現在、日本車でも17〜18インチタイヤは当たり前のようになった。19〜20インチもある。
しかし、同じ車種のバリエーションで、ブレーキディスク径を上げてくる車は少ない。
皆無と言ってもよいほどだ。だからディーラーで車を見せてもらうときは、
必ずディスクをのぞき込む。すると、「これじゃスカスカで腕が入るよ!」と言って、
嫌味のように笑うことがほとんどだ。ブレンボを装備する車も同じだった。
これは、『緊急ブレーキ制動距離が長くなる』ことを意味している。
緊急ブレーキの利き具合が、現在でもBMW、ベンツなどと比べると劣るのだ。
これが私の日本車に対する不満として、半世紀前から未だに変わらぬところだ。
自動車雑誌「ベストカ―2018.9.10号」の記事を見ると、
クラウンとベンツ・Eクラスの緊急ブレーキ制動距離の比較において、
『100km/hでは、クラウン31.0m・ベンツ29.0m。120km/hでは、クラウン47.4m・ベンツ42.4m』
とかなりの差を付けられている。
この雑誌の比較テストで、必ずしも性能全般を比較できているとは思わないが、
この制動距離だけで見れば、現在でもクラウンは一時代遅れているとなる。
どうしたことか、これは半世紀前と変わらない。
表面化するカタログデータでないと日本車は「手抜き」するようだ。
「マシンそのもの」に対する認識が、ドイツとはかなり違う国民性と言えるのだろう。
日本車の決定的弱点は「考え方」である。
最近の品質軽視の経営方針は、万が一の「物理的条件」を無視する日本人の考え方の弱点でもあり、
日本のユーザーも「車」を勉強して良く観察しなければ、自動車産業の発展はないだろう。