヤさんに相談しに行ってたんだ」
ルビィ「あー成程」
花丸「二人はどんなお話ししてたの? 善子ちゃんなんだかガックリしてるけど…」
ルビィ「えーっとね…これからのお話しかなぁ」
花丸「? よく分からないけど、まあいいや」
善子「ずら丸…あんた、凄くどうでもよさげね」
花丸「ごめんね、ちょっと眠くて……」 ルビィ「もうだいぶ暗いもんね、しょうがないよ」
花丸「マル、先に寝かせてもらうずら……」フワァー
ルビィ「うん、おやすみ花丸ちゃん」
─
ルビィ「……さてと、ルビィもそろそろ寝ようかな」
善子「ちょっと待ちなさい、その前に何か言うことがあるんじゃないの?」
ルビィ「…そのうち分かるから大丈夫だよ、それじゃあおやすみなさい…」トテトテ 善子「そのうちって……あのねえ、なんでも先送りにしたらいいわけじゃないのよ?」
善子「ちょっとルビィ聞いてるの?……ってもう寝てるし」
ルビィ「……」スゥースゥー
善子「何なのよ、意味ありげな言い方ばかりして…そんなこと言われるとね、こっちは気になってしょうがないのよ、分かる?」
ルビィ「……」スヤ
善子「…はぁーっ……私も寝よ」
……
… 夏休み中ルビィちゃんのことしか考えられなくなる善子ちゃんいいぞ ─それから数日後…
─善子の部屋
善子「あぁ〜、クーラーの効いた部屋でゲームするのは最高ねぇ〜」カチャカチャ
善子「学校も何もないからずっとやっていられるし、いやーホント夏休みって素晴らしいわ」
善子「まあ課題とかはあるけど、そんなの後回しで……」
ヨシコー ヨシコー!
善子「あれ? ママの声だわ……はーい!」ガチャ 善子「何? どうかしたの?」スタスタ
善子母「可愛らしいお友達が来てるわよ、あなたに会いたかったんですって」フフッ
善子「友達って…………!?」
善子母「ほら、この子」
ルビィ「こんにちは善子ちゃん、来ちゃった」ニコ
善子「る、ルビィ……?」 ─
善子「…で? 私に会いに来た理由は?」
ルビィ「善子ちゃんと一緒に遊びたいなぁって思って」
善子「…それだけ?」
ルビィ「うん、ゲームやってたんだよね? ルビィもやりたいなぁ」
善子「…まあいいけど、私は手加減しないわよ」
ルビィ「えへへっ、やった!」
善子(どういうつもりなのかしら…) ……
善子「─はいまた私の勝ちね」
ルビィ「あーあまた負けちゃった…やっぱり善子ちゃん強いね」
善子「当然でしょ、で? もうひと勝負する?」
ルビィ「ううん今日はもういいかな、そろそろ帰る時間だし」
善子「そう」
善子「…………いやちょっと待って…“今日”は?」 ルビィ「バイバイ善子ちゃん、また明日ね」ガチャ
アラモウカエルノ? ハイ オジャマシマシタ
善子「……」
善子「…また明日、って言ってたわねあの子」
善子「はあ…予定がない方がいいってそういうことだったの」
善子「だとしたら……もしかしてルビィ、これから毎日来るつもりなのかしら?」
善子「……」
善子「いやいや、まさか…考えすぎよね」 ─翌日
ルビィ「こんにちは善子ちゃん、今日は海に行かない?」
─さらに翌日
ルビィ「善子ちゃーん、アイス食べに行こうよ」
─またさらに翌日
ルビィ「善子ちゃん、ルビィ水族館に行きたい」
─そのさらにまた翌日
ルビィ「善子ちゃん、善子ちゃん、そろそろ課題やらなきゃダメだよ? 一緒にやろう?」
─それからそれから…… ─
善子母「善子ー、ルビィちゃん来てるわよ」
善子「はいはい」ガチャ
─
ルビィ「お待たせ善子ちゃん!」オジャマシマス
善子「誰も呼んでないんだけど」スタスタ
善子母「こら善子、ごめんなさいね」
ルビィ「いえ、いいんです」
善子「……まあ、折角来たんだから上がっていけば?」
ルビィ「うん、そうする」 ─善子の部屋
善子「……十日」サラサラ
ルビィ「え?」カキカキ
善子「あんたが家に来るようになってからこれで十日目」ペラッ
善子「ルビィが毎日来るもんだから、ママもそれが当たり前みたいな感覚になってるし…積み重ねって怖いものね」サラサラ
ルビィ「ルビィは嬉しいけど」トントン
善子「……そりゃ嫌だったら足繁く通ったりなんかしないんだろうけど」コトッ ルビィ「課題、だいぶ終わったね」
善子「そうね」
ルビィ「……嫌だった?」
善子「何が」
ルビィ「呼んでもないのに、いつも来るから」
善子「……本当に嫌になったらすぐ追い払うから安心しなさい」
ルビィ「じゃあまた来ていいんだね」
