年金保険料の一部未納が明らかになった日本維新の会・中条きよし参院議員(76)が、昨年9月、議員会館の議員事務室から新曲の宣伝をしていたことが、「 週刊文春 」の取材でわかった。議員会館の不適切使用にあたる。事務所が取材に対し、「深く反省している」と事実関係を認めた。

「週刊文春」が 1月19日発売号 で報じたのは、中条氏が計約750万円の年金保険料を納めていなかった疑惑だ。1月23日に記者団の取材に応じた中条氏は、自身の往年の名曲「うそ」を引き合いに出し、「私は“うそ”をつかないから大丈夫。歌だけです。逃げも隠れもしません」などと述べた。日本維新の会の藤田文武幹事長はその後、中条氏に年金保険料の一部未納期間があったことを認めている。

 事務所関係者が言う。

「昨年4月の出馬会見でも『年金だけで皆さん生活できるのか』と制度への不満を覗かせていましたが、実際は最低限の義務すら果たしていなかった。もともと演歌歌手の中条氏は、典型的な“昭和の芸能人”。2008年には暴力団との交際疑惑も報じられました。NHKは中条氏の出演を1年間見合わせ、『うそ』が150万枚売れたのが嘘のようにCD売上も低迷した。そうした中、政界に打開策を見出した形です。昨年7月の参院選で全国比例区から出馬し、党内4番目の約4万7000票を獲得して初当選を果たしました」

 中条氏は昨年9月7日、約2年ぶりの新曲「カサブランカ浪漫」を発売。それに先立つ9月5日、参院議員会館の議員事務室からオンラインで“お披露目会見”を行っていた。その時の様子は、複数のスポーツ紙が写真付きで報じている。「カサブランカ浪漫」は若き日の恋への追憶を描いたラブソング。中日スポーツによれば、自身の若き日の恋について問われた中条氏は「モテなかった記憶はないけど、モテた記憶もない」などと述べていた。

 税金で運営されている議員会館で、政治家が歌手として新曲の宣伝を行うことは適切なのか。参院議員会館サービスセンター担当者は次のように回答した。

「基本的に執務以外での使用は禁止されています」

中条事務所は「深く反省をしております」
 中条氏の公設第一秘書に話を聞いた。

――会館の部屋は芸能活動に使えないのでは。

「まあ、そうですよね。芸能事務所の方が『場所が無い』と。私も(部屋に)いたが、一切ノータッチです」

 中条事務所に事実関係の確認を求めたところ、代理人弁護士を通じて書面で以下のように回答した。

「参議院議員会館の目的外利用につきましては、ひとえに当方の認識不足によるものであり、深く反省をしております。今後このようなことのないよう十分に気をつけてまいります」

 年金未納疑惑については、党として調査を進めていくという日本維新の会。中条氏を巡っては、昨年11月15日に国会質問の場で「カサブランカ浪漫」とディナーショーの宣伝を行ったことに対し、党は厳重注意処分を下している。新たに明るみに出た議員会館を利用しての新曲宣伝についても、日本維新の会としてどのような対応を取るのか、注目される。

 1月25日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および1月26日(木)発売の「週刊文春」では、中条氏が乗る車が選挙運動中に起こした“警察沙汰”、「カサブランカ浪漫」の意外な売上枚数などについても報じている。

文春オンライン
1/25(水) 12:12配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ecb67d6ee10bef3dafcb6f1f35b990ff6ee7250