後半の問いかけについて。これはもう自分の中ではほぼ確信なのであるが、静子は一時たりとも静一に対する愛情は失わなかった。ママを脳内に抱えて廃人のようになった静一を更生させるため、心を鬼にして暴言を投げつけ静一の中の自分を抹殺した。最愛の息子の前で愛情のかけらもない非道な母親を演じるという、静子の苦悩こそが血の轍を最高の悲劇たらしめている要素である。