日本政策金融公庫の融資を巡る貸金業法違反事件で、公明党衆院議員だった遠山清彦・元財務副大臣に融資仲介を依頼していた環境関連会社役員の男性が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、遠山氏に年間500万円程度、総額3000万円余を提供したと供述していることが、関係者への取材で分かった。遠山氏側から金銭を要求されたこともあったという。
 関係者によると、会社役員の男性は70代で、約6年前から、都内の飲食店などで遠山氏本人に100万円単位の現金を手渡していた。男性は「政治家として応援していた」などと趣旨を説明。遠山氏側から「政治活動や選挙に必要」などと、提供を依頼されることもあったという。遠山氏に関係する政治団体の政治資金収支報告書に、男性の寄付は記載されていない。
 一方、男性は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業などに対する公庫の特別融資が導入された2020年以降、貸金業の登録を受けていないのに融資を違法に仲介し、遠山氏側に公庫への取り次ぎを依頼。謝礼の趣旨を含め、20年は例年の約500万円に上乗せした数百万円が遠山氏側に提供されていた。関係者によると、遠山氏は特捜部の任意聴取に、違法仲介への関与と現金の受領を認める供述をしているという。
 遠山氏は、当時の政策秘書ら2人に指示し、男性側から依頼を受けた企業の情報を公庫に伝え、公庫の担当者を企業に紹介していた。仲介によって審査が大幅に早まったケースもあったという。
 男性は昨年4〜9月、自分の顧問先など30社余りの融資を延べ100件ほど仲介し、融資決定額の3%を「顧問料」として受け取っていたとされる。特捜部の聴取に対し、「融資の仲介を期待して遠山元議員に現金を渡していた」などと事実関係を認めているという。
 遠山氏は19年9月〜20年9月、財務副大臣を務めた。緊急事態宣言中に深夜まで銀座の高級クラブに滞在していた問題を受け、今年2月に議員辞職した。
 特捜部は今年8月、遠山氏が代表を務めるコンサルタント会社などを家宅捜索。先月には遠山氏への任意の事情聴取と自宅の家宅捜索を行った。

東京新聞
2021年12月16日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/149095