「まったく事実にもとづかない発言。ウィシュマさんの尊厳を踏みにじり、遺族を深く傷つけるものだ」

 2021年3月に名古屋出入国在留管理局の施設で亡くなったスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の遺族らが17日、東京都内で記者会見。怒りの声を上げたのが、日本維新の会の梅村みずほ参院議員(44)の国会発言に対してだった。

 梅村氏は政府が提出した入管難民法の改正案を巡る審議で、ウィシュマさんの問題に触れつつ、「支援者の一言がウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できない」と発言。

 さらに別の日にも「ハンガーストライキによる体調不良だったかもしれない」と主張していたため、遺族側が激しく抗議し、発言の撤回と謝罪を求めたのだ。

 ネット上でも梅村氏の発言に対し、《梅村本人も法務委員会で「事実はありません」と認めていたが、憶測で言う言葉か?人が亡くなっているのに…》《国会議員でありながら、最低限の人権意識はないのか》と批判の声が続出しているのだが、不思議なのはメディアから発言を問題視する声が少ないことだ。

小西議員の際は連日のように報道しておいて…

例えば、3月に立憲民主党の小西洋之参議院議員(51)が、憲法審査会が毎週開催されていることに対し、「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」「何も考えていない人たち、蛮族の行為だ。野蛮だ」と発言した際には、メディアは一斉に大きく取り上げ、連日のように報道。

“袋叩き状態”となった小西氏は、ツイッターを通じて「オフレコで撤回した」と釈明したものの、その後も「議員の資質が問われる言語道断の暴論」などと厳しい追及が続き、議員辞職を求める声まで上がった。

 ところが今回の梅村氏の「詐病」「ハンスト」発言については、メディアは遺族らの反発の声を淡々と伝えているだけ。小西氏の時の報道姿勢とはまるで対照的だ。

 統一地方選で議席を増やし、勢いのある維新にメディアが気を使っているのかどうかは分からないが、これぞ「ご都合主義」と言っていいだろう。

日刊ゲンダイ
5/18(木) 13:50
https://news.yahoo.co.jp/articles/7fdb50486d77a05f943266ae091e8442ddd61e6a