>>805
立派な師家一休さん(共時性)
76
示會裡徒 三首1/3 えりの徒に示す
樂中有苦一休門 楽中苦有り一休の門
箇箇蛙爭井底尊 個々ああらそふせい底の尊
晝夜在心元字脚 昼夜心におくげんじきゃく 
是非人我一生喧 是非にんが一生かまびすし

くま訳(以下同)
一休門下のみんなに示す
楽中苦有りが一休一門である。いつも楽しくやってるが、今日は苦言を呈するのである。
君達は、井戸の底で、誰が一番尊いかと下品に争っているカエルのようである。
昼夜、(文字、文章を心に置き、)観念に支配されているのである。
良いだの悪いだの、自我がどうだこうだと。年中やかましいのだ。

*cf)不苦不楽の中道:釈迦は苦行主義と快楽主義のいずれにも片寄らない、精神集中を内容とする八正道によっ
て悟りに到達したとされる。
*蛙:みだら。下品   
*元字脚:ここでは文字。文章のこと(cf40の詩ではでは「人」と、解した)
*人我: 人間の中にあり、その人間を根拠づけている究極的本質。仏教では否定される。

77 2/3
公案参來明歴歴    参じ来たって
胸襟勘破暗昏昏    かん破すればあん
怨憎致死難忘却 おん憎し死に到るまで忘却し難し
道伴忠言逆耳根 道伴の忠言じこんに逆らふ

独参して自信満々に見解をのべる。 (>>739 >>745 等)
思っていることを見抜き指摘すると暗く落ち込む。(>>754 等)
怨み憎む思いを死ぬまで忘れることができないであろう。それは、大なる苦である。
同じ道を歩む者としての、忠言も聞き入れようとしない。(>>779等)

*独参(どくさん):修行者一人一人が師家の前に行き、膝を付き合わせて自己の見解を述べ、批判をあおぎ、また師家と道力を戦わすところ

78 3/3
徒學得祖師言句 徒に祖師のごん句を学得して、
識情刀山牙剣樹 識情はとうざんげは剣樹
看看頻頻擧他非 看よ看よひんぴん他の非をこするを
啣血吹人其口汚 血を含んで人に噴く其の口汚る

無駄に祖師の言葉を学び
迷情による心の働きは、思いやりが一切無く、むごたらしい
見て、見てと、絶え間なく、他人の非をあげつらい
激情に駆られた言葉を人に吐きかける其の口は汚れているのだ。

*識情:事物を識別することと感情。総じて迷情による心のはたらきをさす。
*刀山剣樹 :思いやりが一切無いむごたらしい刑罰。または、酷く危険な境遇

うむ。一休門下の若者たちを、厳しく、愛情を持って指導しようとがんばる一休さんである。
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