公選法に抵触か

 宮内秀樹・農林水産副大臣(58)が、お盆休み中に選挙区へ“里帰り”し、地元有権者に「線香代」として100円を渡したことが、デイリー新潮の取材で判明した。

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宮内副大臣は福岡4区から選出された自民党所属の衆議院議員。まずは地元有権者の声をご紹介しよう。

「お盆は8月13日から始まりますが、私が宮内さんを目撃したのは12日でした。ご本人自ら、精力的に選挙区の有権者を回っていました。奥さんも別行動で、有権者のお宅を訪ねているのを見ました」

 総選挙は近い。“平時”であれば何の問題もない行動だが、今はコロナ禍で帰省の自粛が求められているのはご存知の通りだ。念のためTBS NEWSが配信した記事のタイトルだけ下にご紹介する。

「西村経済再生相『帰省によるクラスターすでに多数』 お盆帰省の自粛呼びかけ」(TBS NEWS:8月10日)

 内容は省略しても問題ないだろう。前出の地元有権者は「やはりおかしいですよね」と首を傾げる。

「宮内さんは『国会議員は地元へ帰るのも仕事だ。単なる帰省ではない』と主張するのかもしれませんが。とはいえ、菅内閣の大臣が『お盆に帰るな』と呼びかけているわけですよ。国会議員なら国民の模範となって当然でしょう。宮内さんだって歴とした菅内閣の閣僚じゃないですか。同じ閣僚の西村大臣が『帰省しないでくれ』と言っているんですから、それに従わないというのはどうなんでしょうか」

出身は松山市

 宮内副大臣は2012年に初当選し、現在は当選3回。所属派閥は二階派と、なかなか“安倍チルドレン”な経歴だ。

 実際、週刊文春に「高速道路の耐震補強工事で、手抜き工事を行った地元業者を不当に擁護した」などと報じられたことがある(註1)。

 ご自身は福岡県とは縁もゆかりもない。1962年、愛媛県松山市に生まれ、高校まで松山市で育ち、大学は青山学院に進んだ。

 卒業すると、地元・愛媛の大物議員だった塩崎潤・元総務庁長官(1917〜2011)の秘書となった。故・塩崎氏の長男が、次の衆院選での引退と長男への世襲を発表して話題になった塩崎恭久・元厚労大臣(70)だ。

 宮内副大臣と福岡4区の縁は、同じ選挙区で選出された渡辺具能・元国交副大臣(80)の秘書を務めたことがきっかけだ。そして12年に、渡辺元副大臣の“後継者”として出馬し当選した。

 来る衆院選は、いわゆる“安倍チルドレン”の自民党議員には厳しい選挙になるといわれる。そのため宮内副大臣は、熱心に地元を回っているということなのだろう。

100円の写真

 だが、宮内副大臣の問題行動は、もう1点ある。別の有権者が「初盆で訪れた有権者のご自宅に、100円を置いて帰られましたよ」と打ち明ける。

「宮内さんは初盆を迎えられた地元有権者のお宅を訪れ、『線香を上げに来ました』と上がられたのです。ご自身の名刺と、『線香代』という名目で100円を置かれて、そのお宅を後にされました」

 デイリー新潮編集部は、その写真を入手した。確かに宮内副大臣の名刺と、その脇に100円玉が添えられている。隣の箱には初盆の香典が積まれているのが分かる。

 週刊新潮は2018年、「『茂木大臣』が尻から煙の『買収線香』 1強『安倍政権』の泣き所」の記事を掲載した。

「週刊新潮は以前から、茂木敏充・外務大臣(65)が地元有権者に衆議院手帳を配布した問題などを追及してきました。そして18年の2月1日号で、本人や秘書が地元有権者に線香を配っている実態をレポートしました。1997年には小野寺五典・元防衛大臣(61)に同じ行為が発覚しています。仙台地検に書類送検されたことなどから、2000年に衆院議員を辞職、罰金40万円の有罪判決が下りました。ところがなぜか、茂木外務大臣は法的な責任を問われませんでした」(政治担当記者)

他の議員は“法令遵守”

 そもそも昔は、「線香代」という名目で現金を配っていたようなのだ。それが「カネ」ではない「モノ」の線香に変わった経緯がある。

2に続く

デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/08181103/