立憲民主党が政策の旗印として掲げてきた「原発ゼロ」をめぐり、枝野幸男代表が発言に苦慮している。昨秋の合流新党の動きで、脱原発に慎重な旧国民民主党の議員が加わったことや、最大の支援団体の連合から「自重」を求められていることが背景にある。今秋までに行われる衆院選をにらみ、枝野氏がいかに原発政策を打ち出していくのか、注目される。

 枝野氏は2月、西日本新聞のインタビューで「原発をやめることは簡単なことじゃない」と述べた。その発言の真意をめぐって党内には波紋が広がった。

 同月26日に国会内であった記者会見で、発言の意図を問われると、枝野氏は「我々が政権をとれば、原発をやめることについて明確に始める。ただし、(廃炉を含み)原発をゼロにするゴールは100年単位だ」と語った。原発ゼロを推進する方針は掲げ続けるが、実現に向けたハードルの高さも認めた形だ。

 2017年衆院選の直前に結党した旧立憲は、「原発ゼロ」を当時の安倍政権への対立軸の一つに掲げ、「原発ゼロ基本法案」の提出などを公約に盛り込んで戦った。

 野党第1党に躍り出ると、18年3月には共産党などと同法案を提出。▽すべての原発を速やかに停止し、法施行後5年以内に廃炉を決定する▽原発の再稼働はせず、新増設は認めない――などを柱に据えた。

朝日新聞
2021年3月10日 21時14分
https://www.asahi.com/articles/ASP3B6TX6P3BUTFK011.html