菅義偉首相は2日、日本学術会議の人事について、「法に基づいて適切に対応した結果だ」と述べた。任命権者である首相がこの問題で発言したのは初めてだったが、6人を除外した理由などは答えなかった。首相は夕方に首相官邸を出る際、記者団の問いかけに歩きながら答えたが、立ち止まらず官邸を後にした。

 日本学術会議は6人の任命を改めて求めているが、加藤勝信官房長官は2日の記者会見で「政府としての判断を変えることはない」と述べ、見直す考えはないことを強調した。学術会議が首相への提出を決めた要望書については「まだ出てきていない」と、コメントを避けた。首相から事前に相談はなく「決裁の段階で説明を受けた」といい、「運営にあたっては独立性は当然求められるが、あくまでも首相の所轄だ。任命にあたって私たちとして責任を果たしている」と述べ、学問の自由への政治介入との見方は否定した。科学者の研究が萎縮する可能性については「直接つながるものではない」と述べた。【佐藤慶】

毎日新聞
2020年10月2日 19時47分
https://mainichi.jp/articles/20201002/k00/00m/010/231000c