男の子がふとした偶然で女の子と出会って恋物語が始まる。そんなベタな展開をボーイミーツガールという。
宅配業の青年S君も配達中の車から道行くカップルを眺めては
「はあ、ボクにもそんなことが起きないかなあ」と、ドラマチックな運命の出会いを夢見るまま歳だけを重ねていた。
そんな、ある日のこと・・・運命の瞬間は突然訪れる。
道の角を曲がったところで、ボンとぶつかった。
見ると、倒れた相手は凄い美少女。
お決まりのように少女が手に持っていた手提げ袋からはリンゴが数個転げ落ち道に転がる。
S君の目には少女のまわりが真っ赤なリンゴのイメージで、ふわーっと拡がって映っていた。
まさか自分にこんなことが起きるなんて・・・でも心の準備が・・・
落ち着け・・・冷静になれ・・・。
S君はキセキを信じたかった。
それを拾って「ハイ、だいじょうぶ?」とにっこり微笑んで手を差し伸べて
そのあとは恋が始まって・・・薔薇色の人生。
そんな妄想も、S君の脳裏に一瞬浮かんだりしたものだが
だけど気の弱いS君はその場から逃げちゃった。