菅義偉首相は30日の参院本会議で、安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の費用補塡(ほてん)問題を巡る官房長官時代の答弁について「これまでも誠実に答弁してきた。今後も誠実に答弁する」と述べた。

 首相は、立憲民主党の古賀之士氏から過去の答弁の真偽と、閣僚の国会出席義務を定めた憲法63条との整合を問われ、「(63条は)国会において誠実に答弁する責任を負っていることを前提としている」との認識を示し、「誠実に答弁してきた」と強調。「桜を見る会」の招待者名簿の廃棄について廃棄簿への記載がない点を指摘されると「ルール上必要ではない」と反論した。

 国民民主党会派の芳賀道也氏は、今国会の首相の答弁で「お答えを差し控える」が目立つと指摘したが、首相は「例えば仮定の質問や人事に関する質問など政府としてお答えを控える必要がある場合もあるが、その場合でも理由をできる限り申し上げてきた」とかわした。安倍氏の国会招致については「国会においてお決めいただくこと」と繰り返した。

 旅行需要喚起策「GoToトラベル」の抜本的見直しについては、新型コロナウイルス感染症対策分科会が「事業が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンス(証拠)は現在のところ存在しない」と提言したことを理由に言及を避け、「感染拡大地域への到着分の一時停止に加え、出発分についても利用を控えるよう呼び掛けることにした」と述べるにとどめた。【飼手勇介】

毎日新聞
2020年11月30日 19時40分
https://mainichi.jp/articles/20201130/k00/00m/010/282000c