自民党の城内実・元環境副大臣が性的少数者の差別解消をめぐり「お花畑正義感の人たち」などと述べた会合では、発言を問題視する声は上がらなかったことがわかった。出席者によると、LGBTへの差別解消の取り組みに疑問を投げかける意見が相次いだという。


 発言があったのは、25日に党本部で開かれた「性的マイノリティーに関する特命委員会」。非公開で行われた。

 会合にはゲイだと公言している旧民主党の松浦大悟・元参院議員を講師として招いた。出席者によると、松浦氏は冒頭、LGBTをめぐる課題について「対決姿勢ばかりをあおるLGBT活動家のやり方に違和感を覚えたという安倍(晋三)元首相の気持ちは、すごく私も共感する」などと語った。

 その後の質疑応答では、LGBTをめぐる公共トイレやスポーツ競技のあり方が取り上げられた。出席議員からは、テレビ番組での「恋愛の対象は異性とは限らない」との表現や、各地のパートナーシップ条例に対する疑問も出たという。

 「マスコミはLGBT活動家のことしか報じていない」との出席議員の意見には、松浦氏が「LGBTは90%以上がカミングアウトしていない。マスコミは活動家に取材し、その友達の輪の中で同じ人がインタビューに答えている」と答えたという。

 会合の終盤で城内氏は「純粋まっすぐお花畑の人は、『差別されている人を助けなきゃ』みたいな話(となっている)」など主張。LGBTの差別解消に取り組む人を揶揄(やゆ)したととられかねない発言だったが、批判はなかったという。

 会合に出席した「LGBT理解増進法案」の制定をめざしている議員は、朝日新聞の取材に「会合に来るのは法案反対派が多い。しばらく前に進まない」と嘆いた。

朝日新聞
2022/8/26 19:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ8V5TW6Q8VUTFK00F.html