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題黄檗禮佛示榮衒徒 二首   黄檗ぶつをらいするに題して、栄衒の徒に示す 二首
禮佛家風眞作家        仏をらいす家風真のさっけ
作家汝榮衒誵訛        作家汝  のごうが、
奪食驅牛成伎倆        じきを奪ひ牛を駆って伎倆を成す
米錢名利賺過他          の  他をけん過す

くま訳
黄檗仏を礼す、と題して栄衒の徒に示す 二首
仏を礼拝することは、禅宗真の師家のならわしである。
師家、おぬしにとっては、名聞利養に邁進する輩のことか?いりくんで難しいのだ。
愚かしく駆けずり回り、飯を食う技を身に着ける 
食い扶持を稼ぎ、名利を追うために、人々をあざむき、ご機嫌取りをする者のことを師家というのか?

*誵訛(ごうが):聱訛とも書く。「いりくんで、むつかしきこと」をいう。
*栄衒徒:名聞利養に邁進する輩。53の詩参照(102・93)
*黄檗希運(おうばく きうん、-850年)唐代の禅僧。黄檗山黄檗寺を開創。臨済宗開祖の臨済義玄の師
*賺(けん):@すかす。だます。あざむく。 Aなだめすかす。きげんをとる。

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題黄檗禮佛示榮衒徒 二首
閻老面前尤苦哉        えん老  もっとも   かな
飯錢今日急環來        はんせんこんにち急に還しきたる
話頭古則商量價        わとうは    にあたひ
棒喝邪師度世財        棒喝は邪師どせいの財

くま訳
閻魔様の前に出でてから、苦しむのだ。
飯代を今日急に還しに来やがった。
古則話頭は売値つき、
棒喝も邪師にとっては、渡世の道具。それが栄衒の徒である。

(おまけである 黄檗禮佛)
黄檗参学の頃 鹽官斉安国師の会下で首座となる。時に、宣宗皇帝未だ位につかず、甥の武宗(会昌の廃
仏. 仏教弾圧を行った。95の詩 参)に逐はれ、香巌智閑禅師に就き沙彌(しゃみ:仏門にはいり、十戒
を受けた男子。 仏法に未熟な僧。)となり、鹽官の会下で書記となり、黄檗と連単なりき。 
宣宗が黄檗に尋ねた。

黄檗禮佛次 大中見而問曰      黄檗仏を礼する次で、大中見て問ふて曰く、
不著佛求 不著法求 不著衆求    仏について求めず、法について求めず、衆について求めず、
禮拝何所求             礼拝して何の求むる所ぞ、
檗云 不著佛求 不著法求 不著衆求 檗云く、仏について求めず、法について求めず、衆について求めず、
常禮如是              常に礼するかくの如し。 
大中云 作禮何為          大中云く、礼をなして何かせん。
檗便掌               檗すなわち掌す。
大中云大麁生            大中云く、大そ生。
檗云這裡什麼所在説麁説細又掌    檗云く、しゃりなんの所在ぞ、そと説き細と説くと云て又掌す

吉川宗玄和尚訳 (参)
仏を礼拝していると、書記の宣宗が来て尋ねました。「仏に執して求めることなく、法に執して求めること
なく、僧に執して求めることがないのなら、長老は何のために礼拝しているのですか。」
黄檗が云いました「仏に執して求めることなく、法に執して求めることなく、僧に執して求めることなく、
いつもこのように礼拝しているのだ。」
書記の宣宗が尋ねました「何の為に礼拝しているのですか」
このように尋ねると、黄檗はすかさず(宣宗を)平手打ちして言いました。「ここにどんなことがあって、
荒っぽいとか親切とかを言うのか。」

「あいうえお」おわりである。明日から「か」の詩である。
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