自身のツイッター投稿が名誉毀損だとして自民党の世耕弘成参院幹事長から提訴された、青山学院大の中野昌宏教授が25日、世耕氏に慰謝料など150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。世耕氏の提訴を「批判者をだまらせるなど、公共の言論空間の萎縮を目的とした人権侵害だ」としている。

 中野氏は2018年2月と昨年7月、世耕氏について「原理研究会(統一教会)出身だそうですね」などと投稿。世耕氏は昨年10月に中野氏を提訴し、「所属しておらず投稿内容は虚偽」と主張した。

 中野氏は25日に記者会見し、世耕氏による提訴を、政権に批判的な言論を抑圧する意図で起こした「スラップ(威圧的、どう喝的)」訴訟だと批判。「政治家への市民の言論は公的なもの。裁判で負けると最高裁判例ができ、市民が政治家への疑惑や政治姿勢・思想について、証拠がないと論評できなくなる」と述べた。

 訴状では、世耕氏は中野氏の投稿へ否定や反論、削除要請をせずに提訴しており、どう喝や嫌がらせを主眼にした訴訟だと主張。世耕氏の事務所は「訴状を見ていない」としている。(望月衣塑子)

東京新聞
2020年09月25日 22時11分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/57838