政府は21日、岸田文雄首相の16日の記者会見で指名されなかった報道機関の文書による質問に書面で回答した。本紙が敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛増税を巡り、具体的な内容を示して国政選挙で信を問うことをせず、国会審議も経ずに決めたことへの見解を求めたのに対し、首相は「プロセスに問題があったとは考えていない」と主張した。
 本紙は質問で、選挙や国会で議論を深めないまま重大な方針転換を行うことは民主主義の観点から許されないのではないかと指摘。「今後も重要な政策決定を国民的議論を抜きに行うのか。そのような進め方で政治理念に掲げる『信頼と共感』が国民から得られると考えるか」とただした。
 首相は、敵基地攻撃能力の保有などは「1年以上にわたる丁寧なプロセスを経て決定した」などと反論した。今後も丁寧な説明に努めていくという考えも示した。
 防衛費増額に伴う増税を巡る首相の説明に関しては、共同通信社が17、18両日に実施した世論調査で87.1%が「不十分だ」と回答。「十分だ」は7.2%にとどまっている。(山口哲人)

東京新聞
2022年12月21日 19時04分
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