ss書いたんだけど評価してくれ [無断転載禁止]©2ch.net
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その日、鞠莉さんは、一つの相談を持って来た。相談というよりは、命令といったほうがよいかも知れない。鞠莉さんと一緒に故郷の家を訪れてみないかというのである。
私の故郷は、本州の中央、駿河湾のほぼ沿岸に在る。私は、すでに十年、故郷を見なかった。十年前に、或る事件を起して、それからは故郷に顔出しのできない立場になっていたのである。 【自治】地震なし及び荒らしに対する議論スレ【ワッチョイあり】 Part.4 [無断転載禁止]©2ch.net
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1497195592/ 「お姉ちゃんから、おゆるしが出たんですか?」私たちはカフェテリアで、コーヒーを飲みながら話した。「出たわけじゃ無いんでしょう?」
「それは、ダイヤの立場として、まだまだ、ゆるすわけにはいかない。だから、それはそれとして、マリーの一存であなたを連れて行くのです。なに、大丈夫です。」
「あぶないよ。」私は気が重かった。
「のこのこ出掛けて行って、玄関払いでも食わされて大きい騒ぎになったら、それこそ藪蛇だから。もう少し、このまま、そっとして置きたいです。」
「そんな事はないわ。」鞠莉さんは自信満々だった。
「マリーが連れて行ったら、大丈夫。考えてごらんなさい。失礼な話ですが、お国のお母さんだって、もう七十。めっきりこの頃、衰弱なさったそうよ。いつ、どんな事になるか、わかないわ。その時、このままの関係でいたんじゃ、まずいでしょう。違うかしら?」
「そうですね。」私は憂鬱だった。 「そうでしょう? だから、いまこの機会に、私が連れて行きますから、まあ、お家の皆さんに会っておきましょう。いちど会っておくと、こんど、何事が起こっても、ルビィも気易くお家へ駈けつけることが出来るでしょう?」
「そんなに、うまくいくといいですけど。」
私は、ひどく不安だった。
鞠莉さんが何と言っても、私は、この帰郷の計画に就いては、徹頭徹尾悲観的であった。
とんでもない事になるぞという予感があった。私は、この十年来、東京において実にさまざまの醜態をやって来ているのだ。とても許される筈は無いのだ。
「なあに、うまくいくわ。」
鞠莉さんはひとり意気軒昂たるものがあった。
「あなたは柳生十兵衛のつもりでいなさい。私は大久保彦左衛門の役を買います。ダイヤは、但馬守ね。かならず、うまくいくわ。但馬守だって何だって、彦左の横車には、かなわないでしょう。」
「けれども、」
弱い十兵衛は、いたずらに懐疑的だ。
「なるべくなら、そんな横車なんか押さないほうがいいんじゃないかな。私にはまだ十兵衛の資格はないし、下手に大久保なんかが飛び出したら、とんでもない事になりそうな気がするんだけど。」
生真面目で、癇癖の強い姉を、私はこわくて仕様がないのだ。但馬守だの何だの、そんな洒落どころでは無いのだ。
「責任を持ちます。」
鞠莉さんは、強い口調で言った。
「結果がどうなろうと、マリーが全部、責任を負います。大舟に乗った気で、彦左に、ここはまかせなさい。」
私はもはや反対する事が出来なかった。 鞠莉さんも気が早い。その翌日の午後七時、小原家のヘリに乗ろうという。私は、鞠莉さんにまかせた。
その夜、鞠莉さんと別れてから、私は三鷹の居酒屋にはいって思い切り大酒を飲んだ。
翌る日午後五時に、私たちは上野駅で逢い、地下食堂でごはんを食べた。
コーヒーを飲みながら鞠莉さんは、
「風向きが変わったわよ。」と言った。
ちょっと考えて、それから、
「実は、ダイヤが東京へ来ているの。」
「なあんだ。それじゃ、この旅行は意味が無いですね。」
私はがっかりした。
「いいえ。くにへ行ってお姉さんに会うのが目的じゃない。お母さんに会えたら、いいんだ。私はそう思うわ。」
「でも、お姉ちゃんの留守に、私たちが乗り込むのは、なんだか卑怯みたいだけど…」
「そんな事無いわ。私は、ゆうべダイヤに会って、ちょっと言っておいたの。」
「ルビィをくにへ連れて行くと言ったのですか?」
「いいえ、そんな事は言えません。言ったらダイヤは、『鞠莉さんそれは困ります』と言うでしょう。内心はどうあっても、とにかく、そう言わなければならない立場ですから。
「だから私は、ゆうべ会っても、なんにも言いませんでした。言ったら、ぶちこわしよね。ただね、
『私は名古屋のほうにちょっと用事があって、あすヘリコプターで向かうつもりだけど、ついでに沼津のお宅のほうへ立寄らせていただくかも知れないわ』とだけ言って置いたの。
