お客様は神の声?

トヨタ自動車には調査部という組織があり、驚くほど
多くのユーザー調査を実施して膨大な消費者データを
持っているし、トヨタはその消費者データを元に車作り
を行う。ユーザーから不満点を洗い出し、モデルチェンジ
ごとに改善していく。他社で売れている車があると、売れる
理由を徹底的に研究し、より消費者に受け入られる車を作って
いる。トヨタの車作りはこれでいいと思うし、なるべく多く
の人に受け入れられ、たくさん売れる製品であるべきだからだ。
しかし、プレミアムブランドの場合はそうはいかない。
欧州のプレミアムブランドはトヨタとは比べものにならないほど
消費者調査が少ない。例えばBMWは客はもちろん大事にするが
客に媚びるようなことは基本的にしない。BMWはユーザーに意見
を聞くような調査は最低限しか行っておらず、調査好きのトヨタ
とは対照的である。この理由は、BMWの価値を作っているのは
BMWであって客ではない、という信念があり自らが信じるもの
を作るということが基本にあるからだ。客はそれに共感し、自分
の価値観と重ねてそのブランドのファンになるのである。
さまざまな客の意見を聞くと個性の乏しい製品となり、ブランド
の個性が失うことになるし、そのブランドを選ぶ理由も失われる。
ブランドが客をリードすることで、客はそのブランドの信者となり
信者となった客は簡単に浮気しないのである