0277名無し百物語
2019/06/11(火) 11:45:00.46ID:zxUJoZqm深夜2時。
僕は自宅で唐突な腹の痛みに襲われトイレに駆け込んだものの、そこでトイレットペーパーがないことに気づき、慌てて近場のコンビニに駆け込み大便をして落ち着いたのち、自宅に戻るため街灯の少ない夜道を歩いている。
車通りが少なく、人っ子一人いないその夜道で、僕は唐突にとある噂を思い出した。
『鮮血の女』という噂だ(中二病からは〈ブラッディ・メアリー〉と呼ばれている)。
内容を簡単に説明すると、この町で深夜に散歩をしていると突如目の前に全身血だらけの女が現れ、全身バラバラにされて殺される、というものだ。
実際この辺りではそれと似たようなバラバラ殺人が起こっており、一時期すんごい話題になっていた。
今は沈静化しているものの、いまだにその噂を信用しているものが多く、深夜の街を出歩かないものが増えて警察たちは大喜びだとか。
なお、一部の考察者たちの間では『すんげえ酷い生理の女説』や『すんげえ酷い血尿の女説』などという考察も飛び交っているらしい。
だが、なぜ今になってそんな噂を思い出したのだろう?
…………まあ、気にしてもしょうがないからさっさと家に帰っちまおう。
僕はそう割り切ると、静かな夜道を歩き進むのだった。
向けられる視線には気づかずに……。
しばらく夜道を歩いていた僕は、とある公園を見つけた。
昼間なら大勢の子供たちが騒ぎあっている公共の場だが、今は人っ子一人見当たらない。
……いや、暗がりでよくわからないが、フードっぽいものを被った男か女かが薄明るい公園のライトに照らされ、ベンチにひっそりと座っていた。
ホームレス?
一瞬そう思ったが、この辺りではホームレスなどは見かけたことがない。
いったい誰なのだろうか……?
僕が立ち止まって凝視をしていると、唐突にその人物がフードっぽいものを上げ、こちらを見つめてきた。
その瞬間、僕は悪寒に襲われた。
なぜならその人物の顔が…………