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文在寅が「3.1節演説」で示した限界

写真:現代ビジネス

 韓国外交部の崔英森(チェ・ヨンサム)報道官は、今後「韓日間の正常な外交的疎通は日本の役割」と述べた。これは加藤勝信官房長官が文在寅氏の3.1節演説に対し「重要なことは、両国間の懸案の解決のため、韓国が責任をもって具体的に対応していくこと」と述べたのに答えたものである。

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 3.1節の際の文在寅氏の過去史問題への言及は文在寅氏の限界を示すものであろう。これ以上の歩み寄りはなかなか難しいのかもしれない。これでは日本としては明らかに不十分である。それでは今後韓国とどのように向き合っていくべきか。

 外交の基本は、如何に国益に最大限かなったものとするかということである。その意味で日韓の歴史問題だけを見るのではなく、米国との関係、文在寅政権以後を見据えた韓国との関係、北朝鮮の脅威にいかに対抗するか、中国の拡張政策にいかに備えるかなど広い視野で考えていかなければならない。

 韓国の歴史問題への対応が不十分だからと言って、それだけで韓国との関係を断絶することは適当ではないと考える。

 韓国の次期政権も革新系がなる可能性が相当にあると考えざるを得ないだろう。したがって、日韓関係改善を次期政権まで待っても良い結果が生まれるとは限らない。

 文在寅政権が日韓関係を改善しようとしている今が好機だという意見がある。バイデン政権も日米韓協力のため、日韓関係が悪いのは負担になっており、関係改善を求めていることは間違いないだろう。

 日本としても米国の意向は無視できない。
韓国は「極めて頼りないパートナー」

文在寅は北朝鮮にいい顔をするだけ… photo/gettyimages

 しかし、米国にとって日米韓協力が重要なのは北朝鮮の核ミサイル開発をやめさせるためには韓国の協力が不可欠であり、日本も朝鮮半島有事の際の後方支援基地となるなど、朝鮮半島の平和と安定に深くかかわっているからである。

 北朝鮮への圧力をかけるためには日米韓の協力が効果を高めることは疑いがない。

 ただ、文在寅政権の韓国は、北朝鮮にいい顔をするだけで、北朝鮮の脅威を直視せず、核ミサイル開発を思いとどまらせる対北朝鮮制裁に消極的である。これでは何のための日米韓協力なのか。その点は米国ともよくすり合わせをしていく必要があるだろう。また、韓国が日米豪印の中国に対する包囲網に非協力なのも、日米の韓国への信頼を揺るがすものである。

 ならば、対話の提案に応じるべきではないと思う。

 日本の安全保障にとって短期的に見た場合、最大の脅威が北朝鮮の核ミサイル開発である。韓国の歴史問題に関する歩み寄りは中途半端であり、その中で韓国から対話を求められても、いい結果は生まれないかもしれない。

 しかし、韓国が真摯に日米韓協力に向き合い、北朝鮮の核ミサイル開発阻止に役立つならば、対話の呼びかけに応えることが日本の国益にとって重要である。

 反面、韓国がいつまでも北朝鮮の肩を持つ姿勢を続けるならば、そして次期政権が革新系となり同様な北朝鮮べったりの政策を続けるならば、韓国を見限り、日米豪印の協力関係を強める方向に舵を切らざるを得ないだろう。

 東アジアの安全保障にとって韓国は極めて頼りにならないパートナーになってきた。
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(略)