https://news.yahoo.co.jp/articles/94547446fd091e0c012e55a1796987002e6ed36d
 2021年3月25日、横浜・日産スタジアムで日韓サッカー代表の国際親善試合が開催されることが決まった。国際親善試合という意味では、2011年8月に札幌で開催されて以来10年ぶりの日韓戦となる。これを政治的に利用しようという動きを見せる大統領、反発する国民、そして「10年前の因縁」について、紹介する。

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大統領府には「キャンセル」を求める声

トッテナム所属のソン・フンミン選手[Photo by gettyimages]

 今回の日本戦は時期が時期なだけに、韓国内でも多くの議論が巻き起こっている。

 それというのも昨年11月、メキシコ、カタールとの国際親善試合のためにオーストリアに遠征した代表チームの選手7人とスタッフ4人から、新型コロナの陽性反応が出たからだ。

 カタール戦において、試合開始16秒でゴールを決めたファン・ヒチャン(RBライプツィヒ)は試合後、コロナ陽性がわかり自主隔離へ。所属チーム復帰後もその影響でしばらくの間、試合に出場できなかった。

 ソン・フンミン(トッテナム)はゴールを決めたファン・ヒチャンを抱きしめるなどしていたため、各国関係者は自国のチームでの感染拡大を懸念し、神経をとがらせてきた。もちろん韓国も例外ではなく、国民からの請願を受け付ける大統領府の掲示板には、「今回の親善試合をキャンセルしてほしい」という声が相次いでいる。

 韓国のサッカー協会は「心血を傾けた防疫対策を講ずる」という基本方針を立て、「今後のワールドカップ予選を考慮し、代表の競技力確認のためにはとても貴重な機会」と親善試合への理解を求めている。

 とはいえ、インターネット掲示板には「選手たちを危険にさらしていいのか?」「コロナが怖くないのか?」「海外組まで派遣するなんて」「韓国じゃなくて日本で試合をするなんて常軌を逸している」などとコメントが上っている。

 韓国では日本のコロナ感染者数が連日報道され、メディアは自国の感染者数や防疫の程度、感染の深刻さなどと細かく比較しているため、韓国内には、実態はともかく、「日本の感染は韓国よりひどい」という認識があるのは間違いない。

 一方、文大統領にとっては、4月7日のソウル・釜山市長選挙を目前に、検査や隔離を早い段階で徹底して感染拡大を抑え込んだK防疫をアピールできる絶好の機会と見ているという指摘がある。

 ワクチン接種で日本に後れを取った文大統領にしてみれば、「K防疫はすばらしい。韓国よりコロナの感染状況が深刻な日本でも問題なかった」とアピールし、4月の選挙に臨みたいというわけだ。もちろん、感染者が出てしまえば、その計画は水泡に帰す可能性もある。
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(略)