肺腺がんで入院中の福岡県の小川洋知事(71)が、2021年度県当初予算案が県議会定例会に提案される22日にも辞職願を提出することが21日、複数の関係者への取材で分かった。療養しながら職務を継続するのは困難と判断したとみられる。地方自治法は辞職の30日前までに県議会議長への申し出を定めており、辞職日は3月下旬になる見通し。福岡県知事が任期途中に辞職するのは、戦後初めて。

 小川知事は、現在3期目で任期は23年4月まで。公選法は、知事から辞職の申し出を受けた議長は5日以内に選挙管理委員会に通知し、選管は通知を受けた日から50日以内に選挙を行わなければならないと規定している。

 関係者によると、小川知事は、一日も早い公務復帰を目指して治療を続けているが、病状から4月以降も復帰は難しい状況という。このため小川知事は9日、辞職の意向を一部の県関係者に伝え、具体的な退任時期を検討していた。

 小川知事は辞職に当たり、新型コロナウイルス対策が柱となる21年度県当初予算案の編成と成立を最優先に考慮。県が本格編成した2兆円超の予算案が22日開会の県議会定例会に提案されることを受け、同日中にも辞職願を吉松源昭議長に提出する見通しという。予算案は定例会最終日の3月24日に採決される予定。

 小川知事は1月20日、せきや息苦しさが悪化して12月上旬に続いて九州大病院(福岡市東区)に再入院。当初は2月12日に公務に復帰するとしていたが、県は同9日に病名を「原発性肺腺がん」と公表し、3月31日まで復帰を見送ると発表していた。

 小川知事は、福岡市出身で京都大卒。1973年に通産省(現経済産業省)に入り、近畿通産局長や特許庁長官を歴任。2007―10年に内閣広報官を務めた。

 11年4月に麻生渡前知事の退任を受けて知事選に立候補して初当選。15年4月に再選し、19年4月に3選を果たした。

(福岡県政取材班)

西日本新聞
2021/2/21 23:18
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