86は、「若者のクルマ離れ」という自動車メーカーにとって致命的な危機意識から生まれた。
なんせスポーツカーは儲からない。
ある一定のマニア層に普及してしまうと、そこから先はマーケットがないからだ。
ドアが2枚しかなくて背が低くて狭くて荷物が載らない、走ることのみを喜びとするペトロヘッド、
オタクのためのクルマなのだから当然だ。
その儲からない商品をつくらないことには、クルマがテレビ、冷蔵庫、洗濯機のような
家電と同じ運命をたどることになる。
わがの世の春を謳歌したメイド・イン・ジャパンの家電メーカーが今どうなっているか。
かくして三河の世界一の自動車メーカーは、資本関係にある上州太田市を訪ね、
トヨタが企画しスバルが開発・生産するという夢のコラボレーションによって、
2リッター水平対向4気筒エンジンをフロントに搭載する後輪駆動の2+2スポーツカーを誕生させたのである。
幸いにして、というべきか、日本市場では当初40〜50代がオーナーのほとんどだったけれど、
最近は購買年齢がどんどん下がってきていて、20〜60代の比率が均等になってきている。
驚くべきことに北米市場では当初の目的である20代が一番多いという。
しかも20代の7割近くがマニュアルを選んでいるという。