>>716
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尺八
一枝尺八恨難任  いっしの 恨みたえがたし
吹入胡笳寒上吟  吹いてこかさいじょうの吟にいる
十字街頭誰氏曲 たが氏の曲ぞ
松林門下少知音   知いんまれなり

くま訳
尺八の悲哀のこもった音色は堪えがたい。
私も胡笳(こか)の曲を奏でる
街中で聞こえるのは誰の曲だろうか
禅宗には音楽が分かる人が少ない

くま超訳
仏法の話が聞こえる
私も、達磨さん、禪の話をする。
街中から聞こえるのは、誰の話だ。
禅宗門下には仏法を心から理解できる人は、少ない。

*達磨さんは 波斯国(ササン朝ペルシア)の胡人だったらしい) 少林寺で修行した。
*胡笳(こか):胡人が芦の葉を巻いて作った笛 木管ともいう
*知音:@心から理解すること。A心から理解し合っ友人のこと。心の通じ合った親友のこと。
*『胡笳の曲』はyoutyubeで聴けるのである。しみじみとするのである。
蓮如さんとかと、仏法談義をしてたのでありましょうかね。蓮如さんは一休より21歳年下の友でありました。

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新建立仏寺     新たに仏寺を建立す
一生破屋廃庵居         廃庵の居
這裏榮華也不虚  しゃり栄華また虚しからず
清浄佛寺利欲地   
楊岐屋壁古來疎  ようぎのおくへき古来疎なり        

新しい寺を建てるのだ。
一生あばら家に住むのだ。
現世の栄華もわるくはないが、
清浄な仏寺と、利欲の地は別なのだ。
とはいえ、臨済宗(楊岐派)の寺は、昔から屋根も壁も隙間だらけと決まっておるのだ。

*這裏:このうち。この間(かん)。

仏寺が報恩庵のことなら、63歳の頃でありましょう。現在の報恩庵は立派であります。
大徳寺再建のことなら、かなりの寄付を集めてたらしいので、立派なものであったでありましょう。

日本禅宗 24流のうち,20流は楊岐派に属する
正法眼蔵 行持 :楊岐(ヨウギ)乍(ハジ)めて住す、屋壁(オクヘキ)疎(オロソ)かなり。満牀(マンショウ)に尽く雪の珍珠(チンジュ)を撒(チ)らす。項(ウナジ)を縮却(シュクキャク)して暗に嗟嘘(サキョ)す。翻(カエ)って憶(オモ)ふ、古人(コジン)樹下に居せしことを。
「私が楊岐山にはじめて住してみると、屋根も壁も隙間だらけで、床一面に雪の粒が舞い散っていた。その有り様に、首を縮めて人知れずため息をついたものだが、返って昔の仏祖は樹下で修行をされたことを懐かしく思うのである。」と。
**テキストが3冊とも「利欲」となってるので、↑の様に訳したが、「離欲」の法がすっきりするような気がするのである。
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