岸田総理大臣は、去年行われた衆議院選挙の運動費用の収支報告書に、宛名などの記載がない領収書を添付していたと報じられたことについて、「領収書の記載の一部に不十分な点があることを確認した」と述べたうえで今後、再発防止を図ると説明しました。

「週刊文春」の電子版は、岸田総理大臣が、去年行われた衆議院選挙の選挙運動費用収支報告書に、宛名やただし書きが記載されていない領収書を94枚添付していたとして、公職選挙法違反の疑いがあると報じました。

これについて岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し「選挙運動に関する支出は選挙運動費用収支報告書に記載されているとおり、適正な支出であることを確認している」と述べました。

そのうえで「添付書類の領収書の記載の一部に不十分な点があることを確認している。ただし書きのない領収書を発行者から受け取り、出納責任者も領収書の発行名などから支出の目的を把握し、収支報告書本体には目的を明記したが、添付書類である領収書には一部不記載のものがあったということだ」と述べました。

そして「今後このようなことがないように事務所に指示を出した」と述べ、みずからの事務所に、再発防止を指示したと説明しました。

岸田首相の事務所 領収書のただし書き「記載ないもの98枚」
去年行われた衆議院選挙の運動費用の収支報告書に、宛名などの記載がない領収書を添付していたと報じられたことを受け、岸田総理大臣の事務所は24日、コメントを発表しました。

それによりますと「選挙運動に関する支出は適正であり、この支出を裏付ける領収書を添付しているが、領収書の記載の一部に不十分な点があることが確認された」としています。

そのうえで、添付した領収書のうち、宛名が空白となっているものについて、「発行者からの依頼があれば当方で追記すればよいとされているため適宜対応する」としています。

また、支出の目的を記載する領収書のただし書きについて「記載がないものが98枚あった。ただし、記載のない領収書も発行者名などから支出の目的を把握し、報告書本体の支出の目的にその内容を記載している」としています。

そして「自民党本部などに確認したところ、同様の未記載の領収書は与野党を問わずたくさん確認されているとのことだったが、きちんと書いてもらうようにしなければならない。選挙管理委員会に提出した際にも特段指摘がなかったことから問題がないと思っていたが、今後このようなことがないよう領収書の記載を確認するようにする」としています。

専門家「ずさんだという批判は免れない」

公職選挙法は、選挙運動に関するすべての支出について、金額、年月日、目的を記載した領収書など、支出を証明する書面の写しを、選挙管理委員会に提出することを義務づけています。

岸田総理大臣の選挙運動費用の収支報告書に、宛名やただし書きの記載がない多数の領収書が添付されていたことについて、日本大学の岩井奉信名誉教授は「うその領収書でなければ、直ちに違法とは言い切れないかもしれないが、選挙管理委員会は不備のある領収書を受理すべきではなかった。枚数も多く、岸田総理大臣側もずさんだという批判は免れない。『政治資金収支報告書』に比べ、選挙運動費用の収支報告書が軽視されていることの、あらわれではないか」と話しています。

共産 志位委員長「総理大臣の資格なく 内閣総辞職を」

共産党の志位委員長は、記者会見で「領収書に記載がないのが1枚や2枚の話ではなく、かなりの部分が空白という、法に触れる問題で、非常に責任は重い。なぜそういう事態が起こったのかなど、全貌を明らかにして、国民への説明責任を果たすことを強く求める」と述べました。

そのうえで「この1か月のうちに3人もの大臣が辞任し、任命責任があるのは言うまでもなく、かばい続けた責任という、もっと重大な責任がある。岸田総理大臣自身も問題を起こしており、総理大臣の資格はなく、岸田内閣の総辞職を強く求めていきたい」と述べました。

NHKニュース
2022年11月24日 18時19分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221124/k10013901641000.html