>>727
プロジェクトX〜挑戦者たち〜  スバルの挑戦。低重心スポーツカーの開発-技術無き技術者の苦悩

開発部長は、頭を悩ませていた。BRZの開発は難航していた
低重心なスポーツカーが作れない。ボクサーのせいで低重心に出来ない。思案にくれていた時、社長は意外な事を言った
「ボクサーを止めてトヨタからエンジン供給を受けてはどうだろう。」 開発部長は戸惑った。 確かにトヨタの汎用エンジンなら低重心になる。しかしそれではスバルらしさがない車になる。
「無理です。出来ません」開発部長は思わず叫んだ
「俺たちがやらずに誰がやるんですか。俺たちの手で成し遂げるんです!」

開発部長の熱い思いに、社長は心を打たれた
「やってみせろ」
それから夜を徹してエンジン周りの設計をし、それに合わせるための開発に取り組んだ
しかし、どうしても重心が下げられない。なんとかエンジンルームには収まったが、重心は高いままだ
ボクサーで重心を低くするにはどうしても限界がある。高重心の車を作ってきた開発陣の中ではその壁は高かった。
開発部長は、来る日も来る日もエンジンマウントと戦った。「重心が高くても文句言われないインプレッサならこんなに苦労しないのに・・・」追い詰められていた

そこへ社長が現れた。そしてこうつぶやいた
「発想を変えるんだ。ボクサーを使う前提でトヨタに設計して貰ったらどうだ?」

そうだ。トヨタだ
「トヨタの技術はスゴい」とヨイショすればHVのおこぼれにも預かれる。ミラーサイクルも使えるかもしれない。ウチはミラーサイクルの技術では国内底辺だ
暗闇に光が射した気がした

開発部長はエンジン周りの設計をやってくれとトヨタに泣きついてみた。
重心が、下がった
4WDにも出来るようにこっそり仕様を変えてみた
滅茶苦茶怒られた
「これだ、これが探してた俺たちだけの生き残る術なんだ!」
社長と開発部長と従業員は、工場の片隅で朝まで飲み明かした。 開発部長は、充足感に包まれ、涙が止まらなかった
「社長、BRZが発売されたら俺真っ先に買いますよ!」若い開発部員は言った
「ああ、よろしく頼む。ただ、改造後の馬力計測はするなよ。カタログスペックより大幅に低いことがバレるからな」 社長は自分のジョークに、肩を揺らして笑った