松井一郎代表(大阪市長)の辞任に伴う日本維新の会の代表選は8月14日に告示される。初めての代表選には、いずれも大阪選出の足立康史衆院議員、馬場伸幸衆院議員、梅村みずほ参院議員の3人が立候補する見通しだ。27日の臨時党大会で最多得票を得た候補者が新代表となる。

 大阪を拠点とする維新は2012年に結党。創設者の橋下徹・元大阪市長や松井氏は無投票で就任した。規約では、代表任期は国政選か統一地方選の投票日後90日までとされ、臨時党大会などで代表選を実施するか決める規定だが、両氏への批判は少なく、選挙を経ずに代表を続けてきた。

 今回の代表選は、国会議員や地方議員ら約600人の特別党員と、20年から年2000円の党費を支払っている一般党員約2万人を同じ「1人1票」としたのが特徴だ。

 国民の直接選挙で首相を選ぶ「首相公選制」の導入を掲げる維新の基本政策に沿ったもので、一般党員の1票を重視した。

 党首選を巡っては、自民党や立憲民主党は国会議員票に重きを置いている。たとえば、21年自民総裁選は国会議員票が1人1票で計382票。約110万人いる党員・党友分は、1人1票ではなく、国会議員票と同数の計382票分を、得票数に応じて各候補に比例配分した。

 他党にはない仕組みの維新の代表選で、勝敗のカギを握るのが大阪の一般党員の動向だ。都道府県別の内訳は非公表だが、党関係者によると、大阪は全体の半数の約1万人に上り、議員の紹介で一般党員となった例が多い。

 このため、一部の陣営は地方議員らを通じて一般党員の票固めを進める方針で、党員票の争奪戦が既に始まっている。

 国会議員から特定候補への投票を求められた府内の地方議員は「別候補を推すなら、地元の選挙で支援しない」と告げられた。同様に「将来を考えた方がいい」と支持候補を変えるよう促されたと証言する別の地方議員は「圧力と感じた」と不満を漏らす。

 こうした状況について、府内のある一般党員は「『1人1票』を重視するなら、多数派工作はやめるべきだ」と批判している。

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