7月28日付のワイアードでは、「トヨタは電気自動車(EV)で空振りした。いま、トヨタはEVの普及を遅らせようとしている」という記事が公開された。「ハイブリッド車や水素燃料電池への投資を守るために、トヨタは電気自動車への移行に反対するロビー活動を行っている」という見出しがトヨタ批判の内容を伝えている。

 ここでは、この二つの記事をもとに、米国で強まりつつあるトヨタ批判の現状について紹介し、日本人もまたトヨタに対して厳しい目を向ける必要性があることに気づいてもらいたい。

今年1月6日、ドナルド・トランプ大統領(当時)の支持者たちが米国連邦議会議事堂を占拠し、警察官を含む5人の死者(その日勤務していた他の2人の警察官は後に自殺)を出した事件を思い出す必要がある。この騒動を受けて、多くの企業が、ジョー・バイデンの当選認定に反対した147人の議員への寄付をやめると約束した。

 そこで、ワシントンDCにあるリベラルな監視団体、「責任と倫理を考える市民の会」が企業の選挙活動向けの政治資金団体である政治行動委員会(PAC)による、議会にいる147人の「反乱者」(トランプ支持者が議事堂に致命的な攻撃をした後でも、2020年の選挙結果を覆すことに投票した議員)への献金を集計したところ、他の企業よりもはるかに高いレベルで反乱者たちに資金を提供したのがトヨタであったというのだ。トヨタは1月の時点では寄付をやめるとは約束していなかったが、バイデン当選の認定に反対した38人の議員に5万6000ドルを寄付し、リストのトップに立っていたのである。

 「ほとんどの企業は当初の誓約を守り、民主主義を覆すために立ち上がった人たちに、少なくとも直接的にはお金を渡さなかった」ことを考えると、いかにトヨタが民主主義に逆行しているかがわかると、記事は批判していることになる。