善子「好きにすれば? ……というか、もう結構好き勝手されてるけど」
ルビィ「よかった、それが聞けて」 |c||^.- ^|| 毎日どこに出掛けているのかと思えば ルビィ「そういえば善子ちゃん」
善子「ん?」
ルビィ「そろそろお祭りの日が来るよね」
善子「ああ、確かちょっと前にみんなで行こうって話してたわね」
善子「それがどうかしたの?」
ルビィ「うん、今のうちに予約とっておこうかなって」 善子「予約って何の?」
ルビィ「善子ちゃんの」
善子「…意味がわからないんだけど」
ルビィ「じゃあ、もっとわかりやすく言うね」
ルビィ「善子ちゃん、ルビィと一緒にお祭りに行きませんか?」 善子「……それって私と屋台とか見て回りたいってこと?」
ルビィ「うん」
善子「他のみんなはどうするのよ」
ルビィ「もちろん大体の時間は皆と一緒にいるつもりだよ、だからね…少しの間だけでいいの」
善子「……さっきの予約っていうのは?」
ルビィ「だって先に言わないと、善子ちゃん取られちゃいそうなんだもん」
ルビィ「善子ちゃん、人気者だから」
善子「……」 ルビィ「…やっぱり駄目?」
善子「…どうして駄目だと思うの」
ルビィ「ルビィは我がままばかり言うから、善子ちゃんは嫌かなぁって」
ルビィ「せっかくのお祭りだもん、その日くらい自由になりたいよね…」
善子「……」
善子「……私は別にいいけど」
ルビィ「えっ…」
善子「だから、あんたの我がままに付き合ってあげるって言ってるのよ」 ルビィ「本当にいいの?」
善子「散々人を振り回しておいて、今更わがままも何もないわよ」
善子「あとは、その……そうね…」
ルビィ「?」
善子「ルビィと一緒にいるのが……なんだかんだで一番落ち着きそうだしね」
ルビィ「善子ちゃん…」
善子「……まあアレよ、その…この休みの間ずっと一緒にいたから、多分そうなってるってだけで……だから…」
ルビィ「うん、わかってる」 善子「…それならいいけど」
善子「とにかくそういうわけだから、ルビィはそわそわするのやめなさい」
ルビィ「あっ、ごめんね…お返事がもらえるかどうかドキドキしてたから、つい」
善子「そう、なら良かったわね」
ルビィ「うん、よかった」
ルビィ「ありがとう善子ちゃん、ルビィのお願い聞いてくれて」
善子「……どういたしまして」 ルビィ「それじゃあ約束もしたし、ルビィはそろそろ帰るね」
善子「なに、もう帰るの?」
ルビィ「あれ? まだ居たほうがよかった?」
善子「……別に?」
ルビィ「そっか、じゃあまたね善子ちゃん」ガチャ
ルビィ「お祭り、楽しみにしてるから」フリムキ
善子「─っ!?」 アラ ルビィチャンモウカエルノ? ハイ オジャマシマシタ
善子「……」
善子母「善子ー、ルビィちゃん帰っちゃうけど見送らなくていいの?」スタスタ
善子「…今日はいい……」
善子母「…ん? あら、どうしたのその顔……風邪でも引いたの?」
善子「何でもない……なんでもないから……」
善子「…そうよ……なんでも、あるわけがないのよ……こんなこと」 ─それから二日後
ワイワイガヤガヤ
果南「いやあ、相変わらず賑わってるねえ」
曜「毎年凄い数の人たちが来るもんね」
ダイヤ「ここでは数少ないイベントの一つですからね、こうなるのも当然といえば当然でしょう」スタスタ
千歌「あっ、ダイヤさん! 花丸ちゃんも!」
梨子「二人ともこんばんは」
花丸「こんばんはずら」 鞠莉「…あら? ねえダイヤ、ルビィの姿が見えないけど一緒じゃないの?」
ダイヤ「……少し用があるからと」
果南「ああ、だから少し不機嫌そうだったんだ」
ダイヤ「不機嫌などではありません!」
千歌「すごく機嫌悪いけど…」 花丸「今ダイヤさんはルビィちゃんを善子ちゃんに取られて、大変ご立腹だから」
ダイヤ「ちょっと花丸さん!?」
曜「そういえば、まだ善子ちゃん来てないけど…ルビィちゃんと一緒だったんだ」
鞠莉「あらあら…いいわねぇ〜?」
ダイヤ「全然よくありませんわ! 毎年…毎年…私のあとをついてきたルビィが……」
果南「あーあ、スイッチ入っちゃった」 鞠莉「こうなると面倒くさいのよねーダイヤって」
果南「しょうがないなあ、千歌たちは先にお祭りに行ってていいよ、ダイヤは私たちが見ておくからさ」
千歌「えっ、でも」
鞠莉「この人混みの中大人数で回るのは無理そうだし、丁度いいと思うわよ」
