対立候補に中傷ビラ、他人になりすまして投票――。安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに自民党と宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関係に厳しい視線が注がれる中、複数の信者や元信者が毎日新聞の取材に、選挙運動への関与を証言した。時には法律に抵触しかねない行為にも及んだというが、「信仰のためなら怖くなかった」と明かす。その実態とは。

演説会でサクラ、突き上げた拳

 「先生は、最後まで死力をふりしぼって歩んでおられます」「天が立ててくださった人物」「知人友人に勧める行動を」

 7月の参院選期間中。東日本に住む現役信者は所属する地域教会の幹部から、SNS(ネット交流サービス)でそんなメッセージを受け取った。

 幹部が投票を呼びかける「先生」とは前回参院選で落選し、今回返り咲いた自民の井上義行参院議員(比例代表)のことだ。熱心に信仰する親からも「井上さんに投票するように」と要請された。

 生まれた時から信者で、教団が安倍元首相や祖父の岸信介元首相とつながりを持ってきたことは「公然の事実」だった。…

毎日新聞
2022/8/13 16:00
https://mainichi.jp/articles/20220812/k00/00m/040/277000c