絵里「雨を我慢しなくちゃね」 [無断転載禁止]©2ch.net
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絵里「…………」
絵里「…………」
ガチャ
希「……おぅ、どうしたんえりち」
絵里「………雨」
希「雨?」
絵里「雨よ」 希「知っとるよー、見るからにそうやん」
絵里「………さっき調べたけど、1時間経ったら止むらしいわ」
希「それで、待っとるってわけや」
絵里「…そう。雨天中止でもうみんな帰っちゃったけど、折角すぐ止むなら残って屋上で個人練習したいなって思っただけ」
希「だから一人でたそがれてたわけや」
絵里「そんなたそがれてる様に見えた?」
希「一人でも練習したいなんて、えりちはお利口さんやねぇ」ナデナデ 絵里「……じゃあ、希は何しに来たのよ」
希「ん〜…………なんとなく」
絵里「なんとなくって…」
希「……でも、なんとなくでも部室に来たっていうことは……実はうちもえりちと同じやったんかもな」
絵里「…ふ〜ん」
希「偉いやろ?撫でて♡」
絵里「…………」ナデナデ
希「あーもうえりちパワーたっぷり注入はいぷしゅされた気分やん…」
絵里「………そう」 絵里「…………」
希「…………」
絵里「…………」
希「…………」
絵里「雨ね」
希「雨やねぇ」 希「……こう………こんな、雨の日やと……」
希「……ふと、あ、今哲学してた…って時あらへん?」
絵里「………どういうこと?」
希「…なんか、なんで雨降ってるんやろ、とか…」
絵里「梅雨だからでしょ?」
希「………神様が降らせてるんかなぁ、とか」
絵里「ただの気象の変動よ」
希「…はっ、これはもしかして神様の涙ちゃうやろかー、とか」
絵里「雲から落ちてくるのよ」
希「……ぷー、ロマンのかけらもあらへんなぁ、えりち」 絵里「…………」
希「…………」
希「……せや、えりちって、子供の頃は雨好きだった?」
絵里「……別に?」
希「うちな、昔から、なんとなぁ〜く…好きなんよ」
絵里「ふーん」
希「うちが落ち着く、っていうよりか、世界が落ち着いてるようで」
絵里「……」
希「外で元気に運動してた人も、一旦やめて、中に入って」
希「傘を差すか、レインコートを着るかしない限り、人は外から姿を消して」
希「……雨音だけの、静かな世界が出来上がる」
絵里「…………」 希「……そんな雨音をビージーエムに、ずっと本読んでた小学生時代。懐かしいなぁ〜…」
絵里「…………」
希「……な?」
絵里「……そうね」
希「なんよー、えりちの心ここに在らずって感じやね?」
絵里「……」
希「…………あ、」
希「ねむい?」
絵里「……すこし」
希「なんやー、邪魔したなぁえりち、それじゃうちも黙るし、ゆっくりおやす…」
凛「みんなげんきぃ〜〜!?!?!?」ガチャコーーン
希「……寝れへんみたいやね」 凛「あれ、希ちゃんと絵里ちゃんだけ」
希「みんな帰ったらしいよ、おねむなえりちによると」
絵里「………そう」
凛「あ、絵里ちゃん寝るところだったかにゃ?」
絵里「…はぁ、なんかもういいわ…」
希「えりちが折れた〜」
凛「じゃあ部室でもカンケーなくダンスの練習にゃ!!」
絵里「そ、それはやめて…」 絵里「…………」
希「…………」
凛「…………」
絵里「…………」
希「…………」
凛「…………」
絵里「雨ね」
希「雨やねぇ」
凛「雨にゃー」 凛「雨でも練習できるよ!」
絵里「ムチャ言わないでよ…」
希「滑って転んで頭ぶつけたら大変やん?」
凛「そっかー……」
凛「………じゃ、やっぱここで」
絵里「やめなさい…」 凛「勉強しないと駄目にゃ」
希「おっ、凛ちゃんらしくない発言やね〜」
凛「折角時間が空いたんだから、この時間くらい勉強しないと!」
絵里「凛がやるんだったら、やろうかしら」
凛「寝よ!!!」
希「意志弱いなぁ」 凛「あれ、てかなんで二人はここにいるにゃ?」
希「ふっふ〜、なんでやろなぁ?」
絵里「単純よ、雨が上がったら屋上で少しでも練習しよう、ってだけ」
凛「へー」
希「……凛ちゃんは、なんで来たん?」
凛「ヒマだから」
希「大体うちとおんなじや」 絵里「…………」
希「…………」
凛「…………」
絵里「…………」
希「…………」
凛「…………」
絵里「雨ね」
希「あっ!!」
凛「にゃ?」
希「もしや凛ちゃん、花陽ちゃんが今なんか他でしとるから、一人でここ来たんやろ」
凛「ぴんぽーん!!」 凛「かよちんは先生と面談中」
希「なるほどなぁ、どうしても一緒にいられへんから、ここに」
凛「うん!」
絵里「じゃ、雨やんだら、面談終わりの花陽も連れて屋上に行きましょうか」
凛「たぶん最終下校の時間まで面談続くと思うにゃー」
絵里「…そんな話すことある?」
凛「アノ先生のことだから、先生の方からずっと話し続けると思うにゃ」
希「…一昨日凛ちゃんが練習丸々休んだの、それが原因やったんやね」 希「凛ちゃんは、雨好き?」
凛「凛はかよちんといられればいつでもどこでも大好きな時間にゃ!」
希「わぁお、大胆な告白」
絵里「……今は花陽いないけど、この時間はどう?」
凛「絵里ちゃんも希ちゃんもいるから、サイコーに楽しい!」
希「ええこやなぁ」ナデナデ
絵里「その言葉を聞けて満足だわ」ナデナデ
凛「にゃー……♪」 絵里「…………」ナデナデ
希「…………」ナデナデ
凛「…………」ニャフフ
絵里「…………」ナデナデ
希「…………」ナデナデ
凛「…………」ニャッフッフー
絵里「あ」
希「あ」
凛「あ」
絵里「…………止んでるじゃない、知らない間に」 絵里「…30分で止んだじゃない」
希「早かったなぁ」
凛「屋上行こ!」
希「ん、行こか」
絵里「行きましょう」 希「なーなーえりち、なんでわざわざ今日練習しようと思ったん?」
凛「練習が楽しいから?」
絵里「それももちろんあるわ、でも……もっと大きな理由がある」
希「ノリで結局最後まで残ったこのうちも納得する理由?」
絵里「嫌だったら帰ればよかったじゃない…」
希「んーん?うちは練習が楽しいだけで十分!なー凛ちゃん?」
凛「ねー♪」
絵里「ふふふ………さ、扉開けるわよ」
「「は〜い」」
絵里「…………」ガチャ
絵里「……これが、私が今日練習したかった理由よ」 希「…………」
凛「…………」
希「…………」
凛「…………」
希「虹や……」
凛「虹にゃー……」 希「……ほー……」
凛「……にゃー……」
絵里「やっぱり。雨上がりの練習の時、丁度そこに虹がかかってるのを何回か見たの……誰も気付いてなかったけど」
希「……今日も掛かってるだろうから、って?」
絵里「そうよ」
希「…うちらが来なかったら、えりち一人きりで虹見てたはずや」
絵里「…そうよ」
希「え〜、なんで虹の事教えてくれへんかった〜ん?」
凛「そうにゃそうにゃ」
絵里「……なんか、…独り占めしたくなって」
絵里「……なんでだろ、空はみんなのものなのに……この虹だけ、私だけのものにしたかったの」
凛「ケチにゃー」
希「…突然ロマンチストになるえりちも好き♡」 絵里「…………」
希「…………」
凛「…………」
希「……虹ってなー…」
希「神様の喜びらしいんよ…」
絵里「…………ただの気象の変動よ」
希「………むー、やっぱりロマン分かってないやん……」
凛「ううん、やっぱり神様が喜んでるんだと思うよ?」
希「凛ちゃんは分かる子やねぇ」ナデナデ
凛「きっと、こんな日でもしっかり練習する凛達のことを褒めてくれてるんだにゃー」
絵里「……ふふ、それもそうかも」
希「きっと、そうやよ」
凛「きっと、そうだにゃー」 絵里「…………」
希「…………」
凛「…………」
絵里「そろそろ、練習始めましょう」
「「は〜い」」
END 改めて1さん代行ありがとうございました。
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