鞠莉「みんなとはここで一回別れて別行動になっちゃうけど、後で合流しましょう?」
鞠莉「集合場所と時間はグループラインで送っておくから」 千歌「うーん、まあそういうことなら」
梨子「それなら花丸ちゃんも私たちと一緒に行きましょうか」ニコ
花丸「そうさせてもらうずら」
曜「じゃあ三人ともまた後でね!」
果南「うん、また後で」テヲフリ
鞠莉「チャオ〜♪」フリフリ 果南「……さてと、これからどうしよっか?」
鞠莉「普通に屋台を見て回る、でいいじゃない」
果南「それもそうだね、あっ、あそこに焼きそば屋がある」
鞠莉「いいわね! まずはあれを食べにいきましょう!」 ダイヤ「……」
果南「ダイヤ、どうする?」
ダイヤ「……では私も」
果南「じゃあ三人前ね……ってもう遅いか」フフッ
ダイヤ「?」
鞠莉「果南、ダイヤー! 三人前買ってきたわよ!」タッ
果南「ほらね」
ダイヤ「……全く、仕方ありませんわね」クスッ ─
善子「それにしても…本当によかったのかしら」
ルビィ「なにが?」
善子「一応、みんなに挨拶したほうが良かったんじゃない?」
ルビィ「お姉ちゃんと花丸ちゃんに伝えるように言ったし、多分大丈夫だよ」
善子「そんな適当に……」
ルビィ「それにね、みんなと会っちゃったらすぐに時間が終わっちゃいそうだから」
善子「…………そうね」 高校生なのにお金くれなきゃやりませんって最初っから言っちゃうんですね
http://kabu.btels.com/0815.html ルビィ「だから今がいいの」
善子「…まあお願いを聞くって言ったのは私だし、ルビィがそれで本当にいいなら」
ルビィ「ならよかった、ねえそれより善子ちゃん、ルビィあれが食べたいなぁ」クイクイ
善子「綿あめね、はいはい……すみませんこれを一つ…」
ルビィ「二つください」
善子「…ちょっと」
ルビィ「一緒に食べようよ」チャリンッ
善子「はぁーっ…分かったわよ」 |c||^.-^||姉として見届ける義務がありますわ! ルビィ「美味しいね」
善子「そうね」
ルビィ「ねえ、次はあっちに行ってみようよ!」タッ
善子「ちょっとルビィ、あんまり急いだら転ぶわよー」
ルビィ「大丈夫だよ、ほら、善子ちゃんもはやくはやく」テマネキ
善子「分かってるわよ、今行くから」スタスタ
善子「もう、本当しょうがないわね……」クスッ ─
ルビィ「あっ、金魚すくいだ」
善子「げっ…私金魚すくい苦手なのよね……」
─
善子「ふーん、射的ねえ…面白そうじゃない」
ルビィ「善子ちゃん、あれ取れる?」
善子「当然よ、私の実力ちゃんと見てなさいよね」
─
ルビィ「このお面可愛いなぁ…」
善子「そうかしら、こっちの方がいいと思わない?」
ルビィ「……えー…」
善子「何よその微妙な反応は!」
……
… ルビィ「次はどこに行こっか?」
善子「うーん、そうねえ……」
「あれ? 善子ちゃん?」
善子「え?」
曜「うん、やっぱり善子ちゃんだった!」
善子「曜さん? それに…」
ルビィ「花丸ちゃん!」
花丸「あーっ! ルビィちゃんずらーっ!」 善子「三年のみんなが見当たらないけど」キョロキョロ
梨子「人が多いから一回別れて、後で合流することにしたの……ライン来てなかった?」
善子「ラインって……」
ルビィ「あ、本当だ」
曜「まあお祭りって楽しいから、スマホを見るのも忘れちゃってもしょうがないよね」
千歌「それでお二人はデートですかなー?」ニヤニヤ
善子「違うから」
ルビィ「みたいです」クスッ 千歌「なーんだ…」
梨子「なんか千歌ちゃん、鞠莉さんみたいね…」
曜「いやいや梨子ちゃん、みんなが集まってた中二人だけ別行動だったんだから流石に私も気になるよ」
ルビィ「ごめんなさい、ルビィが善子ちゃんに頼んだの」ペコリ
ルビィ「お祭りが楽しみだったから早く回りたくて……それで」
善子「……」
曜「そっかあ…でも確かにルビィちゃんの気持ちも分かるかな、祭りとかのイベントってさワクワクするもんね」 千歌「そうだ! それなら今度は私たちと一緒に行こうよ!」
善子「えっ」
曜「それいいね千歌ちゃん! よーしルビィちゃん、私たちともっとお祭りの楽しさを味わいに行こうーっ!」
善子「いや、ルビィはまだ私と─」
ルビィ「本当ですか!? やったぁ!」
善子「ルビィ!?」 善子「あんたなんで……」
ルビィ(ごめんね善子ちゃん、もう時間だから)ヒソヒソ
善子(えっ、嘘……もうそんな時間なの?)
