大臣在任中に鶏卵業者から計500万円の賄賂を受け取ったとして、収賄罪に問われた元農林水産相・吉川貴盛被告(71)の公判が23日午前、東京地裁であった。検察側は「農林水産行政の最高責任者である現職大臣が現金を受け取った事案で、収賄の悪質性が高い」として、懲役2年6カ月、追徴金500万円を求刑した。弁護側は現金受領を認めた上で「応援の趣旨で受け取っていた。賄賂と認識していない」と無罪を主張した。判決は5月26日に言い渡される予定。

 吉川元農水相は最終陳述で「秋田氏から現金を受け取ったこと、政治資金規正法にのっとった処理を行わなかったことは最大の不徳の致すところ」と述べた。

 起訴状によると、吉川元農水相は大臣在任中の2018年11月〜19年8月、鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表・秋田善祺(よしき)氏(88)=贈賄罪などで有罪確定=から3回で計500万円を都内のホテルや大臣室で受け取ったとされる。

 検察側は冒頭陳述で、吉川元農水相は秋田氏から現金を受けた際などに、「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の理念に基づき国際機関が策定した飼育基準案への反対や、日本政策金融公庫の融資条件の緩和についての要望を受けたと指摘。現金の趣旨については、吉川元農水相に反対意見のとりまとめや公庫への指示などを求める「賄賂だった」と主張した。

朝日新聞
3/23(水) 10:54
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