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バガヴァッド・ギーター 第二章

悲しみに沈む彼に、クリシュナは、こう言った。

「この危急に際して、その女々しさは何か。
アルジュナよ、悲劇に酔い痴れてはならない。
その弱気を、神々が歓ぼうか、賢者が喜ぼうか。」

アルジュナは、クリシュナに、このように語る。

「私が尊敬する、ビーシュマやドローナ達。
戦争だからと、どうして、彼らと戦えようか。
彼らの血で汚れた物を、食べて喜べると思うか。」

「我らが勝つべきか、彼らこそ勝つべきか。
どちらが良いのか、わたしには、分からない。
だた、彼らを殺したくない、それだけは解かる。」

「どちらが良いか、はっきり示して欲しい。
私は、悲しみの為に、真我が曇らされている。
私の迷妄を払えるのは、君の他に私は知らない。」

アルジュナに、クリシュナは、微笑んで言った。

「アルジュナよ、世に響く、賢者たる者は、
死についても、生についても、嘆かぬものだ。
君は、嘆く必要のない事で嘆く、言い訳じみて。」

「アルジュナよ、私にしても、君にしても、
我々は、今までに、存在しなかった事がない。
それゆえ、是からも、存在しなくなる事がない。」

「確かに、少年期、青年期、老年期を経て、
生まれた自我は、老いていき、死んでしまう。
しかし、真我は不滅ゆえに、再び生まれ変わる。」

「賢者は、それを見とめて、迷う事がない。
確かに、自我が生まれて、苦楽が生まれるが、
無常であることを見とめて、囚われる事がない。」

「楽が生まれると、必ず、苦が埋れている。
苦と楽や、生と死を、平等に見とめるものは、
楽を捉えようと、苦に捕らわれず、不死となる。」

「自我は不滅ではない、真我は不滅である。
真理を悟った者は、自我と真我の境界を見る。
アルジュナよ、遍く満ちる真実を、不滅と見よ。」

(´・(ェ)・`)
(つづく)