※時事通信

【ソウル時事】1990年5月24〜26日に韓国の盧泰愚大統領(当時)が訪日するのに先立ち、韓国政府が天皇陛下(現上皇さま)による過去より「具体的で強い」おわびを求める対日交渉方針を定めていたことが分かった。韓国外務省が29日、90年前後の外交文書を公開した。

84年に全斗煥大統領(当時)が訪日した際、昭和天皇は「今世紀の一時期において、両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾であり、再び繰り返されてはならない」と表明。90年4月の文書はこれに関し「おわびの対象と内容の不明確さから、韓国国民に不満が存在している。同じレベルのおわびが繰り返される程度では韓国国民の期待にそぐわない」と指摘し、「今回は『不幸な過去』の明確な内容に言及し、反省の意思が言明されなければならない」と強調した。
 
その上で「日本政府が明仁天皇(現上皇さま)の初の海外訪問国として韓国を考慮している」ことを踏まえ、「おわびの内容が満足できる場合、大統領訪日中に天皇訪韓を招請する予定だと(日本側に)通報する」という方針を立てていた。
 
天皇陛下は5月24日の宮中晩さん会で「わが国によってもたらされたこの不幸な時期に貴国の人々が味わわれた苦しみを思い、痛惜の念を禁じ得ない」と表明。日本政府は同月28日、盧大統領の訪日中に天皇陛下訪韓の正式招請があったと明らかにした。
 
6月初めに作成された文書は陛下のお言葉について「はっきりと反省とおわびを行ったことにより、韓日間の不幸な過去を整理し、過去に起因する懸案にけじめをつけることができた」と評価している。

2021年03月29日20時35分
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