菅義偉首相は28日、衆院本会議の代表質問で、日本学術会議が推薦した会員候補6人を任命しなかったのは「多様性が大事だということを念頭に私が判断した」と説明した。任命拒否の判断は「変更することは考えていない」と強調した。2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロに向け、「原子力を含めてあらゆる選択肢を追求していく」と述べた。

 菅首相にとって首相就任後初めての国会論戦となった。立憲民主党の泉健太政調会長は任命拒否の撤回を求めた上で、拒否の理由をただした。首相は「個々人の任命の理由は答えを差し控える」と詳しい説明を避けた。学術会議の会員構成について「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られる」と問題視する考えを示した。

 立憲の枝野幸男代表は任命拒否を「明らかに違法だ」と批判し、1983年に当時の中曽根康弘首相が首相の任命権を「形式的」とした答弁との整合性を追及。首相は推薦通りに任命する義務はないとし、「政府の一貫した考えだ」と主張した。

 枝野氏は温室効果ガスの排出実質ゼロ目標について「原子力の依存度をどう見込んでいるのか」と追及。首相は「原発依存度を可能な限り低減する」と述べるにとどめ、電源構成を見直すかどうか明言を避けた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で外国人観光客が激減したことを受け、泉氏はカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の撤回を要求。首相は「我が国が観光先進国となる上で、重要な取り組みだ。今後とも必要な手続きを進めていく」と述べた。

 森友学園に関する財務省文書改ざんなど公文書管理の問題について、泉氏は再調査を求めたが、首相は「二度と起こさない。引き続き、透明性、公正性を確保する」と述べるにとどめた。【飼手勇介、花澤葵】

毎日新聞
10/28(水) 21:44配信
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