ルビィ(ルビィね、皆とも一緒にいたいから…善子ちゃんもそうでしょ?)
善子(それは…そうだけど、でも)
ルビィ「だからまた後でね」ニコ
善子「あっ……」 ソレデ ドコニイクンデスカ? アッチニネ イイトコロガアルンダー!
善子「……」
花丸「善子ちゃん、大丈夫?」
善子「…何が?」
花丸「がっかりした顔してるから」
善子「別にそんなことないわよ…さ、私たちも行きましょ」 梨子「…ねえ善子ちゃん、さっき善子ちゃんが好きそうなお店を見つけたの、良かったら行かない?」
善子「そうね、そうしましょうか………ありがとう、梨子さん」
梨子「ううん、どういたしまして」ニコ
花丸「ほらほら善子ちゃん、ボーっとしてないで早く来るずら」グイッ
善子「ちょっ…ずら丸! 引っ張るのやめなさいよー!」ズルズル
梨子「…フフッ、善子ちゃんちょっとは元気になったみたいね、良かった」スタスタ
……
… ─それからしばらく経って……
鞠莉「Aqours集合ー!」
千歌「あーっ! 鞠莉さんそれ私のセリフだよ!」
果南「あっはは、今度はちゃんと全員揃ったみたいだね」
曜「うん! やっぱり九人じゃなきゃね!」
善子「……ただ、なんかダイヤさんがげっそりしてるのが気になるんだけど…」
梨子「あの、ダイヤさん……大丈夫ですか?」
ダイヤ「お、お気になさらず……」ゼエゼエ
鞠莉「ダイヤったらホント体力ないわねー」
ダイヤ「なっ……! 貴方たちのペースが速すぎるからですわよ! 一体どれだけの距離を走らされたと思っているんですか!?」 果南「まあまあダイヤ、落ち着いて」
鞠莉「そうよ、そんなんじゃこの後もたないわよ?」
ダイヤ「…ま、まだ動くんですの……?」
鞠莉「そうよ、次は全員で回るんだから、それでその後はお待ちかねの花火大会ね!」
ダイヤ「」 花丸「花火かあ、楽しみだねルビィちゃん!」
ルビィ「うん!」
ダイヤ「…そうですわねー、楽しみですわー…」
善子「なんて気の抜けた返事なの……」
梨子「そんなにきつかったのかしら…」
千歌「まあ果南ちゃんがいるからねー」
曜「だね…」 鞠莉「さあ、そうと決まればレッツゴーよ!」
ダイヤ「ええ……」
果南「ほらダイヤ、もうちょっとだから頑張って」スッ
ダイヤ「……次また飛ばしたら怒りますからね」ギュッ
果南「はいはい」
鞠莉「どんどん行きましょー!」
ダイヤ「鞠莉さん! 言ってるそばから飛ばし過ぎですわ!!」 千歌「─うーん、今度はかき氷でも食べようかなー」
曜「私は果南ちゃんと勝負したいな、久しぶりに」
梨子「曜ちゃんと果南さんが? ちょっと見たいかも」
曜「本当に!? 梨子ちゃんが見てくれるなら、私勝てる自信あるかも!」
梨子「フフッ、ありがとう…でも曜ちゃん、そういうこと誰にでも言っちゃダメだよ?」
曜「……?」キョトン ルビィ「─でね、そこの綿あめがとっても美味しかったんだぁ」
花丸「へえー、じゃあマル次はそこの綿あめを食べようっと」
ルビィ「ルビィもまた食べたいから、一緒に食べようね花丸ちゃん」
花丸「うん! ルビィちゃん!」
善子「……」
ルビィ「あれ? どうしたの善子ちゃん?」
花丸「またボーっとしてるずら」 善子「……花火」
花丸「花火? それがどうかしたの?」
善子「…みんなで見るのよね」
花丸「そうだね」
善子「……」
花丸「善子ちゃん?」
善子「………ごめん、なんでもないわ……遅れるといけないから、そろそろ私たちも行きましょ」スタスタ
花丸「…うーん、変な善子ちゃんずら」
ルビィ「…………」 乙です
よっちゃんじわじわ効いてますなぁ
あぁ^〜いいですわゾ^〜 ─それから…
果南「よし! 私の勝ちだね!」
曜「あちゃーっ、また勝てなかったよ…」
梨子「でも惜しかったよ、お疲れさま曜ちゃん」
鞠莉「中々見ごたえのある勝負だったわねー! ま、かき氷にがっついてたダイヤには劣るけど♪」
ダイヤ「はあ!? がっついてなどいないでしょう!」
善子「千歌さんって意外と金魚すくい上手かったのね、今度教えてもらおうかしら」
千歌「うん、いいよ! 来年は一緒にやろうね!」
花丸「綿あめ美味しかったずら〜」
ルビィ「りんご飴もよかったよね!」 鞠莉「…さてと、そろそろ時間かしら」
梨子「花火大会ですよね? どんなものが見られるんだろう…楽しみだな」
千歌「梨子ちゃん! ここの花火はねー、ドドーン! ババーン! って感じですごい出てくるんだよ!」バッ
曜「千歌ちゃん、それじゃよく分からないよ…」
梨子「あはは…見るまでのお楽しみってことにしておこうかな」 ダイヤ「今回は特別に、いつもより多めに打ち上げるそうですわ」
花丸「おおー…なんだか凄そうずら……」
─
果南「はい、じゃあみんな私たちに付いてきて、よく見えるところに案内するからさ」
千歌「フッフッフ…私たちだけの隠しスポットなのだ!」
曜「小さい頃からずーっと探していたもんね」 ワイワイ
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん、ルビィたちも行こうよ」
善子「……そうね」
ルビィ「…大丈夫だよ、きっとね」
善子「え?」
ルビィ「ううん、ルビィ先に行ってるね」タッ
ルビィチャン! ヨシコチャン! ハヤクハヤクー! ゴメンナサーイ!
善子「…大丈夫って、どういうことかしら」スタスタ ─
千歌・曜「着いたーっ!」タッ
梨子「へえ、ここが……」
鞠莉「時間ぎりぎりってところかしらね」
果南「なんとか間に合ってよかったよ」
ダイヤ「…ここには何回か足を運んだことがありますが、何も変わっていませんわね」
花丸「善子ちゃん、静かでいいところだね」
善子「ええ…なんだかとても落ち着く」 鞠莉「さあ皆、そろそろ来るわよー!」
ルビィ「……」
ヒューーーーー
ドンッ
「!!」
梨子「わぁっ…凄い……綺麗……」
曜「感動するのはまだ早いよ梨子ちゃん、これからどんどん来るんだから」
ドンッ ドンッ ドンッ 千歌「たまや〜! かぎや〜! どんどんいけいけー!」
鞠莉「ノンストップで打ち上げるのよ! 職人たちには期待してるんだから!」
ダイヤ「全く、あの二人はこんな時でも騒がしいのですね…」
果南「こんなとき、だからじゃない? いいと思うよ私は」
ダイヤ「…それもそうですわね」クスッ
花丸「大きいものから小さいものまでキラキラしていて、綺麗ずら…」
善子「ええ本当に…やっぱり打ち上げ花火も悪くないわね……」 善子「ねえ、ルビィもそう思うでしょ? …………って、あれ? ルビィ?」
─パシッ
善子「っ!?」
ルビィ「こっちだよ、善子ちゃん」ニコ
スタスタ
善子「ちょっと待っ……あんた何して…」
ルビィ「しーっ…みんなにバレちゃうから」
善子「……どこに行くつもりよ」
ルビィ「少しだけ離れたところまで……いこ?」
善子「……知らないからね私は」スタスタ ─
ルビィ「この辺りでいいかな」パッ
善子「…ねえ、なんで連れてきたのよ…私を」
ルビィ「やっぱり二人で見たかったから、善子ちゃんは嫌だった?」
善子「……どっちでも」
ルビィ「よかったぁ」 ヒューーーーッ… ドンッ ドンッ
ルビィ「善子ちゃん、今日は本当にありがとう」
善子「…なによ、急に」
ルビィ「どうしても言いたかったの」
善子「あっそ……満足できた?」
ルビィ「もちろん」
善子「そう、良かったわね」 ルビィ「うん……だけどね」
善子「?」
ルビィ「今日の中でも…今が一番幸せかなぁ」
善子「どうして?」
ルビィ「こうやって二人で花火を見ることができたから」
善子「……ああ、綺麗だものね」
ルビィ「うん、とっても──」
ルビィ「綺麗だよね、善子ちゃん」 善子「っ……!?」ドクンッ
善子(えっ……なに、今の…?)
