嘘のような沈黙だ。都内の新型コロナウイルス感染者が過去最多を更新した27日、小池知事は発表を待たず、取材陣に「失礼しま〜す」と言い残し、午後3時すぎにはスゴスゴと退庁。その後もコメントひとつ出さず、ダンマリを決め込んだ。

 都議選の投開票直前に過労を押して、いったん中止とした定例会見を開いた姿とは大違い。

 最初の緊急事態宣言の前後に連日のように緊急会見を開き、「ロックダウン」「東京アラート」と呼びかけ、得意のフリップ芸で露出度をアップ。2度目の都知事選で圧勝した頃とは別人のようだ。

 過去最大の感染爆発にも、まるで他人事。大事な選挙の前でなければ危機感ゼロなのか。「逃げた」と言われても仕方あるまい。

「代わりにコロナ担当の福祉保健局長が現状を報道各社に説明。内容は事前に知事へ報告したと明かしました。五輪開催中に知事自身の口から過去最大の感染者数を発表すれば、その姿を海外メディアも大々的に報じるでしょう。五輪開催に対する国際世論への影響を気にして、取材対応を避けたとみられています」(ある都庁担当記者)

火の粉は天敵首相に

25日に小池知事は首相公邸を訪問。菅首相と約55分間にわたってサシで対談したことも波紋を広げている。

「犬猿の仲で知られる2人です。開催中の東京五輪や感染拡大、ワクチン供給など共通の課題は山積とはいえ、1時間近くも話が続くとは思えない。そこで、小池さんが五輪開催中に1日3000人から4000人の感染確認を危惧し、『途中中止』の選択肢を総理に迫ったのではないかとの見方もある。それなら長時間の対談も納得です。結局、小池さんも総理の説得に折れ、何があっても五輪は継続と腹をくくったのかもしれません」(政界関係者)

 五輪開催中は鳴りを潜め、強行批判の火の粉は天敵の首相に――。そろばんずくのトンズラなら、つくづく都民をなめている。

日刊ゲンダイ
21/07/28 13:55
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