https://news.yahoo.co.jp/articles/a4f45fc46948947ea98f98c3207f6e51eb7e8485
 (藤原 修平:在韓ジャーナリスト)

 日本における新型コロナ新規感染者数が減少傾向にあることに、韓国社会は複雑な感情を抱いている。

 日本では2月15日に965人の新規感染者数が確認された。1000人を下回るのは950人だった昨年(2020年)の11月16日以来である。

 この数字に韓国は衝撃を受けた。同日の韓国国内での新規感染者は429人で、人口比からすると、新規感染の割合は日本が若干韓国を下回っていることを示す。

 今年に入ってすぐの頃は、日本の1日の新規感染者は8000人に迫る勢いで、韓国を大きく上回っていたはずなのに、それがひと月あまりで韓国と同程度の割合に低下した。しかも、このところの韓国での新規感染者数は300〜400人台を行ったり来たりしていて、決して減少傾向とは言い難い。むしろ減少傾向が底を打ったかのように推移している。

■ ウイルスがまたも拡散? という不安

 2月15日には新型コロナの感染拡大が深刻なソウルと首都圏で、社会的距離を確保するための規制の指数が2.5段階から2段階に引き下げられた。これによって飲食店の営業は「午後9時まで」から1時間延長され「午後10時まで」となった。また、それまでは5人以上の集まりは例外なく禁止されていたが、親戚同士の集まりは特定条件を満たしていれば認められるようになった。

 2.5段階が2月14日まで維持されていたのは、旧正月の4連休が2月11日から14日まであり、そのときに人々が移動して感染が拡大することを防止するためだった。2.5段階を維持したおかげで今回の連休中の帰郷を見送った人は多かったらしく、実際に高速道路ではいつもの大渋滞はなかった。

 とはいえ、首都圏では家族で近場に出かけた人も多い。レストランやコーヒーショップでは客であふれていたところもある。また、高級ホテルで休暇を過ごす人も多く、ラウンジなどでマスクを外して午後のひと時を楽しむ人が目についた。客室も予約がかなり埋まっていたと報じられている。

 それだけではない。住宅街のコーヒーショップでは友だち同士で集まる若者がやはりマスクを外してくつろいでいた。また、「新年」を祝って家族や知り合い同士で会食したのか、酔っ払いが外で口を露出したまま大声で話している光景もよく目にした。

 そのため、この連休中にコロナウイルスがまたもや拡散しているのではないかという不安に、韓国社会は包まれている。

■ 日本の年末に似ていた韓国の1月

 2月14日に放映されたNHKの日曜討論では、大阪の吉村洋文知事や政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、日本の感染拡大は日本人の行動パターンによって引き起こされたといったことを話していた。つまり、昨年末からの感染拡大は、師走になると何かと人に会う機会が増えたことが背景にあるという。

 韓国の場合は「旧正月」を盛大に祝う。今年は2月12日が旧暦の元旦で、その3週間前あたりから人の往来が活発になる。

 5人以上集まるのが禁止されているので、家族が分散して帰郷し、1泊しただけでまた首都圏に戻ったという世帯も少なくない。しかし結局、多くの人が移動しているわけで、高速道路の渋滞もその期間は相次いでいた。


(略)