四月十一日告示の名古屋市長選で共産党本部が、出馬表明している市議会元議長の横井利明市議(59)を、自主的に支援する方針を固めたことが、複数の関係者への取材で分かった。横井氏は無所属だが今月十七日まで三十年間自民党市議として活動しており、共産が自民色の濃い候補を支援することは異例。四期目に向け出馬表明している現職の河村たかし氏(72)に対抗するため、政党の垣根を越え勢力の結集を目指す狙いがある。
 横井氏については、立憲民主党がすでに推薦を決めているほか、国民民主党も二十四日に推薦を決定。自民党も推薦する方針。公明党は市議団が支援の方向。
 共産党愛知県委員会の関係者は、不正署名問題が発覚した大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡り「中心人物としてリコールを支援しながら責任も認めず、民主主義の崩壊を招いた」などと河村氏を批判。「結束して四期目当選だけは阻止しなければ」と支援の理由を明かした。
 選挙戦では、陣営本体とは別に独自で街宣活動を行い、横井氏支援を呼び掛ける方針。国政では対立する自民の系列候補を支援することについては「身内からの反発も覚悟しているが、大義の下、理解を呼び掛けるしかない」としている。
 横井氏はこれまでの取材に「あらゆる政党を支持する方に支援をお願いしたい。(支持者を)分け隔てする立場ではない」と話しており、共産党の支援を受け入れる方向とみられる。
 共産党県委員会や、同委員会などでつくる「革新市政の会」は、二〇一三年までの市長選ではほぼ独自の候補擁立や推薦をしてきた。前回一七年の市長選では、自民党や民進党(当時)市議団などと歩調を合わせ河村氏の対立候補を支援していた。
 市長選にはほかに、市民団体役員の尾形慶子氏(63)と元会社員の太田敏光氏(72)が出馬表明している。

中日新聞
2021年3月25日 05時00分
https://www.chunichi.co.jp/article/223975