新型コロナウイルスワクチンの確保時期を巡る政府の説明が混乱している。坂井学官房副長官が21日の記者会見で「全国民に必要な数量について6月までの確保を見込んでいる」と述べたのに対し、河野太郎行政改革担当相が22日午前の会見で「古い情報が紛れ込んだ」として発言の削除を発表。坂井氏は22日午後の会見で自身の発言が正しいと主張し、削除を拒否した。要職者2人が相手の発言を否定し合う異例の展開となり、情報発信を巡る調整不足が露呈した。
 河野氏は22日午前の会見で「ワクチンメーカーからの供給スケジュールは、まだ決まっていない」と説明。坂井氏の発言削除を告げた。一方で、ワクチン接種の日程について「現時点では、2月下旬の開始を目指して準備している。供給日程が決まり次第、お伝えする」と強調した。
 坂井氏は22日午後の記者会見で「3社と契約を進めており、6月までに全国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と改めて表明。「(ワクチン確保に関する政府のスケジュールと)齟齬は生じていない。発言は撤回しない」と反論した。
 坂井氏の言いぶりについて河野氏は「『目指す』と言うべきだ」と周辺に不快感を吐露。22日夜、坂井氏と電話で協議したとして「2人の間に齟齬はないことを確認した」と記者団に述べた。(共同)

東京新聞
2021年1月23日 09時26分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81602