これは量産自動車部品の設計として考えると大変非常識な設計、もっと正確に表現すると安全性を無視した設計だと断言出来る。

車に限らず部品設計の常識として、例え低負荷であっても恒常的に負荷がかかる可能性がある箇所に射出成形によって作られた樹脂部品を使用するというのは基本的には相当注意を要するものだ。
ましてや、自動車のサスペンション構成部品の様に様々な使われ方、更に環境面でも非常に変化の激しい部分に射出成形による樹脂部品を使用するという事は安全性の観点から絶対に実施してはいけない内容だ。
だが、モデル3は正にその構成を採用している。

この背景はコストダウンとバネ下質量の低減だとは思うが、安全性よりもこれらの項目を優先しているというところが如何にもテスラという会社を象徴している。

樹脂部品というのは言葉を変えれば高分子材料で構成された部品だ。
金属部品とは違い、高分子材料の場合弾性成分と共に粘性成分を構造的に持っており、必然的に金属材料に比較して遥かに大きなクリープ特性を有する。
クリープ特性とはたとえ低負荷でも長時間負荷がかかり続けると、歪みを生じていく(変形していく)
さらに高温環境下においてはその変形度合いが加速していく。

車のサスペンション、該当の樹脂部品で構成されたアッパーアームは運転中常に力がかかり続ける、更に環境は低温から高温まであり得る。
更に停車中の段差にタイヤを当てたり、坂道(下り坂)でハンドルを切った状態で長時間停車させた時、まさにクリープ変形の要件を満たす。
これが高温環境下であれば変形は加速するのは言うまでもない。
変形の最後は当然破壊である。

こんな構成を平気で採用してるテスラという会社、あなたはどう思いますか??