ルビィ「あれ? どうかしたの?」
善子「……ぁっ…いや……その…」
善子「……別に…どうもしてない、けど…でも」
ルビィ「でも?」
善子(…あぁ、なんでだろう……)
善子「私……分からないことがあって…だから」 善子「……確認、したいことがあるの」
善子(そんなの…聞かなくても分かる、今の綺麗って言葉は私じゃなくて花火に向けられてたってことくらい)
善子「…聞いていいかしら?」
善子(そうよ…普通はそうでしょ…私だって、さっきまで見とれてたじゃない……)
善子(…あれ…見とれてた……? え…? 何に?)
…………誰に? ルビィ「なに?」
善子「ねえルビィ……あんたってさ…」
善子(違うでしょ、質問…それじゃないのに)
善子「好きな人…とか、いるの?」
善子(なんで……私…何を、期待して…………)スッ ルビィ「……」
ルビィ「……内緒」ギュッ
善子「……!」
─
善子(あぁ──そうか─)
善子(…今、ようやく分かった……私は…ルビィは……)
善子「…そぅ、だったのね……」ギュウ
……
… あぁ^〜胸がキュンキュンするんじゃあああああぁ^〜 |c||^.-^|| 頬が綻んでしまいますわああああ
ノξソ>ω<ハ6 Fooooooooooo!! ─
善子(それからのことは正直あまり覚えていない)
善子(確か一緒に歩いて……そこにみんながいて、何か言われた気がした)
善子(周りで言葉が飛び交ってる中、私はなにも口にしなかった、言えなかった…のほうが正しいかもしれないけど)
善子(そして、その後は多分みんな帰っていった…と思う……それもよく思い出せない)
善子(こんなに曖昧なんだから、もしかしたら全部私の夢なんじゃないか、とも思ったけど……でも) 善子(最後の最後までその手に残っていたあの子の温もりが、私自身が、はっきりとそれを否定していた)
善子「夢なんかじゃ…なかったのよね……」ボソッ
ルビィ「え? なにが?」
善子「昨日のことよ」
ルビィ「昨日って、お祭りのこと?」
善子「ええ」
善子「………………って」
善子「はあっ!? なっ…なんであんたがここにいるのよ!!」ガタッ ルビィ「善子ちゃんのお母さんに会ったら入れてもらえたの」
善子「いや、それにしたって!」
ルビィ「駄目だった?」
善子「そうじゃないけど……あ、挨拶くらいしなさいよ…いきなりビックリするじゃない……」
ルビィ「えへへっ、ごめんなさい」
善子「…あーもう、一気に現実に戻された感じだわ……」ハァーッ
ルビィ「?」
善子「こっちの話よ…それで? 今日は何しに来たのかしら? 課題ならもう全部終わったけど」 ルビィ「うーんとね、今日は確認かなぁ」
善子「確認って何の?」
ルビィ「…夏休みの勝負のこと」
善子「──!」
ルビィ「あと二日で学校が始まっちゃうからね、そろそろ聞かなくちゃって思って」
善子「……」
ルビィ「ねぇ善子ちゃん、答え…分かった?」 善子「……そうね、多分」
ルビィ「そっかぁ、聞いてもいい?」
善子「今はまだ言えない…だから明日……明日答えを用意するからそれまで待ってて」
ルビィ「うん、わかった」
善子「……結局、夏休みを丸々使うことになったわね」
ルビィ「そうだねぇ…」 善子「けど今思えばそっちのほうが良かったかもしれないわ」
ルビィ「どうして?」
善子「それも明日教える」
ルビィ「…ふーん? じゃあ今日はここでゆっくりしていようかな」
善子「ま、たまにはそんな日があってもいいんじゃない?」
ルビィ「今まで色々ワタワタしてたもんね」
善子「それは大部分があんたのせいだけどね」
ルビィ「あははっ、そうだね」 ─
善子「…さてと、私はちょっと出かけてくるわ」ガタッ
ルビィ「あれ? どこに行くの?」
善子「買い物……アイス、食べるでしょ?」
ルビィ「あっ、じゃあルビィねダッツが─」
善子「却下」 ルビィ「だよね、ならあのチューチューするやつ」
善子「あーアレね、はいはい…ルビィ、私が戻ってくるまで大人しくしてなさいよ」
ルビィ「うん」
善子「それじゃ、行ってくるわ」ガチャ
ルビィ「いってらっしゃーい」 ─バタンッ
善子「…………よし」スッ
