岸田文雄首相は13日の衆院内閣委員会で、自身が掲げている「所得倍増」をいつまでに達成するのか問われ、「大きな方向性を示している。いつまでにという期限は区切っていない」と説明した。首相は「令和版所得倍増」「資産所得倍増」「子ども政策の予算倍増」などを表明しているが、いずれも具体的な達成時期や工程表は示していない。
 立憲民主党の泉健太代表が「倍増がお好きですか」と皮肉交じりに問うと、首相は「表現の仕方として稚拙かもしれないが、政策に向けて強い意志を示すことは大事だ」と述べた。
 「倍増」の期限を示さないことに泉氏は「総理の任期中に倍増させることを多くの国民は期待し、信じる。何の根拠もないのに倍増と言い続けるのはおかしい」と批判した。
 首相は昨年の自民党総裁選で「令和版所得倍増」を掲げた。1月の経済3団体の新年会では「若者世代の世帯所得倍増を可能とするような制度改革に取り組む」と語った。
 首相が掲げる「倍増」の名称は、1960年代に首相を務めた池田勇人氏が掲げた「所得倍増計画」がもとになっている。池田氏は所得倍増を「10年以内」と期限を示し、1人当たりの国民所得は10年を待たず倍増した。(井上峻輔)

東京新聞
2022年5月14日 11時43分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/177303