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 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権を支える与党「共に民主党」は2日、党大会を開き、新代表に韓国国会の外交統一委員長を務める宋永吉(ソンヨンギル)議員(58)を選んだ。宋氏は対日強硬派で、過激な発言を繰り返してきた政治家。来春の大統領選で与党候補の勝利に向けて陣頭指揮を執る。文氏と近いグループと距離を置いており、党内での文氏の求心力が低下する可能性もある。

【写真】韓国の与党「共に民主党」の宋永吉議員=2021年4月18日、東亜日報提供

 新代表に当選後、宋氏は「勝利に向かって、ちゅうちょなく進まなければならない。韓国の跳躍に向けて先頭に立つ。(大統領選で)勝利しよう」と語った。

 世論調査機関・韓国ギャラップが4月30日に発表した調査では、文氏の支持率が過去最低の29%と初めて20%台に下落。危険水域に突入し、韓国の政界やメディアの間では文氏のレームダック(死に体)化が進むとの見方が広がる。4月のソウル、釜山両市長選で惨敗を喫した与党の新執行部は、来年3月の大統領選に向けて党勢の回復が急務となっている。

 宋氏は当選5回のベテラン議員だが、党内では文氏に近い「親文派」と距離がある。宋氏は大統領選の候補にはならないが、与党候補の当選に向けて党の陣頭指揮を執る。「世論にアピールするため、文氏に日本への強硬姿勢を求める」(ソウルの外交筋)と見る向きが強い。大統領選で与党候補が勝利すれば、宋氏は論功行賞として重要ポストに就く可能性がある。

 宋氏は韓国では過激な発言で知られ、日本にも厳しい。最近は東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出方針を決定した日本政府を「とてもひどい利己主義で、全人類に許されない罪を犯そうとしている」と痛烈に批判。元慰安婦問題をめぐって、「日本を代表して日王(天皇)が被害者に謝罪すればいい」と発言したこともあった。

 宋氏はまた、核保有国の米国が「北朝鮮やイランに(核を)持つなと強要できるのか」と主張したり、文政権の対北融和策を懸念する駐米大使を「朝鮮総督のつもりか」と批判したりして、物議を醸してきた。(ソウル=鈴木拓也)

朝日新聞社
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