善子「─もしもし鞠莉さん? 少し頼みたいことがあるんだけど……」
善子「……ええ、明日の夜に……そう……ありがとう…お願いね」ピッ
善子「…ふぅ……やっぱり勝負をつけるからには、自分から決めていかないとね」
善子「さあルビィ、今度は私に付き合ってもらうわよ」
……
… ─そして翌日、夜
─黒澤家、ルビィの部屋
ルビィ「……」
〜〜♪
ルビィ「! きた……」スッ
ルビィ「えっと…今家の前にいるわ……かぁ」
ルビィ「うん……よし、行こう」ガチャ スタスタ
ダイヤ「あら、ルビィ…こんな時間にどこに行くんですか?」
ルビィ「あ、お姉ちゃん…えーとね、ちょっとそこまで」
ダイヤ「そこまでって…もう少し具体的に……」
ルビィ「ううん、詳しいことはルビィにもよく分からないから……だけどね、大事なことなの」 ダイヤ「そう……なら一つだけ、夜道に気をつけて行きなさい」
ルビィ「ありがとうお姉ちゃん、行ってくるね!」タッ
ダイヤ「ええ、いってらっしゃい」テヲフリ
ダイヤ「……多分、善子さんのことですわね……あんなに嬉しそうにしてまあ」
ダイヤ「…なんというか、姉として少し…彼女に嫉妬してしまいますわね」フフッ 今回はここまでにします。
おそらく次で終わると思うので、もう少々お付き合いいただけたら嬉しいです マリーに頼んだということは一芝居打つつもりか
楽しみね ─
ルビィ「善子ちゃんっ!」タッ
善子「来たわねルビィ、早速で悪いけど時間がないからすぐに行くわよ」ホラ
ルビィ「うん、でもどこに行くの?」ギュッ
善子「ああ、それはね─」
善子「花火がよく見えるところよ」
ルビィ「……?」 ……
善子「着いたわ、ここよ」
ルビィ「…広いけど、なにも無いね」
善子「ええ、そういうところにしてって私が鞠莉さんに頼んだの」
ルビィ「鞠莉さんに?」
善子「公園で火遊びとか出来ないでしょ? 場所の提供が必要だったのよ」
善子「ルビィ、こっちに来て」
ルビィ「えっ? うん…」トテトテ 善子「ちょっと待ってて、今用意するから」
ルビィ「…それって、線香花火だよね?」
善子「そうよ…私の、一番好きな花火」カチッ
ボッ…
ルビィ「……」
善子「よし、火が付いた……見ていて」 パチッ パチパチッ
ルビィ「……」
善子「……線香花火ってさ」
ルビィ「え?」
善子「無理に動かすとすぐに落ちるじゃない?」
ルビィ「…そうだね」
善子「でもこうやってジーッと待っていると、綺麗な花が咲くのよ」 善子「…この夏休みもね、そうだった」
善子「急いで答えを出さないで、繰り返す日々をルビィと過ごしてたから……今まで見えなかったものが見えるようになった」
パチッ パチッ
善子「一瞬しか咲かない花火が人の心に深く刻まれるのと同じように」
善子「人生の中でほんの僅かしかないこの数十日は、私の中で大切な思い出の一つになったの」
ルビィ「!」
善子「それが私が出した“答え”」
フッ… 善子「ルビィ、貴女は私との思い出をこの休みの間に作りたかったんじゃないかしら?」
ルビィ「……」
ルビィ「…正解、やっぱり善子ちゃんは凄いなぁ」
善子「そんなことないわよ、今振り返ってみればヒントは最初からずっと出されていたんだから」
ルビィ「……」
善子「私は、難しく考えすぎてた……けどようやく分かった……本当のところは、もっと単純で…」
善子「…そう、最初から素直でいればよかったのよね」
ルビィ「うん…」 善子「……だから」
善子「だからね─」スッ
ルビィ「…善子ちゃん?」
善子「今から素直になるから、私」ピトッ
善子「ルビィ、あんた最初に言ったわよね? 私が勝ったらルビィのことを好きにしていいって」
ルビィ「……うん、言った」 善子「勝負は私の勝ちだから、約束通り私の好きにさせてもらうわよ」
善子「目、閉じて」
ルビィ「うん……」
善子「いい? そのまま……」
ルビィ「……」
善子「……」 善子「……ねえルビィ」
ルビィ「…なに?」
善子「当ててみる? 今、私が──」
善子「何を考えているか」
ルビィ「…………ううん」
─やめとく。 ─それから夜が明け…翌日
善子「………うぅん…」スヤスヤ
ヨシコー ヨシコー!