それでいいの。ダイヤが留守なら、かえって都合がいいくらいね。」
「鞠莉さんが、静岡へ遊びに行くと言ったら、お姉ちゃん喜んだでしょう。」
「ええ、お家のほうへ電話してほうぼう案内するように言いつけようと言われましたが、断ったわ。」
鞠莉さんは頑固で、今まで沼津の私の生家へほとんど遊びに行った事がないのである。ひとのごちそうになったり世話になったりする事は、極端にきらいなのである。 「お姉ちゃんはいつ沼津に帰るのかな…」
「今回は市長さんを連れて来てたわよ。ちょっと、手数のかかる用事みたいね。」
姉は時々、東京へやって来る。けれども私には絶対に逢わない事になっているのだ。
「くにへ行っても、お姉ちゃんに会えないとなると、だいぶ張合いが無くなりますね。」私は姉に会いたかったのだ。そうして、黙って長いお辞儀をしたかったのだ。
「いいえ、ダイヤとはこの後、またいつでも会えるわ。それよりも、問題はお母さんです。なにせ七十、いや、六十九、ですかね?」
「おばあちゃんにも会えるよね。もう、九十ちかい筈けど。それから、叔母さんにも会いたいし、――」
考えてみると、会いたい人が、たくさんあった。
「もちろん、皆に会えます。」
断乎たる口調だった。ひどくたのもしく見えた。
こんどの帰郷がだんだん楽しいものに思われて来た。家族にも会いたかったし、また故郷の友人にも逢いたかった。
すべて、十年振りなのである。そして私は、あの家を見たかった。私の生まれて育った、あの家を見たかった。 私たちはヘリコプターに乗った。ヘリに乗る前に、鞠莉さんは内浦の果南さんにメールを打った。
「七時出発 鞠莉」
それだけでもう果南さんには、なんの事やら、ちゃんとわかるのだそうである。以心伝心というやつだそうだ。
「あなたを連れて行くという事を、はっきり果南に知らせると、果南も立場に困るの。果南は知らない、何も知らない、そうして淡島のホテルのへリポートに私を迎えに来るのです。
そしてはじめて、あなたを見ておどろく、という形にしなければ、果南は、あとでダイヤに対して具合いの悪い事になります。『果南さんは知っていながら、なぜ、とめなかった』と言われるかもしれないわ。
けれども、果南は知らない、淡島のへリポートへ私を迎えに来てはじめて知って驚いた。そうして、まあせっかく東京からやって来たのだし、ひとめお母さんに合わせました、という事になれば、果南の責任も軽いわ。
あとは全部、マリーが責任を負いますが、マリーは大久保彦左衛門なので、但馬守が怒ったって何だって平気です。」
なかなか、ややこしい説明であった。 「でも、果南さんは、知っているんでしょう?」
「だから、そこが、微妙なところなの。七時出発。それでもういいのでーす。」
大久保のはかりごとはこまかすぎて、わかりにくかった。
けれども、とにかく私は鞠莉さんに、一切をおまかせしたのだ。とやかく不服を言うべきでない。 私たちはヘリに乗った。私と鞠莉さんだけの特等席である。
鞠莉さんは、新聞を読みはじめた。落ちついたものだった。
私は新しく出てきた歌手のポップな曲を聴きはじめた。ヘリの中で、こむずかしい小説を読む気はしない。
淡島に着いたのは八時頃だった。八月の中ごろであったため、かなり蒸し暑い。その上、霧のような雨が降っている。
へリポートに、果南さんは迎えに来ていなかった。
「来ている筈なんだけど。」
大久保彦左衛門もこの時だけは、さすがに暗い表情だった。 「おめだづ、あそこさいっだのが?!」
急に恫喝してきたのはお寺の住職らしき人物だった へリポートを出て大きなホテルを見廻しても果南さんはいない。
ホテルの前の岬、といっても、シーズン外、草木と噴水一台、淋しい広場に私と鞠莉さんとが鞄をさげてしょんぼり立った。
「来た! 来たわ!」
鞠莉さんは絶叫した。
髪の長い女が、笑いながら町の方からやって来た。果南さんである。
果南さんは、私の姿を見ても、一向におどろかない。ようこそ、などと言っている。闊達なものだった。
「これはマリーの責任ですからね。」
鞠莉さんは、むしろちょっと得意そうな口調で言った。
「あとは万事、よろしく。」
「承知、承知。」
スーツ姿の果南さんは女傑のようであった。
果南さんのお家へ案内された。
知らせを聞いて、果南さんのお母さんがヨチヨチやって来た。十年、おばさんは小さいお婆さんになっていた。
私の前に坐って、私の顔を眺めて、やたらに涙を流していた。この人は、私の小さい時から、頑強に私を支持してくれていた。 その淡島という島から、ほんの1kmも離れていない内浦長浜というところに、私の生れた家が在った。
淡島からフェリーで三分くらい駿河湾を渡り30分ほど歩くと、私の生まれた家に着くのだ。
おひる頃、果南さんと鞠莉さんと私と三人、フェリーで内浦長浜に向った。
満目の海原。青の色が淡い。駿河湾とは、こんなところだったかなあ、と少し意外な感に打たれた。
その前年の秋、私は徳島へ行き、ついでに淡路へも行ってみたが、太平洋の海の青はたいへん淡く、海岸通りはコンクリートで固められ、やりきれなく心細かったのだが、いま眼前に見るこの湾も、それと全く同じであった。
私はここに生まれて、そうしてこんな淡い薄い風景の悲しさに気がつかず、のんきに遊び育ったのかと思ったら、妙な気がした。
淡島に着いた時には小雨が降っていたが、間もなく晴れて、いまはもう薄日さえ射している。けれども、ひんやり寒い。 「この辺はみんなダイヤの海でしょうね。」
鞠莉さんは私をからかうように笑いながら尋ねる。
果南さんが傍から口を出して、
「そうだよ。」
やはり笑いながら、
「見渡すかぎり、みんなそう。」
少し、ほらのようであった。
「けれども、ことしは不漁だよ。」
はるか前方に、私の生家の茶色い大屋根が見えて来た。私はひとりで、てれて、
「案外、ちいさいなぁ。」と小声で言った。
「いいえ、どうして、」鞠莉さんは、私をたしなめるような口調で、「お城です。」と言った。 とりあえず書いたのはここまでなんだけどアドバイスください ssはセリフと地の文を明確に分けたほうがいい
ごっちゃだと見づらいて読む気がなくなる 行をあけろ
血の文はよほどうまくないと読む気すら起きないからやめろ、特に最初から入れるのは完全にNG
あと二人称はちゃんと公式準拠にしろよ、最近はニワカがベテランぶってよっちゃん」リリーとかよーちゃんとかやってるけど 雰囲気は出てるけど、前置きが長すぎて未だに話の主軸が見えないのはきつい >>19
行はもっと開けた方がいいのか
アニメルビィちゃんはかなまり呼んだことないから二人称はシャーないと思うんやが… 地の文で書くなら句点で改行しないと読みづらい
会話文の終わりに句読点はいらない
会話文と地の文をくっつけると読みづらい
そもそもこの板の連中は地の文なんて読めない キャラが喋るにはセリフ硬いし演技がかったっぽい言い回しにするなら一から十まで説明しすぎ
地の文は安易に句読点に頼らず間を作ってほしい >>20
ありがとう
確かに主軸が見えないかもしれない
>>23
どの辺が一から十まで説明しすぎになってるか教えて欲しい 公式でも二人称ブレてんだから、そこはそんなに拘らなくてもいいだろ
ここから先の展開次第でいい感じの物語にはなるだろうけど、多くの人に読んでもらいたいならもう少し文章減らして読みやすくするべきかも >>25
確かにssにするんだったらもっと砕けていた方がいいのかもしれないな !や?の後はスペースを空けるってことはできてるし所々ひらがなで書いてるあたり釣られてるんじゃないかと思えてきたわ ネタばらしするとこれは太宰治の「帰去来」って作品の一部をいじったものや
ワイがいじくったところにしか文句こなかったからよかった
原作はむっちゃ面白いから呼んでや
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1584_13915.html 地の文は部屋に虫がいる状況と同じ
埋め尽くすくらいにうじゃうじゃいたら気持ち悪いけど二、三匹程度なら気にならないだろ?それと一緒なんだよ 文学的なふいんきなので
実は花丸ちゃんが書いてみたんやっていうオチにすると面白いかもしれない ルビィちゃんの一人称にしては文体が固い
大正の文豪感ある
と思ったらまじかよ 雰囲気そんな感じよね
俺は結構好きだけど完結してから読みたかったな ブラウザ上で読ませる配慮出来てなくて読む気なくす、これに尽きる
文体じたいは苦にならないからとにかく改行と一行開けばんばん入れてよ
1レスで書く量も半分くらいでいい
表現が文学的なのは味だから俺は好き
そんで太宰の他の作品またいじって投下してよ面白そうだから 「お姉ちゃんから、おゆるしが出たんですか?」
私たちはカフェテリアで、コーヒーを飲みながら話した。
「出たわけじゃ無いんでしょう?」
「それは、ダイヤの立場として、まだまだ、ゆるすわけにはいかない。」
「だから、それはそれとして、マリーの一存であなたを連れて行くのです。なに、大丈夫です。」
「あぶないよ。」
私は気が重かった。 このくらい
でも台詞をカギカッコで区切っちゃうのは雰囲気壊すかも ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています