【SS】ことり 「糸」 [無断転載禁止]©2ch.net
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〜学校〜
ことり 「うぇぇんっ! 決まらないよぉ!」
海未 「次のライブの衣装、相当行き詰まっているようですね」
ことり 「ごめんね、もう曲も出来てるのに…」
海未 「いえ、急かすつもりはありませんから、ゆっくり考えてください」
穂乃果 「でも珍しいね、ことりちゃんが衣装作りでこんなに悩むなんて」
ことり 「うん…どうしてもみんなを、出来る限り可愛く見せたくて。妥協したくなくて」 海未 「私は衣装について何も心得はありませんが…一度、素材から決めてみてはどうでしょう?」
ことり 「素材?」
穂乃果 「そうだよ! どんな形にするかじゃなくて、何で作るかから考えたら、なにか新しい考えが浮かぶかも!」
ことり 「うーん…じゃあ、行きつけのお店に行ってみようかな」
穂乃果 「私は今日お店の手伝いで一緒に行けないんだけど…ごめんね」
ことり 「ううん、大丈夫。1人で行くから」
海未 「ことり、お願いしますね」
ことり 「うん、任せて! 絶対みんなをもっと可愛くできる衣装を作るから!」
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ーー 〜手芸店〜
ことり 「うーん…素材とはいっても、いつもこの生地を使ってるし… ん?」
ことり 「何これ…“魔法の毛糸” ?」
店長 「安直なネーミングだと思うだろう?」
ことり 「あっ、店長さん!」
店長 「でもねぇこの毛糸すごいんだ。この毛糸で出来たものを身につけていると、不思議と力が湧いてくるんだ」
ことり 「力が湧く…?」 店長 「そうそう。元気になる、と言った方が分かりやすいかな? 衣装に使ってあげたら、みんなももっと楽しく踊れるんじゃないかなぁ?」
ことり 「でも、毛糸で衣装はちょっと…」
店長 「なに、全体を毛糸で作らなくても、ワンポイントで使えばいぃよ。私のエプロンについてるこのアクセサリーも、この毛糸で作ったんだよ」
ことり 「わぁ、可愛い! ワンポイントかぁ…」
ことり 「……店長さん! これ、4つください!」
店長 「まいどありぃ」
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ーー 〜ことりの部屋〜
ことり 「そうだ、衣装の袖に、みんなちょっとずつ違うアクセサリーをつけよう! これをこうして…」
ことり 「…すごい、本当に次々とアイデアが! 海未ちゃんと穂乃果ちゃんのお陰だよぉ!」
ことり 「…あっ、どうしよう。アクセサリー、8人分しか作れなかった…。お金もギリギリだし、どうしよう」
ことり 「しょうがない、私以外の8人につけてあげよう! みんなを可愛くするのが私の仕事だもん!」
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ーー 〜ライブ当日〜
絵里 「ハラショー! この衣装、すごく可愛いわ!」
穂乃果 「それにこのアクセサリーも可愛い!」
花陽 「あれ? ことりちゃんには付いてないね?」
ことり 「うん、材料、ギリギリ足りなくて…」
海未 「これは毛糸ですね。言ってくれれば私も買いましたのに」
ことり 「ううん、これ特別なやつで、ちょっと高いんだ」
凛 「特別?」 ことり 「これ、魔法の毛糸なんだ。これで出来たものを付けてると、元気が出るんだって!」
希 「へぇ、スピリチュアルやね」
穂乃果 「でも確かに、いつも以上に元気が出るよ!」
にこ 「あんたはいつでも元気じゃない…」
穂乃果 「えへへ…よーし、じゃあ行くよ!」
「μ's!!」
「ミュージックー! スタートーっ!!」
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ーー 〜次の日〜
穂乃果 「ことりちゃん、おはよう!」
ことり 「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、おはよう」
海未 「おはようございます。ことり、見てください!」
ことり 「…? あっ、そのカバンについてるの!」
穂乃果 「そう! 昨日ことりちゃんが作ってくれた衣装についてたアクセサリー!」
海未 「可愛くて、ついカバンに付けてしまったんです。すいません、勝手に…」
ことり 「ううん、いいの! ありがとう2人とも!」 穂乃果 「でもこれをつけてると、本当に元気が湧いてくるんだぁ」
海未 「えぇ本当に。すごいですねぇこれ」
ことり 「えへへ…魔法の力が効いてるのかな?」
穂乃果 「きっとそうだよ! …でさ、ことりちゃん、お願いがあるんだけどぉ」
ことり 「何?」
穂乃果 「あの毛糸で、服作って欲しいんだ。もっとあの毛糸でできたもの、身につけていたくて」
ことり 「えっ!? うん、それはいいけど…」
海未 「あ、私もお願ぃできませんか? 材料費は私が出しますので…」
ことり 「う、うん。分かった…」
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ーー 〜数日後 学校〜
ことり 「2人とも、はいこれ」
穂乃果 「あっ、あの毛糸でできた服! ありがとぅことりちゃん!!」
海未 「ありがとぅございます、ことり!」
ことり 「えへへ、そんなに喜んでくれると、私も嬉しいよ」
穂乃果 「よーし、えーいっ!」バサーッ!
ことり 「ほ、穂乃果ちゃん!? いくら女子校だからって、いきなり脱ぐのは…!」
穂乃果 「だってすぐ着たいんだもぉん!」
海未 「わ、私だって!」バサーッ!
ことり 「う、海未ちゃん!?」 穂乃果 「うーん、いい着心地! さすがことりちゃぁん!」
海未 「えぇ、すごぃですよこれ。本当にありがとうございます!」
ことり 「う、うん…」
先生 「こぉらっ!! 高坂、園田ぁっ!? お前ら何してんだ!?」
穂乃果 「うわぁっ!? 先生!」
ことり 「学校なんかで着るから…もう」
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ーー 〜下校中〜
穂乃果 「なにもあんなに怒ることないよねぇ、もう!」
海未 「本当です! 折角ことりが作ってくれたというのに!」
ことり 「…ねぇ、2人とも、何かおかしいよ…」
穂乃果 「………なにがぁ?」
海未 「そうですよぉ、私たちは何も変ではありませんよぉ」
ことり 「……。」
穂乃果 「…! そうだ、海未ちゃん!」 穂乃果 「私、いいこと思いついちゃった! ねぇねぇ、耳かして!」
海未 「…ふむふむ。 …それはいぃ考えですね穂乃果! 明日早速実行しましょう!」
穂乃果 「えへへぇ、明日が楽しみだねぇ」
ことり 「2人とも…」
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ーー 〜翌朝〜
ことり 「おはよー、2人…と………も…?」
穂乃果 「あっ、おはよ!」
海未 「おはようございます」
ことり 「な、何その格好!?」
穂乃果 「何って、昨日ことりちゃんがくれた服だよ?」
ことり 「それは見ればわかるよ! でも今から学校行くのに!」
海未 「昨日、この服を着たら怒られたでしょう? なら、最初から着ていけばいいかと」
ことり 「そんなことないよ! 制服は? 制服はどうしたの!?」
穂乃果 「あぁー…」 穂乃果 「あんな気持ち悪いの、捨てちゃった」
ことり 「……へ?」
海未 「穂乃果もでしたか。実は私も、今朝ゴミに出してしまいました」
ことり 「…何、言ってるの…?」
穂乃果 「ねぇことりちゃん、今度あの毛糸でスカートも作ってよ! 今このスカートでさえ着たくないの!」
ことり 「……変だよ、2人とも」
穂乃果 「……別にぃ、変じゃないよねぇ」
海未 「えぇ、私達はぁなんとも?」
ことり 「……!」 ことり 「あの、ゴミ袋って…」
穂乃果 「あぁ、穂乃果のだよぉ?」
ことり 「少し見えてるあれって…この前の、衣装……!」
ことり 「穂乃果ちゃんっ! 部屋に入れてっ!」
穂乃果 「ど、どうしたの急に…!」
ことり 「いいから早くっ!!」
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ーー 〜穂乃果の部屋〜
ことり 「ない……ないないないっ! ないよぉっ!!」
海未 「穂乃果、ことりは何をぁんなに泣いてぃるのですか?」
穂乃果 「さぁ…?」
ことり 「……ねぇ、2人とも。初めてのライブのこと、覚えてる?」
海未 「勿論、忘れるはずがありません」
穂乃果 「あの時は3人だったけど、今ではこんなに仲間ができて…幸せだよ」
ことり 「……あの時の衣装、どこにやったの?」
穂乃果 「あぁ…あれかぁ」 穂乃果 「捨てたよ。だって毛糸でできてないんだもん」
ことり 「…ッ!?」
海未 「実は私もです。ぁんな気持ち悪い素材で出来たもの、部屋に置いておきたくなくて」
ことり 「うっ…うぅっ……!」
ことり 「うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」ダッ!
穂乃果 「あっ、どこいくの!?」
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ーー 〜手芸店〜
ことり 「な、何これ…!」
店長 「凄ぃだろぅ、この品揃え」
ことり 「て、店長さん…」
店長 「最近、あの毛糸以外の売れ行きが悪くてねぇ…私もあの毛糸以外を店に置きたく無くなってねぇ」
店長 「店の中ぜぇんぶっ! 魔法の毛糸にしたんだよぉっ!!」
ことり 「………返してよ」
店長 「んん? どうしたのぉ、ことりちゃぁん」
ことり 「返してよぉっ!!」ガッ!
店長 「うわぁっ…!」 ことり 「返してよ…2人とも、あの毛糸のせいでおかしくなって…! 2人を返してよぉっ!!」
店長 「あはは…私にはぁどうしようにも…」
ことり 「それに何…その喋り方。穂乃果ちゃんも海未ちゃんも、そんな感じになってた…」
店長 「あははぁ…私にはぁ何もぉ……! あははははっ!!!」
ことり 「………っ! …行かなきゃ、みんなの所に!」
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ーー 〜部室〜
ことり 「みんなぁっ! ……っ!!!」
絵里 「あらぁ、ことり。見ぃてよ、この服」
にこ 「にこがぁ、全員分の服を作ったのよぉ。あの “魔法の毛糸” で」
希 「んふふぅ…スピリチュアルやぁね…」
ことり 「あ……ああああ…」
穂乃果 「あれ、ことりちゃん、先に来てたんだ」
ことり 「ーーー!!」ビクッ! 穂乃果 「ことりちゃんもぉ着よぅよぉ、この服」
凛 「にこちゃんがことりちゃぁんの分も編んでくれたにゃぁ…」ジリジリ
ことり 「嫌…来ないで…!」
にこ 「私の親切心をぉ、無駄にするつもりぃ?」
真姫 「ことぉりも着なさいよ。気持ちぃいわよこれぇ」
ことり 「嫌……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!」
ことり 「いやぁぁぁぁぁっ!!!!!」
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ーー 〜学校〜
先生 「おい南! なんだその格好、学校では制服で…」
ことり 「んもぅ…先生厳しぃですよぉ…」
先生 「な、なんだ南…その喋り方」
ことり 「あっ、そうだぁ」
ことり 「今度先生ぃにもぉ、編んでぁげますよ」
ーー
終 読んでいただき、ありがとうございました
SS祭り初日ということで、短めのお話を投下させていただきました
最近また特に暑いので、またホラーでも書こうと思います
過去作も宜しくお願いします
ことり 「悪魔のゲームソフト」
真姫 「歌に捧ぐ、私の未来」
千歌 「す、スクールアイドルが!?」 雪穂 「全国的に禁止!?」 たーーてのいとーはーあーなたーーー
よーーこのいとーーはーーわーーたしぃーーーーー スクールアイドル禁止のささかまだったか
涼し気な作品乙 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています