菅義偉首相は9日、広島県が広島市中心部で今月中旬から計画する新型コロナウイルスの大規模PCR検査について、「かなりのコストと医療資源が必要となる」などとし、県側に留意を求めた。2日の記者会見で指名されなかった中国新聞に書面で答えた。

 会見当時、県は同市の中、東、南、西の4区で28万人が任意、無料の検査を受けると見込んでいた。首相は「厚生労働省などが広島県の取り組みを注視するとともに必要な助言を行う」とした。

 その上で「全員を対象とするような大規模検査は、かなりのコストと医療資源が必要になる一方、検査に時間を要するほど、検査で陰性になっても、その後に感染する可能性が高くなってしまうことに留意が必要」との見方を示した。

 県では現在、市の感染状況が改善していることから検査規模を大幅に縮小し、対象エリアを中区の一部に絞り込む案が浮上。今回の回答は、この点には触れていない。

 首相が会見で「従来より国民の皆さんにきちんと情報発信し、説明責任を果たしたい」と述べながら、記者の手が挙がる中で会見を打ち切った理由も尋ねた。首相は「会見以外の日程もあることから、時間制限を設けずに行うことは現実的ではない」と答えた。2日の「首相動静」では会見後、東京・赤坂の衆院議員宿舎に帰宅としていた。(下久保聖司) 

中国新聞
2021/2/9 20:55
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=725685&;comment_sub_id=0&category_id=256