善子「………ん…?」スヤ
善子母「善子ー、起きてないの?」ガチャ
善子「……ママ…? ……ぇ…なに…?」ゴシゴシ
善子母「今日から学校でしょ? ルビィちゃん、迎えに来てるわよ」
善子「!?」バッ 善子「ルビィが!?」タッタッタ
ルビィ「あ、善子ちゃんおはよう」ニコ
善子「……あぁ…なんというか…」
善子「……もう当たり前のように家にいるのね…」ハァーッ
ルビィ「ごめんね? 本当は外で待ってるつもりだったんだけど」
善子「別にいいわよ、すぐに支度するからもう少し待っててくれる?」
ルビィ「うん」 ─
善子「しかしまあ…」
ルビィ「?」
善子「夏休みが終わった後もわざわざ家に来るなんてね……よくやるわよあんたも」
ルビィ「ルビィね、早く善子ちゃんに会いたいなぁって思ったから」
善子「……あっそ」
ルビィ「嬉しい?」
善子「そうね」
ルビィ「ならよかった」 スタスタ
ルビィ「善子ちゃん…ルビィもね、嬉しかったよ」
善子「?」
ルビィ「昨日の夜のこと」
善子「あぁ……そのことね」
ルビィ「ちょっとビックリしたけど」
善子「そうかもね……でも」
善子「どうしても私から言いたかったのよ、好きだって」
ルビィ「フフッ…そっか」 ルビィ「ねえ善子ちゃん」
善子「なによ」
ルビィ「きっとね、この先も善子ちゃんに我がままを言って困らせちゃうと思う」
善子「……」
ルビィ「でもね、それでも一緒にいてほしいの」
善子「……今さら何言ってるのよ、そんなの全部分かったうえであんたの傍にいるんだから」 善子「だから、いいのよ」
ルビィ「……そっか…じゃあ善子ちゃん」
ルビィ「これからもよろしくお願いします」ギュッ
善子「……はいはい」クス
善子「こっちこそね、ルビィ」ギュ ─
「「「ルビィちゃん、善子ちゃん、おめでとうーっ!」」」
善子「…………」
ルビィ「ありがとうございます!」
善子「…………鞠莉さんね」
鞠莉「あら? 私に連絡してきた時点でこうなる気はしてたんじゃないの?」
善子「……まあね」タメイキ 曜「えっ、それで告白はどっちから!?」ズイッ
千歌「二人はちゅーしたの!?」
鞠莉「あるいはもうイケないところまで……」ニヤニヤ
善子「いってないから!」
ダイヤ「あったら殺しますしね」ニコ
果南「ダイヤ、お願いだからもう少し慎んで」 花丸「ルビィちゃん、良かったね」ニコッ
ルビィ「ありがとう花丸ちゃん!」
梨子「でも、二人ともいつの間にそういう関係になってたんだね…あんまり気付かなかったよ」
曜「そんな雰囲気はちょくちょくあったけどね、でもそれがいつからかは私にも分からないなあ…」
千歌「ねえねえ、いつから始まったの!?」 善子「別にいつでもいいでしょ、そんなの」
鞠莉「えー、気になるじゃない?」
千歌・曜「そうだそうだ!」
花丸「…うーん、まあ確かに」
果南「気にならないと言えば…」
梨子「嘘になりますよね…」
ダイヤ「ルビィの姉としても、聞いておく必要がありますわ」
善子「……揃いも揃って…」 善子「…はぁーっ…あのね、先に言っておくけどそんなに大したことじゃないわよ」
善子「ただ少し、疑問があってね……言ってしまえばそれだけなのよ」
「「「疑問って?」」」
善子「ええ、それは……」
ルビィ「……」クスッ
善子「─夏休みって何だろうって」
善子「ちょっと思ったの」 終わりです。ここまでお付き合いいただきありがとうございました
以下の企画に参加させてもらいました
第三回SS祭りスレ
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1502420293/
それともし宜しければこちらのssも読んでくださると嬉しいです
ルビィ「今がいちばん大切だから」 もう一つの夏のよしルビss
以上です。それではまた ||^.-^||ɔ|Ξ|c||^.-^|| 超絶乙ですわああああ
雰囲気最高だった……よしルビ最高 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています