ことり「七月」海未「六日は」真姫「ピアノの日」 [無断転載禁止]©2ch.net
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【七月四日】
真姫「…」ポロロン
真姫(μ'sの作曲担当は私。ファーストライブは…人は集まらなかったけど、その後アップされた動画は好評だった)
真姫(七人になってからの二曲目も好評。μ'sのランキングも順調に上昇中)
真姫(だからこそ…これからが大事。作る曲はどれも手を抜けない。少なくとも廃校を阻止するまでは)
真姫(今までと同じくらい…ううん、それ以上の曲が必要なのよ!)
タタン タタタン…
真姫「ちがーう!」バーン
\ピャァ!/
真姫「えっ」
ガララ
真姫「花陽…何してるの?」
花陽「あ、あの…一緒に帰ろうと思って呼びに来たんだけど…」
真姫「あ、そう」
花陽「明日もテスト…だよね」
真姫「そーね。とりあえず英語と数学は終わったし、あの三人がそれ以外で赤点取らなければいいけど」
花陽「真姫ちゃん、疲れてたりする?」
真姫「え?…いや、私は生徒会長を迎えに行く副会長について行っただけだし。もう一昨日のことだから時差ボケも無いわ」
花陽「でも、さっきのピアノ…」
真姫「ああ…新しい曲が思いつかなくて、ちょっとね」
花陽「作曲って大変なんだね…」
真姫「そうでもないわよ。…ただ、今までの曲とはちょっと違うものを求めるっていうか…似たような曲ばかりじゃ意味ないでしょ」
花陽「何か新しいインスピレーションが欲しいってこと?」
真姫「そうね。たとえば夏を意識した曲だとか…」
花陽「そういうのって、どうやって思いつくの?」
真姫「いろいろよ。海未先輩の歌詞を読んで思いついたのもあったし、何かを見てて思いつくパターンも結構あるわ」
花陽「じゃあ夏らしいものを見てみるとか?…たとえば…花火、とか」
真姫「花火ねえ…まあ、悪くはないわね」
真姫(でも…花火は、言わば他人が作った芸術作品。私が今求めてるものとは違う気がする) 凛「かよちん、真姫ちゃん。帰るにゃー」
真姫「カエルといえば…」
花陽「か、カエル?」
真姫「いや、ほら…さっきの話」
凛「なにー?><」
花陽「ああ、夏っぽいもの?」
真姫「そう。都会ではあまり見かけないけどいるところにはいるでしょ。別荘の周りにもいっぱいいて夏になると鳴くから」
凛「別荘!?」
真姫「ええ。山の方にも海辺にもあるし…」
花陽「海辺にもあるんだ…どっちが涼しいのかなぁ?」
真姫「昼間は山ね。海辺のほうは周りに陽射しを遮るものがないから」
凛「なるほどにゃ。夜は海のほうが涼しいのー?」
真姫「ええ。カエルはあまりいないけど、かわりに波の音がするわよ」
花陽「海かぁ…いいなぁ。真姫ちゃんはサル島へ行ってきたんだよね?」
真姫「行ったけど…のんびり海を見てるヒマはなかったわよ。輸送機に乗って空から見た程度ね」
凛「それはそれで貴重な体験って気がするけどにゃ」
真姫「海か…いいかもね」
りんぱな「えっ」
真姫(とはいえ…期末テストが終わる前に行けるところは限られてるし。どうせ行くならサル島みたいに、海が綺麗なところがいいわ)
真姫「二人は先に帰ってて。悪いけど用事ができたわ」
花陽「う、うん…」
凛「もしかして…生徒会長さんとデート?」
真姫「なんで生徒会長なのよ。違うわよ」
花陽「デートは否定しないんだ…」
真姫「いや、それも違うから。…じゃあね」
スタスタ
花陽「でも、どうして生徒会長さんなの?」
凛「何となく…二人とも美人だからお似合いかにゃーって」
花陽「確かに…生徒会長さんって可愛いよね///」 【旧空き教室・コトリのアトリエ】
真姫「ことり先輩。いますか?」
ことり「いるよー。どうぞ♪」
ガララ ピシャ
真姫「何して…っ」クシュン
ことり「あんまり吸い込まないように気をつけて…遅かったかなぁ?」
真姫「な、なにこれ…何のスパイス?」
ことり「七味唐辛子ってあるでしょ。その七味の配合をいろいろ試してみてるの。ほら、生徒会長さんが今回の旅行でアフリカやインドのスパイスの効いた料理をいろいろ食べたって言ってたから」
真姫「つまり、通常七味唐辛子には入ってないスパイスを追加…っ」クシュン
ことり「うん。少し混ぜるだけでも風味って変わるし…どういう配合にしたら七味唐辛子の風味を保ちつつ新しいスパイスも追加できるかなって」
真姫「な、なるほど…そういえばことり先輩って、料理…っ」クシュン
ことり「そう。お料理研究部♪」
真姫「よくいろいろ掛け持ちしてますね…μ'sと料理研究部と、このアトリエも」
ことり「んー。まあお料理とか物作りは趣味だし…μ'sの衣装作るのも楽しいし♪」
真姫「ことり先輩は…何でも作れるんですよね?」
ことり「何でもってわけじゃないけど…作ってみたいなって思う物で、作れる物だったら」
真姫「たとえば…VRみたいな感じで、世界の海へ行く体験ができる物…とか、作れますか?」
ことり「んー」
真姫(…さすがに無理かしら?)
ことり「うん。できると思う♪」
真姫「ほ、本当に!?」
ことり「必要な材料さえ手に入れば…」
真姫「それって…たとえば、どんな物ですか?」
ことり「たとえば、モーリタニア産のタコが丸ごと一匹手に入ったとするでしょ」
真姫「ええ」
ことり「そしたら、そのタコの軟骨を材料に使えば…大西洋へ行けるよ♪」
真姫「本当に!?…ああっ、でもタコの軟骨なんてとっくに処分しちゃったわよ…」ガクッ
ことり「っていうか…全然驚かないんだね」
真姫「まあ…完成品を実際に使ってみたわけじゃないし」
ことり「そうじゃなくて…タコに軟骨があるって話」 『え?…アハハ。たこに骨なんてないよね?』
『こんな物が入ってるなんて…知りませんでした』
ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんは驚いてたのに」
真姫「いや、それくらい私は知ってたし…あれって厳密には骨じゃないけど」
ことり「まあ、ほかの材料を探せばいいんじゃないかな?…輸入された海産物の…魚の骨、甲殻類の殻、貝殻、サンゴとかあれば…」
真姫「なるほど。要するに実際に海にいた生き物の一部を材料に使うことで、その生き物が棲んでいた海へ行けるんですね?」
ことり「そういうこと♪」
真姫「それなら案外簡単かもね。じゃあ使えそうな材料、探してみます」
ことり「うん」
ガラッ ピシャ
ことり「さーて…じゃあ、調合の準備をしておこうっと♪」
【調理室】
真姫(手っ取り早く材料が手に入りそうなのは…ここよね)ガラッ
フミコ「ん?…あれっ、西木野さん」
真姫「お邪魔します…あの、先輩。今日は魚介類とか使いました?」
フミコ「魚介類?…ううん。今日はナスのグラタン」
真姫(グラタンか…エビやカニとかシーフードを使ってくれればいいのに)ガクッ
ミカ「すっごく美味しいよー!西木野さんも食べる?」
真姫「いや、せっかくだけど遠慮します…急ぐ用事があるので」
フミコ「そう…また来てね♪」
真姫「失礼しました」ピシャ
ミカ「西木野さん…急いでるならどうして調理室に寄ったのかなぁ?」
フミコ「さあ…?」
【廊下】
真姫(あとは…ヒデコ先輩が釣りをするけど、さすがに国内よね。かりに海外で釣りの経験があっても魚の骨をとっておくとは思えないし)
真姫(そうだ。園芸部なら…確か肥料に貝殻とか使ったりするって聞いたことがあるわ)
真姫(でも園芸部って活動してるのかしら…しまった、花陽がいるときに聞けばよかった) \アイシテル バンザーイ♪/
花陽「真姫ちゃん?…なに?」
『音ノ木坂の花壇って肥料に貝殻とか使ったりしてるの?』
花陽「えーと…どうだったかなぁ?…でも、どうして?」
『貝殻が残ってたら、その貝の産地を知りたいのよ。輸入だといいんだけど』
花陽「さすがに国産だったと思うよ。よく使われる貝殻ってカキとかでしょ。三陸や広島産が有名だし…殻つきなら尚更輸入ものってなかなか無いよね?」
『そうよね…ありがと』
【再び音ノ木坂】
真姫(あとは…あの人かしら)
コンコン
絵里「…誰?」
真姫「西木野真姫です」ガチャ
絵里「西木野さん。昨日は…というか一昨日もだけど。ありがとう」
真姫「別に…それより副会長は?」パタン
絵里「希なら帰ったわよ。神田明神にいるんじゃないかしら」
真姫「そうですか…ところで生徒会長」
絵里「なに?」
真姫「この間の旅行でタコ以外に何か海の物を持って帰ったりしてます?」
絵里「あるけど…どうして?」
真姫「本当ですか!?…それ、譲ってください!」
絵里「嫌よ。亜里沙との思い出の品物だし…輸送機の件は感謝してるけど、自分で採ってきて」
真姫「あ、そう…」シュン
絵里「一応訊くけど、どうしてそれが必要なの?」
真姫「どこか遠くの綺麗な海へ行きたいんです。そのためにそこで採れた物が必要なの」
絵里「よくわからないけど…何だか錬金術の材料集めみたいね」
真姫「まさにそれなんだけど…もしかして、ことり先輩に何か依頼したことあります?」
絵里「依頼というか、アトリエを作るのに少し協力したのよ」
真姫「生徒会のバックアップがあったんですか…」 【神田明神】
希「真姫ちゃん。どうしたん?」
真姫「副会長は、サル島から何か持って帰ったりしてます?」
希「ううん。エリちのおみやげの火山の石を貰っただけだよ」
真姫「そうですか…じゃあ、最近何か輸入の海産物を使ったりしてませんか?」
希「んー。冷凍食品のエビピラフくらいかな?」
真姫「それは確かに輸入のエビだろうけど…殻がついてないし」ガクッ
希「殻?…殻つきのエビが食べたかったん?」
真姫「いや、別に食べたいわけじゃないですけど…」
希「ウチは結構手抜きしちゃってるからなぁ…ちゃんとした料理やったら、にこっちのほうが得意かもね」
真姫「にこ先輩か…」
【矢澤家】
ここあ「なにつくるのー?」
にこ「ふふふ…これ、なーんだ?」
こころ「たこやきプレートですね」
ここあ「たこやきー?」キャッキャ
にこ「たこだけじゃなく好きな物をいろいろ入れていいわよ」
ここあ「チョコ!」
にこ「んー、まあ生地を変えて甘い物に合うように作ればそれもありね」
こころ「お野菜はどうですか?ブロッコリーとか…」
にこ「悪くないわね。先にゆでておきましょ」 \アイセー♪/
ここあ「でんわ!」
こころ「しーっ。静かに…」
にこ「…なに?今忙しいんだけど」
『輸入の海産物を使ってるでしょ?』
にこ「は、はぁ?…使ってたら何だっていうのよ」
『ちなみに何を使ってる?』
にこ「たこ焼き用のタコ。あと冷凍のシーフードミックスね」
『タコの産地は?』
にこ「インドネシアだけど」
ここあ「インドぞう!」
こころ「インドではなくインドネシアですよ」
ここあ「インドネシアってどこー?」
こころ「東南アジアの島国です。ニューギニア島、カリマンタン島、スマトラ島、スラウェシ島、ジャワ島の五つの島と、その周辺にたくさんある小さな島ですね」
『インドネシアか…バリ島やギリ島とかあるし悪くはないわね』
にこ「何の話よ?」
ここあ「とうなん…どろぼう?」ギュ
にこ「その盗難じゃないわよ。東と南って書いて東南」
ここあ「ここあ、トーホクならわかるよ!りんご、おこめ、ぎゅうにく!」
にこ「はいはい」ナデナデ
ここあ「えへー♪」キャッキャ
『そのタコの軟骨、捨てないでとっておいてくれない?』
にこ「軟骨?そんなもん無いわよ。たこ焼き用だっつってんでしょ。カットしてあるタコよ」
『あ、そう…』ガクッ
にこ「もう切るわよ。じゃあね」
ここあ「なんこつってなにー?とんこつ?」
こころ「柔らかい骨のことですよ。ほら、お母さまが食べてた焼鳥の白いコリコリしたのがそれです」
ここあ「おかあさんの、ビールのおつまみ!」 【神田明神】
希「タコの軟骨なんてどうするつもりやったん?」
真姫「ちょっとね。あるものを作るために必要なんです」
希「ふーん?…薬品の研究か何か?」
真姫「こうなったら、μ'sのメンバーを片っ端から当たるわよ!」ダッ
希「普通にお店で買えば…行っちゃった」
タタタ…
【園田家】
海未「真姫が訪ねてくるなんて珍しいですね。新曲の相談ですか?」
真姫「相談っていうか、曲作りのヒントを探してるんです。夏を意識した曲を作りたいんだけど…」
海未「なるほど…では私もその方向性で考えてみましょう」
真姫「それで、輸入の海産物って何かありませんか!?」
海未「海産物?…いえ、うちで使っているのは基本的にすべて国産ですよ。強いていえば、沖縄県産の“もずく”が最も遠い産地ですね」
真姫「沖縄!そっか、海外じゃなくても海が綺麗だからいいわね。もずく、少し分けてもらえませんか?」
海未「いえ、使いきったので今はありませんが…」
真姫「あ、そう…」ガクッ
【穂むら】
穂乃果「海産物って言われても…うちは和菓子屋だし」
雪穂「寒天があるじゃん」
ほのまき「!」
真姫「そうか、寒天の原料は海藻…!」
穂乃果「なるほど。確かにそれならいっぱいあるね♪」
真姫「ちなみに産地は?」
ほの母「もちろん国産100%よ♪」
真姫「ですよねー」ガクッ
【南家】
理事長「私のおつまみの“あたりめ”ならあるけど…」
『そのイカって産地は?』
理事長「函館って書いてあるわね」 【小泉家】
花陽「ど、どうしたの?」
真姫「輸入の海産物を使ってない!?」
花陽「輸入…何かあったかなぁ?」
花陽ママ「韓国のりがあるわよー」
花陽「ああ、韓国のり!ごはんに合うんだよね♪」
真姫「韓国…なら日本の海と大差ないわね」ガクッ
【星空家】
真姫「凛!もうあなただけが頼りなのよ」
凛「えー?照れるにゃ///」ポ
真姫「いや、そういうことじゃなくて…何か輸入の海産物を使ってない?」
凛「そう言われても…凛、お魚はキライだし」
真姫「そんなのわかってるわよ。魚以外にもいろいろあるでしょ。エビ、カニ、貝とか…」
凛ママ「ごはん食べてく?今日はしじみのお味噌汁よ♪」
真姫「しじみ…」ガクッ
凛ママ「あ、あれ?…しじみ苦手だった?」
真姫「いや、そんなことないです…お邪魔しました」
【西木野邸】
真姫「ただいま…」
真姫ママ「おかえりなさい。真姫ちゃん…テストの日なのに遅かったのね?」
真姫「ちょっと寄り道してて…」
真姫ママ「タルトちゃんが寂しそうにしてたから、水槽をきれいにしてお水を替えておいたわよ♪」
真姫「ありがと。…エサはあげた?」
真姫ママ「食べ残すとまた水が汚れちゃうと思って…とりあえず干しエビだけ」
真姫「そ」
パタン 真姫(ミシシッピアカミミガメ…名前はタルト)
カメ「?」スイー
真姫「…まだ食べるかしら?」カポ
カメ「!」ガサガサ
真姫(食べ物が入ってる容器を覚えてるのか、音がすると凄い勢いで寄ってくる)クス
真姫(カメも甲羅の脱皮を繰り返すから殻がたくさん出るけど…ミシシッピアカミミガメは淡水ガメだから海は関係ないわよね)
パラパラ
カメ「♪」パク
真姫(このエビみたいなのは実際にはオキアミの一種だけど、これはペットフードや釣りエサじゃなく普通に食品売り場にある乾物だから私も食べられる)パク
真姫(栄養はあるし、味も悪くない)シャリシャリ
真姫「ん?…オキアミ…これも海産物だわ!」
真姫「…三陸産」ガクッ
真姫(まあ…海外から来るのは南極海と、中国や台湾くらいよね…)
真姫(海外はあきらめて日本の海で妥協するべき?…でも、それならわざわざことり先輩に作ってもらう必要がないような気もする)
『…そっか』
真姫「すみません…材料、何も用意できなくて」
『いいよ。材料は私が何とかするから。明日もアトリエに来てくれる?』
真姫「は、はい。…でも」
『大丈夫だよ。私にまかせて♪』
【七月五日・音ノ木坂】
ことり「ふふふふん♪ふふん♪ふふふふふん♪」マゼマゼ
真姫「ことり先輩」ガラッ
ことり「いらっしゃい真姫ちゃん。今から仕上げに入るところだよ」
真姫「もう作ってるんだ…例の材料は?」
ことり「ふふふ。ちゃんとあるよ…じゃーん♪」ガサ
真姫「それって…塩?」
ことり「はっかったっの↑しお↓」バサー
真姫「確かに塩も海産物だけど…あ」
ことり「そう。伯方の塩って、メキシコのバハカリフォルニアっていう世界自然遺産にもなってる、とっても綺麗な海で採れるんだよ♪」
※オーストラリア産も使用
真姫「な、なるほど…それなら最高の素材ね」 キラキラ
ことり「できた♪」
真姫「…香水かアロマオイル?」
ことり「海の塩を使ってるから、成分は海水に近いんだけどね。これは“音”に反応するの」
真姫「音…?」
ことり「そう。歌とか…真姫ちゃんならピアノかな?」
真姫「塩に音がわかるっていうの?生き物ならともかく…」
ことり「海だっていろんな音がするでしょ?…その音には意味がないと思う?」
真姫「うーん…波音に価値を見いだすのは人間だけじゃないの?」
ことり「そんなことないよ。海で生まれた生き物だって、ちゃんとわかるんだから」
真姫(とは言っても塩は生き物じゃないし…海の音だって誰かが考えて作ってるわけじゃないと思うけど)
ことり「とにかく、これを香水みたいにひと吹きかけて、ピアノを弾いてみて♪」
【音楽室】
真姫(こんなの…本当に効くのかしら?)シュッ
真姫(世界遺産の海…メキシコ・バハカリフォルニア。まだ皆が知らない世界へ。きらめく小さな結晶が生まれた、遥かな故郷へ)
タタン タタタタタタン
真姫(静かな波音と…時々海鳥の声も聞こえて)
ブクブク…
真姫「!?」
真姫「な、なにこれ…幻覚!?」
真姫(音楽室が海水で満たされて…ううん、もうここは海の中だわ。足がつかない…)ユラユラ
真姫「す、すごい…魚とか見えるし」 花陽「静かな海だなぁ…」ユラユラ
真姫「あっ、花陽!」
花陽「私はハナギンチャクだよ」
真姫「ハナギンチャクって、イソギンチャクみたいな生き物?」
花陽「ちょっと違うかな…私たちは海底の砂地に穴を掘って棲んでるの」
真姫「ふーん…綺麗ね」
花陽「あ、ありがと…でも触っちゃダメだよ。触手には猛毒があるから…」
真姫「そこはイソギンチャクと同じね」
花陽「青酸カリの8000倍といわれる猛毒、パナトキシンだよ!」
真姫「いや、パリトキシンでしょ?」
まきぱな「…」ユラユラ
にこ「にっかにっかにー!」
真姫「あ、カニがいる」
にこ「そこの真姫貝とハナヨギンチャク!」
真姫「誰が貝よ」
花陽「な、なに?」
にこ「あんたの巣穴に隠れさせてもらうわよ!」
花陽「えぇ!?…そ、そんな」
にこ「ほら、さっさとどきなさい。ぼやぼやしてると触手をハサミでちょん切っちゃうから!」
花陽「ピャァ!?…た、タスケテ」ユラユラ
真姫「ちょっと。そんな言い方ないんじゃない?…いったい何から隠れようっていうのよ?」
にこ「あいつが来るのよ…鋭い歯で何でも噛み砕く凶暴な…」
凛「星空にゃ!」スイー
にこ「で、出たわね…ネコザメ!」
真姫「なるほど。ネコザメならカニくらい殻ごとバリバリ食べちゃうわよね」
花陽「で、でもそれなら真姫貝ちゃんも食べられちゃうんじゃ…」
凛「んー。凛は貝よりカニさんがいいにゃ。ラーメンにも合うし♪」
真姫「…って言ってるけど?」
にこ「フン…巣穴に入ればこっちのものよ!」ゴソゴソ
花陽「私の巣穴なのに…」 凛「まあいいにゃ。巣穴の前でカニさんが出てくるのを待ってよーっと♪」
にこ「ぐぬぬぬぬ…これじゃ巣穴から出られないじゃない!」
真姫「凛ってほかに好きな物はないわけ?」
凛「凛はラーメンが一番好きだよ♪」
真姫「ネコザメなのに?」
花陽「海の中でラーメンはちょっと…せっかく綺麗な海がスープの油で汚れちゃう」
凛「海水には塩味がついてるし…海水で麺をゆでれば塩ラーメンにゃ!」
にこまきぱな「えぇ…」
「…あなたは」
にこまきりんぱな「えっ」
海未「あなたは海底です!」
にこ「当たり前よ。カニの足は何のためにあると思ってんの。海底に棲んでるから歩けるのよ」
凛「凛も海底に棲む生き物を食べるために海底にいるにゃ」
花陽「私も砂地に穴を掘って棲むためには海底じゃないと…」
真姫「っていうか、大きな…カメ?」
海未「アオウミガメですよ。雑食ですが生き物を食べるのはほとんど子ガメのときだけで、大きくなったら海藻を主食としています」
凛「な、なーんだ…大きくても草食系のおとなしいカメさんなんだにゃ」
海未「さ、にこと真姫は私の背中に乗ってください」
にこまき「えっ」
海未「ここに居ては凛に食べられてしまいますよ」
凛「えー!?アオ海未ガメさんは草食系なのにどーして凛の食糧を横取りするの!?><」
海未「凛はラーメンが好きだと言ってたじゃないですか」
凛「それもそうだにゃ…じゃあ別にいいや♪」
花陽「でも、凛ちゃんがラーメンしか食べないんだったら真姫ちゃんたちを連れて行く必要もないんじゃ…?」
海未「それもそうですね…」
うみにこまきりんぱな「…」
真姫「生き物を追いかけ回すなんてやめましょうよ。せっかく綺麗な海なんだから」
花陽「そうだね…のんびり過ごしたいなぁ」ユラユラ
凛「のんびりするにゃー」スイー
にこ「平和ねー」 真姫「海未先輩」ギュ
海未「な、なんですか?」
真姫「一度ウミガメに抱きついてみたかったのよ。小さい頃からの憧れっていうか…アオウミガメってすごく大きいでしょ」
海未「そ、そんなにくっつかなくても///」
にこ「確かに貝ってひっつく力が凄いわよね」
花陽「う、うん。岩とかにたくさんくっついてるよね」
凛「ウミガメさんの甲羅にはフジツボとかついてそうだよねー♪」
真姫「そんなことないわよ。スベスベできれいな甲羅でしょ♪」ギュー
海未「真姫///」ドキドキ
真姫「…」スー
花陽「真姫ちゃん?」
凛「寝ちゃってるにゃ」
にこ「こうしてると年相応って感じね」
海未「そうですね…」ナデナデ
真姫「…」スヤスヤ
「ちゃん…真姫ちゃん」
真姫「ん…まだ水はきれいよ…エビだけあげれば…」ムニャムニャ
「えび?…なに言ってるの真姫ちゃん。起きてよー」ツンツン
真姫「もう…今度は何よ…魚?」
「魚じゃないよ。穂乃果だよ!」ペチペチ
真姫「穂乃果…先輩?」パチ
穂乃果「真姫ちゃんが居眠りしてるなんて…どうしたの?」
真姫「ここ、音楽室…いつの間に寝てたのかしら」ファー
穂乃果「ピアノに抱きついて寝てるなんて…よっぽどピアノが好きなんだね」クス
真姫「い、いや…夢の中でアオウミガメが…」
穂乃果「アオウミガメ?」
真姫(海水の小瓶は…ちゃんとあるわね。これを使ってピアノを弾くだけで、バハカリフォルニアの海へ行ける。夢を見てるみたいだけど…) 【コトリのアトリエ】
ことり「どうだった?」
真姫「すごいわね。本当に海の中を漂ってるみたいな…見たこともない綺麗な海底の景色が見えたわ」
ことり「そっか。うまくいってよかったぁ♪」
真姫「でもこれ、大丈夫なんですか?…使いすぎたらヤバいことになったりしない?」
ことり「さっきも言ったけど、基本的には海水に限りなく近い成分だから…ただ、海水に含まれる塩が海にあったとき…実質海水そのものが見た景色を再現してるだけなの」
真姫「材料が生き物だった場合はどうなるの?」
ことり「サンゴや海藻ならあまり自由に動けないかもね。カジキとかならものすごく速く泳げるはずだよ」
真姫「なるほど。材料になったものの特徴が反映されるわけね」
真姫(結構面白いから…家に帰ったらもう一度試してみようかしら)
海未「真姫」
真姫「海未先輩?…何ですか?」
海未「えーと…たまには一緒に帰りませんか」
真姫「はあ。…いいけど」
真姫(ことり先輩と穂乃果先輩もまだいたのに…どうして私に声をかけたのかしら?)
海未「曲作りはどうですか?進んでいますか?」
真姫「まだ…だけど、うまくいきそうよ」
海未「そうですか。それは良かったです…」
うみまき「…」
真姫(変な感じね。…なぜか海未先輩を見てると背中に抱きつきたくなるっていうか)
海未「変な話なんですけど…」
真姫「変な話?」
海未「弓をひく時、普段は心を無にして集中するのですが」
真姫「ええ」
海未「なぜか…見たこともない海の中のような景色が見えたんです」
真姫「え!?…海未先輩も使ったんですか?」
海未「使った?」 真姫「ことり先輩が作った、海水…みたいなもの」
海未「…伯方の塩を使った物だとかで…気持ちが落ち着くというので」
真姫「じゃあ、海未先輩も依頼してたんですか?ことり先輩に…」
海未「いえ、私は特に何も…ことりがくれたんですよ。試作品だと言って」
真姫(でも、あれって音に反応するはずじゃ…まさか、弓矢の音で?)
海未「そ、それで…真姫が…その」
真姫「はい?」
『海未先輩』ギュ
『抱きついてみたかったのよ。小さい頃からの憧れっていうか…』
海未「な、なんでもありません///」
真姫「はあ?」
【西木野邸】
真姫(バハカリフォルニアの海のイメージが私の中にある…もう少しで曲ができそうだけど)シュッ
タタン タタタタタタン♪
真姫(もう一度…あの海へ!)
ブクブク…
真姫(体が浮くような感覚…やっぱり海水のイメージなのね)ユラユラ
「ちゅんちゅん!」
真姫「えっ…スズメ?」
ことり「ちゅんちゅん♪」スイー
真姫「ことり先輩…何してるの?」
ことり「私はミナミイソスズメダイだよ♪」
真姫「長い名前…の割には小さくて地味な魚ね」
ことり「海がとってもキレイだから、この色でも目立つんじゃないかなぁ?」
真姫「そうかも…昼間はね」
絵里「その程度で目立つですって?…素人にしか見えない」フッ
真姫「うわ、派手な色…生徒会長?」
絵里「私はフリエリチカウミウシよ」
ことり「それを言うならフリエリイボウミウシじゃ…」
真姫「また長い名前ね」
ことり「静かで綺麗な海だけど、そんな目立つ姿をしてたら…」 「がおーっ!!」
ことえりまき「」ビクッ
絵里「さ、サメ!?」ビクビク
穂乃果「その通り!ホノジロザメだよっ!」
ことり「穂乃果ちゃんはサメなんだ…すごく大きいね」
穂乃果「ふっふっふ…さーて、誰から食べちゃおっかなぁー?」
絵里「わ、私は美味しくないわよ。ウミウシだから…魚や真姫貝のほうが美味しいでしょ?」
真姫「ヴェぇ!?…ホオジロザメは貝なんて食べないでしょ!?ネコザメじゃないんだから…」
穂乃果「じゃあ…やっぱり体が柔らかくて美味しそうなことりちゃんかな?」ニヤリ
ことり「穂乃果ちゃん…私を食べちゃうの?」フルフル
真姫「ハナヨギンチャクの巣穴に逃げ込めば…と思ったけど、見当たらないわね」ヒヤアセ
穂乃果「もう逃げられないよっ。いただきま」
「あかーん!」
ことほのえりまき「!」
絵里「希!助けに来てくれたの?」
希「ウチはノゾミザメや!」
ことり「のぞみざめ?」
真姫「もしかして…ネズミザメ?」
穂乃果「なーんだ。ネズミザメなら私の敵じゃないよ。なんたって大きさが倍くらい違うし」フッ
希「あれ、穂乃果ちゃんは知らない?ネズミザメは小さくても凶暴なんよ♪」
穂乃果「副会長さん…私の獲物を横取りする気ですか?」
ことり「ほ、ホノカチャーン…」
絵里「ちょ、ちょっと待って。希は私たちを助けに来てくれたんじゃないの?」
希「え?…うーん。でもウチは凶暴なノゾミザメやし」
ことり「穂乃果ちゃんは肉食系じゃないよね?いちごが好きなんでしょ?」
穂乃果「もちろん!でも今はイチゴの季節じゃないし」
真姫「パンは!?パンも好きでしょ確か」
穂乃果「んー。でも海の中にパンはないよね?」
絵里「あ、あるわよ!」
穂乃果「えー?うそだぁ」 絵里「知らないの?海にはスカシカシパンがいるのよ」
穂乃果「すかし…菓子パン?」
真姫「そ、そうそう。すごく美味しい菓子パンなのよ!」
穂乃果「へー」
花陽「…よいしょ」ペタン
真姫「花陽?…あれ、その姿は…ハナギンチャクじゃないの?」
花陽「スカシカコパンです!」
希「ちょっと無理があるんやない?」
穂乃果「変な形だね…でも美味しいのかな?」ワクワク
花陽「ピャァ!?…さ、サメ」ガクブル
穂乃果「たべちゃうぞー!」ガオー
真姫「に、逃げるわよ花陽!」
花陽「サメって泳ぐの速いし…無理だよぉ><」
真姫「だったら、そのへんのサンゴの隙間とかに隠れるのよ!相手はあんなに大きいんだから」
希「フフフ…ウチもいることを忘れたらアカンよ?」ギラリ
ことり「ひいっ!?」
絵里「前にも後ろにもサメ…」アワワワ
穂乃果「それじゃあ、今度こそ…いただきまーす♪」ガバッ
花陽「…だ」
\ダレカタスケテー!/
うみにこりん「チョットマッテテー」
バーン
真姫「はっ!?」ビクッ
真姫(…ま、また眠ってたみたいね。バハカリフォルニアの海にサメなんて…出るのかしら?)
真姫(でも…不思議。知らない海の中なのに、いつものみんながいる気がして…)
真姫(そこは、きっと…ワンダーゾーン)
ポロロン♪
真姫ママ「真姫ちゃん?…お風呂入らないの?」
真姫「ん。あと少し…もう一曲できそうだから」
真姫ママ「そう…頑張ってね♪」 真姫(たとえば同じ海に棲んでる、同じ親から生まれたカニだったとしても…どこで水揚げされるかで何々ガニとか違う名前で呼ばれたりするけど)
『インドネシアだけど』
『うちで使っているのは基本的にすべて国産ですよ』
真姫(でも…世界の海は繋がっていて。それぞれの場所で精一杯生きてる。国産だとか輸入だとか、ブランドなんて生き物たちには関係ない)
真姫「できた!」
【七月六日・音ノ木坂】
ことり「私たちの…新しい曲?」
海未「完成したんですね!?」
真姫「ええ。新たに二曲!」
ことり「穂乃果ちゃんたち、呼ばなくていいの?」
真姫「いや、あんまり人数が多いのも、やりにくいっていうか…」
海未「でも、いずれ七人で歌うんですよね?」
真姫「わ、わかってるわよ…とにかく聴いて!」ポロロン♪
ことり「あ、そうだ。海水」
海未「今はやめておきましょう…」
ことり「海っぽい…かなぁ?」
海未「でも、いいと思います…実は私も」
真姫「え?…もしかして」
海未「幾つか歌詞を書いてみたんです。曲にあわせて調整すれば…」
『見たこともない海の中のような景色が見えたんです』
真姫(世界の海が繋がっているように…っていうのは大袈裟かもしれないけど。きっと、私たちも…)
おわり おつおつ
海未ちゃん勘違いさせたままだけど後のうみまきフラグかな?
てか伯方の塩って国産じゃなかったのか… おつ
コトリのアトリエシリーズだけまとめて読みたい
よかったらまとめて ※関連スレ
英玲奈「コトリのアトリエ?」あんじゅ「十一月」希「二十六日は」ツバサ「いいチームの日?」ことり「いい風呂の日♪」
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1480150308/ ※関連スレ(コトリのアトリエ)
ことり「6月24日は」希「UFO記念日♪」穂乃果「毎月25日は」海未「プリンの日!?」ドキドキ
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1498293979/1-23 乱立するのやめてもらえる?はっきり言って迷惑だよ
お前がやってる事は地震なしと変わらないよ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています