白起好きだよ。達人て感じがして

殺戮兵器としての頂点が、ただそれだけを買われていた筈が、長平でやりすぎだと周りから置き去りにされる。その間の揺らぎがよく分かる。
いくら大きな殺戮を行っても、逆に抗いを強める奴らがいる。己の理に合わないことへのイラつきもよく分かる。

そもそも戦争にやり過ぎなんてない筈だ。
人を殺すという行為に何の違いがあろう。
少し殺すか多く殺すか、早く殺すか遅く殺すか、最終目標が征服であるのなら、そこの調整に何の意味があろう。

しかし、協力者であるはずの宰相は40万の殺戮を真っ先に否定する。奉ずる筈の王もそれを認める。
己は覇道への最短を導きだしている。しかし敢えて手を緩めろと言う。
結果が出ないからやはりお前がやれという。
しかし彼らはもう己の戦果を手放しで喜ばない。

何を信じて進めば良いか、どの様に己を御すればいいか。
道を失ったというのは目標を失なったということであり、書簡を黒く塗りつぶすのはその手管の使い道を失ったということである。

極めたが故に認められていたはずが、極めすぎたが故に認められなくなっていく。
最上の戦果ばかり叩き出していた達人にとって今更逆行するのは果てしなく難しい。
自らに答えはない。他の誰しもにも答えはない。