俺はとある噂の廃墟に探検に来た。頭のイカれた殺人鬼がおぞましい心理実験をしていたという噂だ。
とある小部屋のゴミの塊の上に、古ぼけた日誌を見つけた。

『今日、活きのいい家族を拉致した。若い夫婦、夫の両親の4人だ』
『小部屋に軟禁したが衣食はずっと与えてやる。こちらが提示する条件は1つ、最後に部屋を出た者を銃殺する。』
『夫婦愛が壊れるか、親子愛が壊れるか。とても興味深い。』
『1月が経った。夫は4人全員で帰ると宣言している。私が彼らの命を自由にできる限り、それは不可能だ。』
『半年が経った。すでに何かを決意した様子だ。』
『1年が経った。彼らの答えを見せてもらった。それは私の予想をはるかに超えるものだった。約束通り、無事に部屋を出て行く4人を見送った。』
『それにしても決意した人間の考える方法は、時に、実におぞましい…』

俺は部屋の中心の小さなゴミの塊を改めて凝視し、真実を忘れるため足早に部屋を出た。