押見氏が静子を毒親として描いていると思うと、最近の展開は違和感だらけだろう。血の轍の隠れた主人公は静子であり、そして静子は毒親ではない。静子は子供時代に親に愛されずいらない子扱いであったため、親から愛された経験がなく、静一を正しく愛することができなかった。愛情を傾ければ傾けるほど息子を追いつめてしまい、挙句の果てには息子から「死ね」と言われてしまう。その一女性の悲劇が血の轍である。